361 韓昌黎集 巻五 364 《答柳柳州食蝦蟆》韓愈(韓退之》 韓愈 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 4131
- 2014/05/01
- 00:49
361 韓昌黎集 巻五 364 《答柳柳州食蝦蟆》韓愈(韓退之》 韓愈 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 4131 |
作時年:819年 元和十四年 52歲
卷別: 卷三四一 文體: 五言古詩
詩題: 答柳柳州食蝦蟆
及地點: 柳州 (嶺南道東部 柳州 柳州)
交遊人物: 柳宗元
流罪とはいえ形式上は潮札刺史の辞令をもらって赴任したのだから、到着の報告書を送らねばならない。その「潮州刺史謝上表」には、恭順の意がのべられ、死罪になっても文句のないところを流罪になったのはまことにありがたい処置で、自分はここの地方長官として天子の恩徳を住民に告げたというようなことが書かれている一方、哀願の調子もあって、こんな片田舎では生活できないから、一日も早く呼びもどしてほしいと訴えている。北方生まれの韓愈にとって、南での生活はすべてが異様であり、耐えがたいものだったのである。
――予定―― 《潮州刺史謝上表》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <933> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3649韓愈詩-242-1
答柳柳州食蝦蟆 #1
(柳柳州、柳宗元柳州刺史の「蝦蟆を食う」詩に答える)
蝦蟆雖水居,水特變形貌。
蝦蟆は水のなかに棲むものだが、水に棲む動物のなかでも特に変わった形をしている。
強號為蛙蛤,於實無所校。
強いて蛙を水属のなかに入れているが、実際はほかに似たものがないのだ。
雖然兩股長,其奈脊皴皰。
二本の脚は長いが、背中のいぼいぼはどうしようもない。
跳躑雖云高,意不離濘淖。
跳び上がるのは高いけれども、心はぬかるみから離れてはいないのだ。
#2
鳴聲相呼和,無理只取鬧。
周公所不堪,灑灰垂典教。
我棄愁海濱,恆願眠不覺。
叵堪朋類多,沸耳作驚爆。
#3
端能敗笙磬,仍工亂學校。
雖蒙句踐禮,竟不聞報效。
大戰元鼎年,孰強孰敗橈。
居然當鼎味,豈不辱釣罩。
#4
余初不下喉,近亦能稍稍。
常懼染蠻夷,失平生好樂。
而君復何為,甘食比豢豹。
獵較務同俗,全身斯為孝。
哀哉思慮深,未見許回櫂。
(柳柳州の「蝦蟆を食う」に答う)
蝦蟆は水に居ると雖も,水 特に形貌を變ず。
強いて號すは蛙蛤【あこう】と為す,實に於て校【くら】ぶる所無し。
兩の股 長しと雖然【いえど】も,其れ脊の皴皰【しゅんぽう】を奈【いか】んせん。
跳躑【ちょうてき】すること高しと云うと雖も,意は濘淖【ねいとう】を離れず。
鳴聲 相い呼びて和し,理 無くして只だ鬧【どう】を取るのみ。
周公 堪えざる所,灰を灑ぎて典教を垂る。
我 棄てられて海濱に愁い,恆【つね】に眠り覺めざるを願う。
堪え叵【がた】し朋類の多くすを,耳に沸いて驚爆を作すに。
端端【つまびら】かにすれば能く笙磬【しょうけい】を敗り,仍【な】お工みに學校を亂る。
句踐の禮を蒙むると雖も,竟に報效せしを聞かず。
大戰あるは元鼎の年なり,孰【いず】れか強く孰れか敗橈【はいとう】せる。
居然として鼎味に當り,豈に釣罩【ちょうとう】を辱【はずか】しめざらんや。
