350 韓昌黎集 巻五 134 《送無本師歸范陽(賈島初為浮屠,名無本)》 韓愈 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 4076
- 2014/04/20
- 00:33
350 韓昌黎集 巻五 134 《送無本師歸范陽(賈島初為浮屠,名無本)》 韓愈 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 4076 |
811年、元和6 年.
韓愈は唐代きっての排仏論者だが、かれの仏教排撃の論鋒のはげしさは、じつは、当時の儒教の類勢と反比例し、仏教教団の隆勢と正比例していたのだ、と考えても、さして不当はあるまい。僧の中には教団勢力政治勢力に癒着、権力を笠に着る鼻もちならぬ連中が世に横行したのであった。
宗教教団もまた人間の社会である。韓愈が晩年潮州で出くわした、大顛のようにほんとうにすぐれた僧は、「禅」という修行し、人目につかないところで、悟りを得ることに努力をかさねるものである。韓愈がつねに目にしたような僧は、官吏社会に出入し、上位のものは官僚と癒着し、買い物は、兵役都税を逃れる田茂の喪が多かった。俗物以上の俗物が多かったのである。韓愈の仏教ぎらいは、俗僧たちから得た印象の堆積によるもので、大いに与っていたのであろう。
なお、詩中この僧の「頭にもとどりさせたい」といっているが、かれは会う僧にはみな腐りきった仏教の名をかりた集団からの還俗をすすめたらしい。弟午の買島はもと無本という僧だった。かれの言葉に従って還俗し、進士の試験をうけたが、何度も失敗し、やっと官界に入っても不遇で、貧窮のうちに死んだ。次に、参考までに、韓愈が無本と称したころの賈島におくった詩「無本師の茫陽に帰るを送る」811年、元和6 年.の作品である。
送無本師歸范陽(賈島初為浮屠,名無本)
無本僧師が范陽に帰るを送る。(賈島は初め僧侶であった、戒名を無本と称した。)
無本於為文,身大不及膽。
無本僧師は詩文を作るにおいて、身の丈に応じたものをつくる、勇気や度胸の生じる範囲のものに及んではいない。
吾嘗示之難,勇往無不敢。
私もいつものこととしてこの範囲を超えることは難しいことを示しているし、勇気や度胸で行くことは、あえてすることはないと思っている。
蛟龍弄角牙,造次欲手攬。
蛟龍というものは角や牙を持っていて奮っているものだ。ほんのわずかの時間でほしいものを手に入れてしまうのである。
眾鬼囚大幽,下覷襲玄窞。
そして大勢の鬼たちは広くて静かなところで囚われ、下を見ると暗い穴の中で襲われている。
天陽熙四海,注視首不頷。」
天を仰ぐと太陽が世界中を照らしている。注意してみてみると首をうなだれてはいないのだ。
#2
鯨鵬相摩窣,兩舉快一啖。
巨鯨と大鳥は互いに磨り合うように突然に飛び出してくる。そして両手を挙げて快く軽やかにひとたび啖をはいた。
夫豈能必然,固已謝黯黮。
ということはどうしても必ずそうなるというわけではないのであって、もともと既に失望するので謝ることになる。
狂詞肆滂葩,低昂見舒慘。
おとぼけの意を含んだ言葉、詩文が花びらが開くように盛んな勢いでわき起こってくる。
奸窮怪變得,往往造平澹。
正道にそむいたよこしまなことしかしないことは奇怪な方向へ行ってしまい、まあ、往々にしてしつこくない妥協の産物になるのである。
蜂蟬碎錦纈,綠池披菡萏。」
蜂と蝉はにしきと絞り染めの絹を砕く、澄み切った水の池は美しい蓮の花におおわれる。
芝英擢荒榛,孤翮起連菼。
草と花房があるが荒れ果てたところでカバノキが抜きんでるものだ、孤独な鳥は連続して生え始めた稲の苗を起してしまう。
家住幽都遠,未識氣先感。
家は黄泉のように遠いところに住まいしている。どこなのかいまだに認識はしていないが気配としてはまず感じるのである。
來尋吾何能,無殊嗜昌歜。
尋ねてきたとしたら私は何をしてあげれ良いのだろうか、ほめあげたり、激しくしかったりしてあげてほかのことはしようがない。
始見洛陽春,桃枝綴紅糝。
始めて洛陽の春を見た桃の枝には紅色に惨めなものでつづったのである。
遂來長安里,時卦轉習坎。」
