韓昌黎集 巻八 《黎08-10 遠遊聯句〔韓愈、李翱、孟郊〕》-1 韓愈 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5261
- 2014/12/13
- 00:42
《遠遊聯句〔韓愈、李翱、孟郊〕》(江南に赴任する孟郊と韓愈・李翺の送別の聯句。)別離に際して、我がはらわたは心と体も離れ車輪のように回転し、それも一日で、一万回転もするほどである。
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作年:798年貞元14年 31歳
卷別: 卷七九一 文體: 五言古詩
韓昌黎集 巻八
詩題: 遠遊聯句【韓愈、李翱、孟郊】
作地點: 汴州(河南道 / 汴州 / 汴州)
遠遊聯句
別腸車輪轉,一日一萬周。離思春冰泮,瀾漫不可收。
馳光忽以迫,飛轡誰能留。取之詎灼灼,此去信悠悠。」
楚客宿江上,夜魂棲浪頭。曉日生遠岸,水芳綴孤舟。
村飲泊好木,野蔬拾新柔。獨含悽悽別,中結鬱鬱愁。
人憶舊行樂,鳥吟新得儔。」
靈瑟時窅窅,霠猿夜啾啾。憤濤氣尚盛,恨竹淚空幽。
長懷絕無已,多感良自尤。即路涉獻歲,歸期眇涼秋。
兩歡日牢落,孤悲坐綢繆。」
觀怪忽蕩漾,叩奇獨冥搜。海鯨吞明月,浪島沒大漚。
我有一寸鉤,欲釣千丈流。良知忽然遠,壯志鬱無抽。」
魍魅暫出沒,蛟螭互蟠蟉。昌言拜舜禹,舉颿凌斗牛。
懷糈饋賢屈,乘桴追聖丘。飄然天外步,豈肯區中囚。」
楚些待誰弔,賈辭緘恨投。翳明弗可曉,祕魂安所求。
氣毒放逐域,蓼雜芳菲疇。當春忽淒涼,不枯亦颼飀。
貉謠眾猥款,巴語相咿嚘。默誓去外俗,嘉願還中州。
江生行既樂,躬輦自相戮。飲醇趣明代,味腥謝荒陬。」
馳深鼓利楫,趨險驚蜚輶。繫石沈靳尚,開弓射鴅吺。
路暗執屏翳,波驚戮陽侯。廣泛信縹緲,高行恣浮游。」
外患蕭蕭去,中悒稍稍瘳。振衣造雲闕,跪坐陳清猷。
德風變讒巧,仁氣銷戈矛。名聲照西海,淑問無時休。
歸哉孟夫子,歸去無夷猶。」
遠遊聯句 #1
(江南に赴任する孟郊と韓愈・李翺の送別の聯句。)
別腸車輪轉,一日一萬周。 〔孟郊。〕
別離に際して、我がはらわたは心と体も離れ車輪のように回転し、それも一日で、一万回転もするほどである。
離思春冰泮,瀾漫不可收。 〔韓愈。〕
離愁は、春冰が溶けだして、春水があふれることの様に瀾漫として収拾がつかないほどである。
馳光忽以迫,飛轡誰能留。 〔孟郊。〕
日陰は、頻りに馳せていて、暫くすると日はくれてきて、馬を乗り出しても誰も止めることができない。
取之詎灼灼,此去信悠悠。 〔李翱。〕
ここに、別離を為すことは灼灼として明白であり、ここを去れば、万里の先、悠悠として尽きることが無い。(遠遊聯句)#1
別腸 車輪轉じ,一日 一萬周。 〔孟郊。〕
離思 春冰泮け,瀾漫 收む可からず。〔韓愈。〕
馳光 忽ち以て迫る,飛轡 誰か能く留めん。〔孟郊。〕
之を取ること詎ぞ灼灼たる,此を去って 信に悠悠たり。〔李翱。〕
#2
楚客宿江上,夜魂棲浪頭。
曉日生遠岸,水芳綴孤舟。
村飲泊好木,野蔬拾新柔。
獨含悽悽別,中結鬱鬱愁。
人憶舊行樂,鳥吟新得儔【孟郊。】。
#3
靈瑟時窅窅,霠猿夜啾啾。
憤濤氣尚盛,恨竹淚空幽。
長懷絕無已,多感良自尤。
即路涉獻歲,歸期眇涼秋。
兩歡日牢落,孤悲坐綢繆【韓愈。】。
#4
觀怪忽蕩漾,叩奇獨冥搜。
海鯨吞明月,浪島沒大漚。
我有一寸鉤,欲釣千丈流。
良知忽然遠,壯志鬱無抽【孟郊。】。
#5
魍魅暫出沒,蛟螭互蟠蟉。
昌言拜舜禹,舉颿凌斗牛。
懷糈饋賢屈,乘桴追聖丘。
飄然天外步,豈肯區中囚【韓愈。】。
#6
楚些待誰弔,賈辭緘恨投。
翳明弗可曉,祕魂安所求。
氣毒放逐域,蓼雜芳菲疇。
當春忽淒涼,不枯亦颼飀。
#7
貉謠眾猥款,巴語相咿嚘。
默誓去外俗,嘉願還中州。
江生行既樂,躬輦自相戮。
飲醇趣明代,味腥謝荒陬【孟郊。】。
#8
馳深鼓利楫,趨險驚蜚輶。
繫石沈靳尚,開弓射鴅吺。
路暗執屏翳,波驚戮陽侯。
廣泛信縹緲,高行恣浮游。
#9
外患蕭蕭去,中悒稍稍瘳。
振衣造雲闕,跪坐陳清猷。
德風變讒巧,仁氣銷戈矛。
名聲照西海,淑問無時休。
歸哉孟夫子,歸去無夷猶【韓愈。】。
『遠遊聯句』 現代語訳と訳註解説