余 初めは喉より下らざるも,近ごろは亦た能く稍稍たり。
常に懼る 蠻夷に染るを,平生の好樂を失うを。
而も君 復た何為【なんす】れぞ,甘食 豢豹【かんぴょう】に比ぶれば。
獵較【りょうこう】 俗に同じきに務め,身を全うする 斯れを孝と為す。
哀しい哉 思慮深くして,未だ許櫂を回らすをされざること見ん。
『答柳柳州食蝦蟆』現代語訳と訳註
(本文)
答柳柳州食蝦蟆 #1
蝦蟆雖水居,水特變形貌。
強號為蛙蛤,於實無所校。
雖然兩股長,其奈脊皴皰。
跳躑雖云高,意不離濘淖。
(下し文)
(柳柳州の「蝦蟆を食う」に答う)
蝦蟆は水に居ると雖も,水 特に形貌を變ず。
強いて號すは蛙蛤【あこう】と為す,實に於て校【くら】ぶる所無し。
兩の股 長しと雖然【いえど】も,其れ脊の皴皰【しゅんぽう】を奈【いか】んせん。
跳躑【ちょうてき】すること高しと云うと雖も,意は濘淖【ねいとう】を離れず。
(現代語訳)
(柳柳州、柳宗元柳州刺史の「蝦蟆を食う」詩に答える)
蝦蟆は水のなかに棲むものだが、水に棲む動物のなかでも特に変わった形をしている。
強いて蛙を水属のなかに入れているが、実際はほかに似たものがないのだ。
二本の脚は長いが、背中のいぼいぼはどうしようもない。
跳び上がるのは高いけれども、心はぬかるみから離れてはいないのだ。
(訳注)
答柳柳州食蝦蟆
(柳柳州、柳宗元柳州刺史の「蝦蟆を食う」詩に答える)
○柳柳州 韓愈の親友の柳宗元のこと。当時は柳州(広西壮族自治区柳州市)刺史となっていたので、こう呼ぶ。柳宗元は王伾・王叔文の一党として永州(湖南省零陵県)へ流されたが、赦免があるというので一時都へ召還されたことがある。しかし、結局都に残ることは許されず、柳州刺史の辞令をもらって赴任したのである。柳宗元は河東(山西省永済県)の人で、韓愈と同じく北方の出身である。それが嶺南へ来たのだから、何かと違った風習にとまどうことが多かったである。
北にはない蛙を食べる習慣もその一つである。蝦蟆というが、実際には食用蛙のようなもので、嶺南では特に珍しい食物ではなかったが、初めてこれを食べさせられる身になってみれば、たいへんなことであった。柳宗元の「蝦蟆を食う」という詩は現在残っていないが、食卓に蛙が出たのでびっくりしたものの、これも天命としてあきらめて食べたという内容をもつものだったであろう。柳宗元は韓愈が潮州に流されたことを知っており、同じ北方人としての共感をこめて、この詩を贈ったわけである。韓愈もやはり蛙を食べさせられて参っていたので、幾分の諧謔はまじえながらも、この詩を作って答えたものである。
蝦蟆雖水居,水特變形貌。
蝦蟆は水のなかに棲むものだが、水に棲む動物のなかでも特に変わった形をしている。
○蝦蟆/蝦蟇 【がまがえる】. ヒキガエルの別名。がま。ここは食用ガエル。
強號為蛙蛤,於實無所校。
強いて蛙を水属のなかに入れているが、実際はほかに似たものがないのだ。
○蛙蛤 食用蛙。
○校 くらべる。かんがえる。えらぶ。むくいる。
雖然兩股長,其奈脊皴皰。
二本の脚は長いが、背中のいぼいぼはどうしようもない。
○脊皴皰 しわ、あかぎれ、みずぶくれ、ニキビなどの肌の様子。
跳躑雖云高,意不離濘淖。
跳び上がるのは高いけれども、心はぬかるみから離れてはいないのだ。
○跳躑 上下跳躍。
○濘淖 濘とは、ぬかるみという意味 淖はどろ。
#4
#2
鳴聲相呼和,無理只取鬧。
鳴き声は呼びあって合唱し、筋みちも何もなく、ただやかましいだけだ。
周公所不堪,灑灰垂典教。