そしてとうとう、長安の街に来たときには時間の経過するに伴い一難去ってまた一難ということになってしまった。
#4
老懶無鬥心,久不事鉛槧。欲以金帛酬,舉室常顑頷。
念當委我去,雪霜刻以憯。獰飆攪空衢,天地與頓撼。
勉率吐歌詩,慰女別後覽。」
(無本師 范陽に歸るを送る〈賈島 初め浮屠と為す,名は無本〉)#1
無本 文を爲【つく】るに於て、身の大いさ 胆に及ばず。
吾 嘗【つね】に之に難きを示すに、勇往 敢てせざる無し。
蛟龍【こうりゅう】角牙【かくし】を弄し、造次に手づから攬【と】らむと欲す。
衆鬼 大幽に因【とら】はるるに、下覷【かき】して 玄窞【げんたん】ぞ襲ふ。
天陽 四海に煕るに、注視して 首頷【た】れず。
#2
鯨と鵬と相摩窣【まそつ】するに、両挙して 快かに一啖【いつたん】す。
夫れ豈能く必ずしも然らむや、固【まこと】に已に黯黮【あんたん】を謝す。
狂詞肆【ほしいまま】にして滂葩【ぼうは】たり、低昂【ていこう】 舒惨【じょさん】を見る。
姦窮まり 怪変じ得て、往往 平淡に 造【いた】る。
蜂蝉【ほうせん】 錦纈【きんけつ】を碎き、緑池菡萏【かんたん】を披く。
#3
芝英 荒榛【こうしん】より擢【ぬき】んで
孤翮【こかく】連菼【れんたん】より起る
家は幽都の遠きに住し、未だ識らざれども 気先【ま】づ感ず。
来り尋ぬ 吾何をか能くせむ、昌歜【しょうかん】を嗜【たしな】に殊なること無し。
始めて見る格陽の春、桃枝 紅惨【こうさん】を綴る。
遂に長安の里に来り、時卦【じたつ】習坎【しゅうかん】に転ず。
#4
老懶【ろうらん】 闘心無く、久しく鉛槧【えんぜん】を事とせず。
金帛を以て酬いむと欲すれども、挙室 常に顑頷【かんがん】たり。
念ふに当に我を委【す】てて去【ゆ】くべし、霜雪 刻にして以て憯【てん】たり。
獰飆【どうひょう】 空衢【くうく】を攬【みだ】し、天地 与に 頓撼。
勉め率いて歌詩を吐き、女【なんじ】が別後の覧を尉【なぐさ】めむ
現代語訳と訳註
(本文) 送無本師歸范陽(賈島初為浮屠,名無本)#1
無本於為文,身大不及膽。吾嘗示之難,勇往無不敢。
蛟龍弄角牙,造次欲手攬。眾鬼囚大幽,下覷襲玄窞。
天陽熙四海,注視首不頷。」
#2
鯨鵬相摩窣,兩舉快一啖。夫豈能必然,固已謝黯黮。
狂詞肆滂葩,低昂見舒慘。奸窮怪變得,往往造平澹。
蜂蟬碎錦纈,綠池披菡萏。」
#3
芝英擢荒榛,孤翮起連菼。家住幽都遠,未識氣先感。
來尋吾何能,無殊嗜昌歜。始見洛陽春,桃枝綴紅糝。
遂來長安里,時卦轉習坎。」
#4
老懶無鬥心,久不事鉛槧。欲以金帛酬,舉室常顑頷。
念當委我去,雪霜刻以憯。獰飆攪空衢,天地與頓撼。
勉率吐歌詩,慰女別後覽。」
(下し文)
(無本師 范陽に歸るを送る〈賈島 初め浮屠と為す,名は無本〉)#1
無本 文を爲【つく】るに於て、身の大いさ 胆に及ばず。
吾 嘗【つね】に之に難きを示すに、勇往 敢てせざる無し。
蛟龍【こうりゅう】角牙【かくし】を弄し、造次に手づから攬【と】らむと欲す。
衆鬼 大幽に因【とら】はるるに、下覷【かき】して 玄窞【げんたん】ぞ襲ふ。
天陽 四海に煕るに、注視して 首頷【た】れず。
#2
鯨と鵬と相摩窣【まそつ】するに、両挙して 快かに一啖【いつたん】す。
夫れ豈能く必ずしも然らむや、固【まこと】に已に黯黮【あんたん】を謝す。
狂詞肆【ほしいまま】にして滂葩【ぼうは】たり、低昂【ていこう】 舒惨【じょさん】を見る。
姦窮まり 怪変じ得て、往往 平淡に 造【いた】る。
蜂蝉【ほうせん】 錦纈【きんけつ】を碎き、緑池菡萏【かんたん】を披く。
#3
芝英 荒榛【こうしん】より擢【ぬき】んで
孤翮【こかく】連菼【れんたん】より起る
家は幽都の遠きに住し、未だ識らざれども 気先【ま】づ感ず。
来り尋ぬ 吾何をか能くせむ、昌歜【しょうかん】を嗜【たしな】に殊なること無し。
始めて見る格陽の春、桃枝 紅惨【こうさん】を綴る。
遂に長安の里に来り、時卦【じたつ】習坎【しゅうかん】に転ず。
#4
老懶【ろうらん】 闘心無く、久しく鉛槧【えんぜん】を事とせず。
金帛を以て酬いむと欲すれども、挙室 常に顑頷【かんがん】たり。