(本文)
(遠遊聯句)#1
別腸車輪轉,一日一萬周。 〔孟郊。〕
離思春冰泮,瀾漫不可收。 〔韓愈。〕
馳光忽以迫,飛轡誰能留。 〔孟郊。〕
取之詎灼灼,此去信悠悠。 〔李翱。〕
(下し文)
(遠遊聯句)#1
別腸 車輪轉じ,一日 一萬周。 〔孟郊。〕
離思 春冰泮け,瀾漫 收む可からず。〔韓愈。〕
馳光 忽ち以て迫る,飛轡 誰か能く留めん。〔孟郊。〕
之を取ること詎ぞ灼灼たる,此を去って 信に悠悠たり。〔李翱。〕
(現代語訳)
(江南に赴任する孟郊と韓愈・李翺の送別の聯句。)
別離に際して、我がはらわたは心と体も離れ車輪のように回転し、それも一日で、一万回転もするほどである。
離愁は、春冰が溶けだして、春水があふれることの様に瀾漫として収拾がつかないほどである。
日陰は、頻りに馳せていて、暫くすると日はくれてきて、馬を乗り出しても誰も止めることができない。
ここに、別離を為すことは灼灼として明白であり、ここを去れば、万里の先、悠悠として尽きることが無い。
(訳注)
(遠遊聯句)#1
(江南に赴任する孟郊と韓愈・李翺の送別の聯句。)
○遠遊 元和三年、孟郊が溧陽尉に任ぜられて、江南に赴任するということで、孟郊20韻を中心にして、韓愈19韻、李翺1韻を聯句とした。孟郊が遠方にしか赴任する所がなく、ふてくされているのを慰めるための聯句ということである。
○李翺 貞元14年(798年)に進士となる。元和年間の初めに国子博士に任命され、元和15年(820年)に史館修撰となり考功員外郎と兼任する。後に朗州と廬州刺史へと左遷され、大和元年(826年)に文宗が即位すると入朝して諫議大夫となり、すぐに知制誥に復帰する。大和7年(833年)に潭州刺史、大和9年(835年)から湖南視察使・検校戸部尚書・襄州刺史・山南東道節度使を経て襄陽(または会昌中鎮)に赴任中に没した。諡は文公。
李翱は韓愈の高弟であり、士を好むところが似ていた。人に一善一能ある時は必ず賞賛し、賢者を推挙する機会を常に求めていたという。
327 《韓愈が尊敬と信頼していた人物。韓愈門下の中心人物「李翱」》 韓愈kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 3961 (03/28)
別腸車輪轉,一日一萬周。 〔孟郊。〕
別離に際して、我がはらわたは心と体も離れ車輪のように回転し、それも一日で、一万回転もするほどである。
別腸 別離に際して心と体も離れること。
離思春冰泮,瀾漫不可收。 〔韓愈。〕
離愁は、春冰が溶けだして、春水があふれることの様に瀾漫として収拾がつかないほどである。
瀾漫 滴り落ちる。別れ散るさま。乱雑でだらしないさま。色彩の美しいさま。
馳光忽以迫,飛轡誰能留。 〔孟郊。〕
日陰は、頻りに馳せていて、暫くすると日はくれてきて、馬を乗り出しても誰も止めることができない。
馳光 光陰矢のごとし。
飛轡 轡を取って飛んでゆく。
取之詎灼灼,此去信悠悠。 〔李翱。〕
ここに、別離を為すことは灼灼として明白であり、ここを去れば、万里の先、悠悠として尽きることが無い。
孟郊
793年貞元九年の作と推定されている。孟郊(751~814)は、愈より年長であったが、進士の科に合格したのはあとになってしまった。後年のことになるが、孟郊が官職を得るのに愈が骨を折ってやったこともあり、そんな縁で孟郊は韓門の一人に数えられているが、愈の弟子ではない。「孟詩韓筆」(詩は孟郊で散文は韓愈)という評判をとったほどで、愈もこの人に対しては、あくまでも先輩に対する礼をとることを忘れなかった。
孟郊が進士の試に合格したのは796年貞元十二年であった。礼部の試には合格したが、吏部の試には落第した愈と、礼部の試にも合格できぬ郊と、落第の段階は違うが、官職につけず、俸給がもらえない点では、変わりがない。だから愈のこの時期の詩はヽ進士の試に合格はしたものの、「門を出ず」と同じ調子をもっている。 そして翌794年貞元十年に、愈が最も尊敬していた同輩の李観が死んだ。観はすでに博学鴻辞の科にも合格し、太子校書の職を授けられていた。
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