周公もそのうるさいのに耐えかねたのであろう、灰をかけることをわざわざ教えとして垂れたもうた。
我棄愁海濱,恆願眠不覺。
私は聖天子から見捨てられ、こうして、潮州の海浜で憂愁の日々を送っている。いつも願うのは、一度眠りこんだら目がさめないことだ。
叵堪朋類多,沸耳作驚爆。
ところがえびばく蝦蟇は同類が多くて、沸きかえるほどに爆竹の音を耳に響かせるような鳴き声をたてるのにはやりきれない。
#3
端能敗笙磬,仍工亂學校。
雖蒙句踐禮,竟不聞報效。
大戰元鼎年,孰強孰敗橈。
居然當鼎味,豈不辱釣罩。
#4
余初不下喉,近亦能稍稍。
常懼染蠻夷,失平生好樂。
而君復何為,甘食比豢豹。
獵較務同俗,全身斯為孝。
哀哉思慮深,未見許回櫂。
(柳柳州の「蝦蟆を食う」に答う)
蝦蟆は水に居ると雖も,水 特に形貌を變ず。
強いて號すは蛙蛤【あこう】と為す,實に於て校【くら】ぶる所無し。
兩の股 長しと雖然【いえど】も,其れ脊の皴皰【しゅんぽう】を奈【いか】んせん。
跳躑【ちょうてき】すること高しと云うと雖も,意は濘淖【ねいとう】を離れず。
鳴聲 相い呼びて和し,理 無くして只だ鬧【どう】を取るのみ。
周公 堪えざる所,灰を灑ぎて典教を垂る。
我 棄てられて海濱に愁い,恆【つね】に眠り覺めざるを願う。
堪え叵【がた】し朋類の多くすを,耳に沸いて驚爆を作すに。
端端【つまびら】かにすれば能く笙磬【しょうけい】を敗り,仍【な】お工みに學校を亂る。
句踐の禮を蒙むると雖も,竟に報效せしを聞かず。
大戰あるは元鼎の年なり,孰【いず】れか強く孰れか敗橈【はいとう】せる。
居然として鼎味に當り,豈に釣罩【ちょうとう】を辱【はずか】しめざらんや。
余 初めは喉より下らざるも,近ごろは亦た能く稍稍たり。
常に懼る 蠻夷に染るを,平生の好樂を失うを。
而も君 復た何為【なんす】れぞ,甘食 豢豹【かんぴょう】に比ぶれば。
獵較【りょうこう】 俗に同じきに務め,身を全うする 斯れを孝と為す。
哀しい哉 思慮深くして,未だ許櫂を回らすをされざること見ん。
『答柳柳州食蝦蟆』現代語訳と訳註
(本文)
答柳柳州食蝦蟆 #2
鳴聲相呼和,無理只取鬧。
周公所不堪,灑灰垂典教。
我棄愁海濱,恆願眠不覺。
叵堪朋類多,沸耳作驚爆。
(下し文)
鳴聲 相い呼びて和し,理 無くして只だ鬧【どう】を取るのみ。
周公 堪えざる所,灰を灑ぎて典教を垂る。
我 棄てられて海濱に愁い,恆【つね】に眠り覺めざるを願う。
堪え叵【がた】し朋類の多くすを,耳に沸いて驚爆を作すに。
(現代語訳)
鳴き声は呼びあって合唱し、筋みちも何もなく、ただやかましいだけだ。
周公もそのうるさいのに耐えかねたのであろう、灰をかけることをわざわざ教えとして垂れたもうた。
私は聖天子から見捨てられ、こうして、潮州の海浜で憂愁の日々を送っている。いつも願うのは、一度眠りこんだら目がさめないことだ。
ところが蝦幕は同類が多くて、沸きかえるほどに爆竹の音を耳に響かせるような鳴き声をたてるのにはやりきれない。
(訳注)
答柳柳州食蝦蟆#2
(柳柳州、柳宗元柳州刺史の「蝦蟆を食う」詩に答える)
○柳柳州 韓愈の親友の柳宗元のこと。当時は柳州(広西壮族自治区柳州市)刺史となっていたので、こう呼ぶ。柳宗元は王伾・王叔文の一党として永州(湖南省零陵県)へ流されたが、赦免があるというので一時都へ召還されたことがある。しかし、結局都に残ることは許されず、柳州刺史の辞令をもらって赴任したのである。柳宗元は河東(山西省永済県)の人で、韓愈と同じく北方の出身である。それが嶺南へ来たのだから、何かと違った風習にとまどうことが多かったである。