念ふに当に我を委【す】てて去【ゆ】くべし、霜雪 刻にして以て憯【てん】たり。
獰飆【どうひょう】 空衢【くうく】を攬【みだ】し、天地 与に 頓撼。
勉め率いて歌詩を吐き、女【なんじ】が別後の覧を尉【なぐさ】めむ
(現代語訳) #1
無本僧師が范陽にぁえるを送る。(賈島は初め僧侶であった、戒名を無本と称した。)
無本僧師は詩文を作るにおいて、身の丈に応じたものをつくる、勇気や度胸の生じる範囲のものに及んではいない。
私もいつものこととしてこの範囲を超えることは難しいことを示しているし、勇気や度胸で行くことは、あえてすることはないと思っている。
蛟龍というものは角や牙を持っていて奮っているものだ。ほんのわずかの時間でほしいものを手に入れてしまうのである。
そして大勢の鬼たちは広くて静かなところで囚われ、下を見ると暗い穴の中で襲われている。
天を仰ぐと太陽が世界中を照らしている。注意してみてみると首をうなだれてはいないのだ。
#2
巨鯨と大鳥は互いに磨り合うように突然に飛び出してくる。そして両手を挙げて快く軽やかにひとたび啖をはいた。
ということはどうしても必ずそうなるというわけではないのであって、もともと既に失望するので謝ることになる。
おとぼけの意を含んだ言葉、詩文が花びらが開くように盛んな勢いでわき起こってくる。
正道にそむいたよこしまなことしかしないことは奇怪な方向へ行ってしまい、まあ、往々にしてしつこくない妥協の産物になるのである。
蜂と蝉はにしきと絞り染めの絹を砕く、澄み切った水の池は美しい蓮の花におおわれる。
#3
草と花房があるが荒れ果てたところでカバノキが抜きんでるものだ、孤独な鳥は連続して生え始めた稲の苗を起してしまう。
家は黄泉のように遠いところに住まいしている。どこなのかいまだに認識はしていないが気配としてはまず感じるのである。
尋ねてきたとしたら私は何をしてあげれ良いのだろうか、ほめあげたり、激しくしかったりしてあげてほかのことはしようがない。
始めて洛陽の春を見た桃の枝には紅色に惨めなものでつづったのである。
そしてとうとう、長安の街に来たときには時間の経過するに伴い一難去ってまた一難ということになってしまった。
#4
(訳注) #1
送無本師歸范陽(賈島初為浮屠,名無本)
無本僧師が范陽に帰るを送る。(賈島は初め僧侶であった、戒名を無本と称した。)
賈島【か とう】779―843年(中和4年)は中国唐代の詩人。字は浪仙、または閬仙。范陽(北京市)の人。はじめ進士の試験に失敗して、僧となり法号を無本と称した。後に洛陽に出て文を韓愈に学び、その才学を認められ還俗して進士に挙げられた。835年に長江県(四川省)の主簿となり、841年に普州司倉参事となり司戸に赴任するところ、命を受けないうちに牛肉を食べすぎて没したという。享年65。この詩は賈島33歳、韓愈44歳の時 ・浮屠の用語解説 - 1 《(梵)buddhaの音写》仏陀(ぶっだ)。ほとけ。 2 《(梵)buddha-stpaから》仏塔。 3 仏寺。 4 僧侶。
無本於為文,身大不及膽。
無本 文を爲【つく】るに於て、身の大いさ 胆に及ばず。
無本僧師は詩文を作るにおいて、身の丈に応じたものをつくる、勇気や度胸の生じる範囲のものに及んではいない。
膽 1 肝臓。きも。2 からだの中で、勇気や度胸の生じるもとと思われているところ。きもったま。
吾嘗示之難,勇往無不敢。
吾 嘗【つね】に之に難きを示すに、勇往 敢てせざる無し。
私もいつものこととしてこの範囲を超えることは難しいことを示しているし、勇気や度胸で行くことは、あえてすることはないと思っている。
・勇往は勇んで行くこと。「邁進」は勇敢に突き進んで行くこと。元気よく前進すること。
蛟龍弄角牙,造次欲手攬。
蛟龍【こうりゅう】角牙【かくし】を弄し、造次【ぞうし】に手づから攬【と】らむと欲す。
蛟龍というものは角や牙を持っていて奮っているものだ。ほんのわずかの時間でほしいものを手に入れてしまうのである。
・蛟龍【こうりゅう】蛟(コウ; jiāo)は、中国の竜の一種、あるいは、姿が変態する竜種の幼生(成長の過程の幼齢期・未成期)だとされる。・造次【そうし】とっさの場合。ごく短い時間。事がにわかで、急ぎあわてる場合。ほんのわずかの時間。