鳴聲相呼和,無理只取鬧。
鳴き声は呼びあって合唱し、筋みちも何もなく、ただやかましいだけだ。
○鬧 騒がしいという意味。喧鬧/諠鬧【けんとう】とは。意味や解説。[名・形動]さわがしいこと。また、そのさま。
周公所不堪,灑灰垂典教。
周公もそのうるさいのに耐えかねたのであろう、灰をかけることをわざわざ教えとして垂れたもうた。
○周公 周公の定めた制度を記録したと伝えられる『周礼』のなかに、実のつかない菊を焼いた灰をかければ、蛙は退治できるとある。
我棄愁海濱,恆願眠不覺。
私は聖天子から見捨てられ、こうして、潮州の海浜で憂愁の日々を送っている。いつも願うのは、一度眠りこんだら目がさめないことだ。
○我棄 この度の潮州に左遷されたこと。
○眠不覺 一度眠りこんだら目がさめないこと。中王朝手には二度と呼び戻されないのではないかという心配の気持ちを云う。
叵堪朋類多,沸耳作驚爆。
ところが蝦幕は同類が多くて、沸きかえるほどに爆竹の音を耳に響かせるような鳴き声をたてるのにはやりきれない。
#3
端能敗笙磬,仍工亂學校。
たしかにこれは妙なる音楽の音色をもだめにしてしまうほどのものであり、しかもうまい具合に学校で読書する声をもかき乱してしまうものだ。
雖蒙句踐禮,竟不聞報效。
越王句践のあいさつ(檄)は受けたけれど、恩返しというほどの働きをした話を聞いていない。
大戰元鼎年,孰強孰敗橈。
漢の元鼎の年に大合戦があったとのことだが、どちらが強くてどちらが負けたのか。
居然當鼎味,豈不辱釣罩。
それが料理の基本になっている、これは魚をとる道具をけがすものではないか。
#4
余初不下喉,近亦能稍稍。
常懼染蠻夷,失平生好樂。
而君復何為,甘食比豢豹。
獵較務同俗,全身斯為孝。
哀哉思慮深,未見許回櫂。
(柳柳州の「蝦蟆を食う」に答う)
蝦蟆は水に居ると雖も,水 特に形貌を變ず。
強いて號すは蛙蛤【あこう】と為す,實に於て校【くら】ぶる所無し。
兩の股 長しと雖然【いえど】も,其れ脊の皴皰【しゅんぽう】を奈【いか】んせん。
跳躑【ちょうてき】すること高しと云うと雖も,意は濘淖【ねいとう】を離れず。
鳴聲 相い呼びて和し,理 無くして只だ鬧【どう】を取るのみ。
周公 堪えざる所,灰を灑ぎて典教を垂る。
我 棄てられて海濱に愁い,恆【つね】に眠り覺めざるを願う。
堪え叵【がた】し朋類の多くすを,耳に沸いて驚爆を作すに。
端【つまびら】かにすれば能く笙磬【しょうけい】を敗り,仍【な】お工みに學校を亂る。
句踐の禮を蒙むると雖も,竟に報效せしを聞かず。
大戰あるは元鼎の年なり,孰【いず】れか強く孰れか敗橈【はいとう】せる。
居然として鼎味に當り,豈に釣罩【ちょうとう】を辱【はずか】しめざらんや。
余 初めは喉より下らざるも,近ごろは亦た能く稍稍たり。
常に懼る 蠻夷に染るを,平生の好樂を失うを。
而も君 復た何為【なんす】れぞ,甘食 豢豹【かんぴょう】に比ぶれば。
獵較【りょうこう】 俗に同じきに務め,身を全うする 斯れを孝と為す。
哀しい哉 思慮深くして,未だ許櫂を回らすをされざること見ん。
『答柳柳州食蝦蟆』現代語訳と訳註
(本文)
端能敗笙磬,仍工亂學校。
雖蒙句踐禮,竟不聞報效。
大戰元鼎年,孰強孰敗橈。
居然當鼎味,豈不辱釣罩。
(下し文)
端【つまびら】かにすれば能く笙磬【しょうけい】を敗り,仍【な】お工みに學校を亂る。
句踐の禮を蒙むると雖も,竟に報效せしを聞かず。