眾鬼囚大幽,下覷襲玄窞。
衆鬼 大幽に因【とら】はるるに、下覷【かき】して 玄窞【げんたん】ぞ襲ふ。
そして大勢の鬼たちは広くて静かなところで囚われ、下を見ると暗い穴の中で襲われている。
覷 うかがう、 みる。玄窞 あな。玄(1)黒い色。黒。 (2)天。 「黄に満ち―に満てり/三教指帰」 (3)老荘思想の根本概念。万物の根源としての道。 (4)奥深くて微妙なこと。深遠な道理。
天陽熙四海,注視首不頷。」
天陽 四海に煕るに、注視して 首頷【た】れず。
天を仰ぐと太陽が世界中を照らしている。注意してみてみると首をうなだれてはいないのだ。
#2
鯨鵬相摩窣,兩舉快一啖。
鯨と鵬と相摩窣【まそつ】するに、両挙して 快かに一啖【いつたん】す。
巨鯨と大鳥は互いに磨り合うように突然に飛び出してくる。そして両手を挙げて快く軽やかにひとたび啖をはいた。
夫豈能必然,固已謝黯黮。
夫れ豈能く必ずしも然らむや、固【まこと】に已に黯黮【あんたん】を謝す。
ということはどうしても必ずそうなるというわけではないのであって、もともと既に失望するので謝ることになる。
○黯黮 曇って明らかでないさま。がっかりする。失望する。
狂詞肆滂葩,低昂見舒慘。
狂詞肆【ほしいまま】にして滂葩【ぼうは】たり、低昂【ていこう】 舒惨【じょさん】を見る。
おとぼけの意を含んだ言葉、詩文が花びらが開くように盛んな勢いでわき起こってくる。
○狂詞 詩詞の法則に乗り、おとぼけの意を含んだ言葉、詩文。○滂葩 滂は1 水がみなぎり逆巻くさま。「―たる波浪」 2 物事が盛んな勢いでわき起こるさま。○葩は、はな・はなびら
奸窮怪變得,往往造平澹。
姦窮まり 怪変じ得て、往往 平淡に 造【いた】る。
正道にそむいたよこしまなことしかしないことは奇怪な方向へ行ってしまい、まあ、往々にしてしつこくない妥協の産物になるのである。
○奸 よこしまかしましい1 不倫をする。女性をおかす。2正道にそむく。悪賢い。○往往 そうなる場合が多いさま。よくあるさま。○平澹 平淡あっさりしてしつこくない。
蜂蟬碎錦纈,綠池披菡萏。
蜂蝉【ほうせん】 錦纈【きんけつ】を碎き、緑池菡萏【かんたん】を披く。
蜂と蝉はにしきと絞り染めの絹を砕く、澄み切った水の池は美しい蓮の花におおわれる。
○蜂蟬 蜂と蝉。○砕〔碎〕【さい】くだくくだける1 くだく。くだける。2 こまかい。○錦纈 にしきと絞り染めの絹。○菡萏 蓮の花別名。菡萏とは「かん」が美しい人、「たん」は華やかという意を持つ文字で、蓮の花を表す
#3
芝英擢荒榛,孤翮起連菼。
芝英 荒榛【こうしん】より擢【ぬき】んで、孤翮【こかく】連菼【れんたん】より起る。
草と花房があるが荒れ果てたところでカバノキが抜きんでるものだ、孤独な鳥は連続して生え始めた稲の苗を起してしまう。
○芝英 草と花房。○荒榛 カバノキ科の落葉低木。日当たりの良い山野に生える。葉は広卵形で鋸歯(きよし)がある。若葉には紫褐色の斑紋がある。○孤翮 孤独な鳥の翼。また,孤独な鳥。○連菼 おぎ。生え始めた稲。
家住幽都遠,未識氣先感。
家は幽都の遠きに住し、未だ識らざれども 気先【ま】づ感ず。
家は黄泉のように遠いところに住まいしている。どこなのかいまだに認識はしていないが気配としてはまず感じるのである。
○幽都 ひろくは〈地獄〉〈他界〉〈黄泉国〉〈死〉などの項を参照されたい。古代中国では,死者の霊魂の帰する所は〈黄泉〉〈九泉〉〈幽都〉などと呼んだ。
來尋吾何能,無殊嗜昌歜。
来り尋ぬ 吾何をか能くせむ、昌歜【しょうしょく】を嗜【たしな】に殊なること無し。
尋ねてきたとしたら私は何をしてあげれ良いのだろうか、ほめあげたり、激しくしかったりしてあげてほかのことはしようがない。
○昌歜 傳說周文王嗜昌歜, 孔子慕文王而食之以取味。 ○嗜 たしなむ。○昌 ほめる。○歜 激しく怒る
始見洛陽春,桃枝綴紅糝。
始めて見る洛陽の春、桃枝 紅惨【こうさん】を綴る。
始めて洛陽の春を見た桃の枝には紅色に惨めなものでつづったのである。
遂來長安里,時卦轉習坎。」
遂に長安の里に来り、時卦【じたつ】習坎【しゅうかん】に転ず。
そしてとうとう、長安の街に来たときには時間の経過するに伴い一難去ってまた一難ということになってしまった。
○時卦 時間的な進捗状況○習坎 落とし穴に陥る、また、困難な状況に陥ることを象徴します。一難去ってまた一難。
#4
老懶無鬥心,久不事鉛槧。
老懶【ろうらん】 闘心無く、久しく鉛槧【えんぜん】を事とせず。
年老いて物憂いになったし闘争心はなくなったのではあるが、久しくことをなし、詩文に携わることをしてきたこれを止める気にはならない。
欲以金帛酬,舉室常顑頷。
金帛を以て酬いむと欲すれども、挙室 常に顑頷【かんがん】たり。
でもって、金銭と布帛の報酬を欲するというけれど、その居室を挙げて常に顔や顎に火が出るほどの恥と思っている。
念當委我去,雪霜刻以憯。
念ふに当に我を委【す】てて去【ゆ】くべし、霜雪 刻にして以て憯【せん】たり。
こんなことにあたって思うことは、わたしはこの仕事をしかるべきひとに任せここを去ろうと思うのである。雪と霜の極寒に時を刻み以て憂えるのである。
獰飆攪空衢,天地與頓撼。
獰飆【どうひょう】 空衢【くうく】を攬【みだ】し、天地 与に 頓撼。
大風が吹き、大空の四方を撹拌する、天と地はともにゆるく感じている。
勉率吐歌詩,慰女別後覽。」
勉め率いて歌詩を吐き、女【なんじ】が別後の覧を尉【なぐさ】めむ。
出来る限りの努力をしてしいかを作り歌う、そのことはあなたがここ去り別れてから慰めることになるだろう。
- テーマ:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
- ジャンル:学問・文化・芸術
- カテゴリ:五言古詩
- CM:0
最新記事
- 長い間ブログを休校している件について (09/01)
- 李太白集 397《太白巻23-02效古二首其一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7573 (04/04)
- 李太白集 396《太白巻二十二40憶東山二首 其二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7568 (04/03)
- 李太白集 395《太白巻二十二39憶東山二首 其一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7563 (03/30)
- 李太白集 394《太白巻二十08杜陵絕句》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7558 (03/29)
- 李太白集 393《太白巻十九18朝下過盧郎中敘舊游》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7553 (03/28)
- 李太白集 392《太白巻十八12金門答蘇秀才》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7548 (03/27)
- 太白集 391《太白巻十九17下終南山過斛斯山人宿置酒》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7543 (03/26)
- 太白集 390《太白巻十六33 送長沙陳太守,二首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7538 (03/25)
- 李太白集 389《太白巻十六32 送長沙陳太守,二首之一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7533 (03/24)
- 李太白集 388《太白巻十六26 送祝八之江東賦得浣紗石》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7528 (03/23)