大戰あるは元鼎の年なり,孰【いず】れか強く孰れか敗橈【はいとう】せる。
居然として鼎味に當り,豈に釣罩【ちょうとう】を辱【はずか】しめざらんや。
(現代語訳)
たしかにこれは妙なる音楽の音色をもだめにしてしまうほどのものであり、しかもうまい具合に学校で読書する声をもかき乱してしまうものだ。
越王句践のあいさつ(檄)は受けたけれど、恩返しというほどの働きをした話を聞いていない。
漢の元鼎の年に大合戦があったとのことだが、どちらが強くてどちらが負けたのか。
それが料理の基本になっている、これは魚をとる道具をけがすものではないか。
(訳注)
端能敗笙磬,仍工亂學校。
たしかにこれは妙なる音楽の音色をもだめにしてしまうほどのものであり、しかもうまい具合に学校で読書する声をもかき乱してしまうものだ。
○端 はた、へり、ふち。正しい。初め。偏らない。本源。つまびらか。
○笙磬 たくさんの管楽器や打楽器の音が調和しているという意味から、多くの人が心を一つにして仲良くすることの例えにいう。『詩経・小雅・鼓鐘』「鼓鍾欽欽、鼓瑟鼓琴、笙磬同音。以雅以南、以籥不僭」に基づく。「笙」は「ふえ」、「磬」は「うちならし」。鼓も鐘も琴も瑟もみなみな音楽ではそれぞれの楽器が乱れてはいけません。
雖蒙句踐禮,竟不聞報效。
越王句践のあいさつ(檄)は受けたけれど、恩返しというほどの働きをした話を聞いていない。
○句踐禮 『韓非子』に越王句践が呉との戦争に出かけたとき、怒った蛙がいたのであいさつした。その理由をたずねられたとき、句践は、蛙の勇ましさを尊敬したのだと答えた。これを聞いて、越の兵士はみな奮いたったという
大戰元鼎年,孰強孰敗橈。
漢の元鼎の年に大合戦があったとのことだが、どちらが強くてどちらが負けたのか。
○元鼎年 『漢書』に武帝の元鼎五年(紀元前112年)、蛙の大合戦があったという記事がある。
居然當鼎味,豈不辱釣罩。
それが料理の基本になっている、これは魚をとる道具をけがすものではないか。
○釣罩 釣などで使う魚を捕える円筒形の竹かご。罩:(1) (~儿)覆い,カバー口罩マスク.(2) (~儿)上っ張り.(3) 養鶏用の竹かご.(4) うけ.
#4
余初不下喉,近亦能稍稍。
私は始めのうちは食べようとしても喉を通らなかったが、近ごろではまた少しずつ慣れてきた。
常懼染蠻夷,失平生好樂。
それでもこわいもので蛮夷の風習に染まって、平生の好みを失ってしまうのではないかといつも気がかりなのだ。
而君復何為,甘食比豢豹。
それなのに君はまたどうしたことだろうか、甘いものを食べるのと高級な肉料理とくらべて喜んで食べているということを。
獵較務同俗,全身斯為孝。
孟子も言っている、「狩猟の獲物をくらべるのでも土地の風俗に同調しょうとつとめるもの」だし、親からもらったこの身を全うするのこそ孝行である。
哀哉思慮深,未見許回櫂。
ああ悲しいことに君の思慮は深いのだが、都へと帰る舟に乗りこむことはまだ許されていない。君はまだ帰してもらえない。
(柳柳州の「蝦蟆を食う」に答う)
蝦蟆は水に居ると雖も,水 特に形貌を變ず。
強いて號すは蛙蛤【あこう】と為す,實に於て校【くら】ぶる所無し。
兩の股 長しと雖然【いえど】も,其れ脊の皴皰【しゅんぽう】を奈【いか】んせん。
跳躑【ちょうてき】すること高しと云うと雖も,意は濘淖【ねいとう】を離れず。
鳴聲 相い呼びて和し,理 無くして只だ鬧【どう】を取るのみ。
周公 堪えざる所,灰を灑ぎて典教を垂る。
我 棄てられて海濱に愁い,恆【つね】に眠り覺めざるを願う。
堪え叵【がた】し朋類の多くすを,耳に沸いて驚爆を作すに。
端【つまびら】かにすれば能く笙磬【しょうけい】を敗り,仍【な】お工みに學校を亂る。
句踐の禮を蒙むると雖も,竟に報效せしを聞かず。
大戰あるは元鼎の年なり,孰【いず】れか強く孰れか敗橈【はいとう】せる。
居然として鼎味に當り,豈に釣罩【ちょうとう】を辱【はずか】しめざらんや。
余 初めは喉より下らざるも,近ごろは亦た能く稍稍たり。
常に懼る 蠻夷に染るを,平生の好樂を失うを。
而も君 復た何為【なんす】れぞ,甘食 豢豹【かんぴょう】に比ぶれば。
獵較【りょうこう】 俗に同じきに務め,身を全うする 斯れを孝と為す。
哀しい哉 思慮深くして,未だ許櫂を回らすをされざること見ん。
『答柳柳州食蝦蟆』 現代語訳と訳註
(本文) #4
余初不下喉,近亦能稍稍。
常懼染蠻夷,失平生好樂。
而君復何為,甘食比豢豹。
獵較務同俗,全身斯為孝。
哀哉思慮深,未見許回櫂。
(下し文)
余 初めは喉より下らざるも,近ごろは亦た能く稍稍たり。
常に懼る 蠻夷に染るを,平生の好樂を失うを。
而も君 復た何為【なんす】れぞ,甘食 豢豹【かんぴょう】に比ぶれば。
獵較【りょうこう】 俗に同じきに務め,身を全うする 斯れを孝と為す。
哀しい哉 思慮深くして,未だ許櫂を回らすをされざること見ん。
(現代語訳)
私は始めのうちは食べようとしても喉を通らなかったが、近ごろではまた少しずつ慣れてきた。
それでもこわいもので蛮夷の風習に染まって、平生の好みを失ってしまうのではないかといつも気がかりなのだ。
それなのに君はまたどうしたことだろうか、甘いものを食べるのと高級な肉料理とくらべて喜んで食べているということを。
孟子も言っている、「狩猟の獲物をくらべるのでも土地の風俗に同調しょうとつとめるもの」だし、親からもらったこの身を全うするのこそ孝行である。
ああ悲しいことに君の思慮は深いのだが、都へと帰る舟に乗りこむことはまだ許されていない。君はまだ帰してもらえない。
(訳注) #4
余初不下喉,近亦能稍稍。
私は始めのうちは食べようとしても暇を通らなかったが、近ごろではまた少しずつ慣れてきた。
常懼染蠻夷,失平生好樂。
それでもこわいもので蛮夷の風習に染まって、平生の好みを失ってしまうのではないかといつも気がかりなのだ。
○蛮夷 蛮夷戎狄。中華思想における支配民族(漢民族、漢人とは限らない)による異民族への蔑称を意味する。戎狄(じゅうてき)や、蛮夷(ばんい)とも呼ばれた。 中華(華の中)に対し、夷狄は外世界(華の外)を指す言葉で【未開・野蛮】を意味する。
而君復何為,甘食比豢豹。
それなのに君はまたどうしたことだろうか、甘いものを食べるのと高級な肉料理とくらべて喜んで食べているということを。
○豢豹 めずらしいものを食べるために豹を飼育する。
獵較務同俗,全身斯為孝。
孟子も言っている、「狩猟の獲物をくらべるのでも土地の風俗に同調しょうとつとめるもの」だし、親からもらったこの身を全うするのこそ孝行である。
○獵較務同俗 『孟子』に魯の国の風俗で、狩猟の獲物をくらべることが記されており、孔子もその風俗を重んじて獲物を比べたという。『孟子·万章下』「孔子之仕於魯也, 魯人獵較, 孔子亦獵較。」
哀哉思慮深,未見許回櫂。
ああ悲しいことに君の思慮は深いのだが、都へと帰る舟に乗りこむことはまだ許されていない。君はまだ帰してもらえない。
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