- 李太白集 387《太白巻十六23-《送白利從金吾董將軍西征》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7523 (03/22)
- 李太白集 386《太白巻十六21 送族弟綰從軍安西》(漢家兵馬乘北風) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7508 (03/19)
- 李太白集 385《太白巻十六18-3-《送外甥鄭灌從軍,三首之三》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7503 (03/18)
- 李太白集 384《太白巻十六18-2 送外甥鄭灌從軍,三首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7498 (03/17)
- 李太白集 383《太白巻十六18-1 送外甥鄭灌從軍,三首之一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7493 (03/16)
- 李太白集 382《太白巻十六13 送張遙之壽陽幕府》 (壽陽信天險,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7488 (03/15)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/14)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/13)
- 李太白集 380《太白巻十六08 送竇司馬貶宜春》 (天馬白銀鞍,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7478 (03/12)
- 李太白集 379《太白巻十四34 贈別王山人歸布山》(王子析道論,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7473 (03/11)
- 李太白集 378《太白巻十二06-夕霽杜陵登樓寄韋繇》 (浮陽滅霽景) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7468 (03/10)
- 李太白集 377《太白巻巻十二05-《望終南山寄紫閣隱者》(出門見南山) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7463 (03/09)
- 李太白集 376《太白巻八36 贈盧徵君昆弟》 (明主訪賢逸) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7458 (03/08)
- 李太白集 375《太白巻八22 贈郭將軍》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7453 (03/07)
- 李太白集 374《太白巻六10-《同族弟金城尉叔卿燭照山水壁畫歌》 (高堂粉壁圖蓬瀛) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7448 (03/06)
- 李太白集 373《太白巻六07 西嶽雲臺歌送丹丘子》 (西嶽崢嶸何壯哉) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7443 (03/05)
- 李太白集 372《太白巻六05 玉壺吟》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7438 (03/04)
- 李太白集 371《太白巻卷六04-《侍從宜春苑,奉詔賦龍池柳色初青,聽新鶯百囀歌》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7433 (03/03)
- 李太白集 370《太白巻五 24-秋思》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7428 (03/02)