韓昌黎集 巻八 《黎08-10 遠遊聯句〔韓愈、李翱、孟郊〕》-8 韓愈kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5296
- 2014/12/20
- 00:41
8 《遠遊聯句〔韓愈、李翱、孟郊〕》かの屈原を讒言した靳尚の様な賊臣の者には、石をおもりに着けて、水中に沈め、葉、舜の時に逆賊と為したものであるから、弓を開いてこれを射て、これと同じようなものが二度と悪逆を為し得ぬようにしたなら実に愉快であろう。
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#8
馳深鼓利楫,趨險驚蜚輶。
水位の深みを馳せてゆくには、便利にできた楫を鼓する他にはなく、道の険しい所に差し掛かると輕車でさえも辟易するもので、何分にも、その生涯もなく万事願のままにありたいとおもうのである。
繫石沈靳尚,開弓射鴅吺。
かの屈原を讒言した靳尚の様な賊臣の者には、石をおもりに着けて、水中に沈め、葉、舜の時に逆賊と為したものであるから、弓を開いてこれを射て、これと同じようなものが二度と悪逆を為し得ぬようにしたなら実に愉快であろう。
路暗執屏翳,波驚戮陽侯。
また、路が暗くても、屏翳という、自ら天使を名乗った悪者を取り押さえ、波立ち騒ぎ立つ間に入って、陽侯という水神を殺してしまい、江南の僻處に旅をするとき、朝から晩まで水陸の全てに人に害をするもの根絶するように致したい。
廣泛信縹緲,高行恣浮游。
広大な水の上に、泛んでも煙浪縹緲の中にあり、高い山に登っても、かってに遊賞することができる。
#9
外患蕭蕭去,中悒稍稍瘳。
振衣造雲闕,跪坐陳清猷。
德風變讒巧,仁氣銷戈矛。
名聲照西海,淑問無時休。
歸哉孟夫子,歸去無夷猶。 〔韓愈。〕
#8
深きに馳せて利楫【りしゅう】を鼓し,險に趨って蜚輶【ひいう】に驚く。
石を繫いで靳尚【きんしょう】を沈めんとし,弓を開いて鴅吺【かんとう】を射ん。
路 暗くして屏翳【へいえい】を執【とら】え,波驚いて陽侯を戮す。
廣泛 信に縹緲たり,高行 恣【ほしいまま】に浮游す。
#9
外患 蕭蕭として去り,中悒 稍稍として瘳【い】えん。
衣を振って 雲闕に造り,跪坐して 清猷を陳ぶ。
德風 讒巧を變じ,仁氣 戈矛【かぼう】を銷さん。
名聲 西海を照らし,淑問 時に休む無し。
歸れ哉 孟夫子,歸り去って夷猶する無し。 〔韓愈。〕
『遠遊聯句』 現代語訳と訳註解説
(本文) #8
馳深鼓利楫,趨險驚蜚輶。
繫石沈靳尚,開弓射鴅吺。
路暗執屏翳,波驚戮陽侯。
廣泛信縹緲,高行恣浮游。
(下し文) #8
深きに馳せて利楫【りしゅう】を鼓し,險に趨って蜚輶【ひいう】に驚く。
石を繫いで靳尚【きんしょう】を沈めんとし,弓を開いて鴅吺【かんとう】を射ん。
路 暗くして屏翳【へいえい】を執【とら】え,波驚いて陽侯を戮す。
廣泛 信に縹緲たり,高行 恣【ほしいまま】に浮游す。
(現代語訳)
水位の深みを馳せてゆくには、便利にできた楫を鼓する他にはなく、道の険しい所に差し掛かると輕車でさえも辟易するもので、何分にも、その生涯もなく万事願のままにありたいとおもうのである。
かの屈原を讒言した靳尚の様な賊臣の者には、石をおもりに着けて、水中に沈め、葉、舜の時に逆賊と為したものであるから、弓を開いてこれを射て、これと同じようなものが二度と悪逆を為し得ぬようにしたなら実に愉快であろう。
また、路が暗くても、屏翳という、自ら天使を名乗った悪者を取り押さえ、波立ち騒ぎ立つ間に入って、陽侯という水神を殺してしまい、江南の僻處に旅をするとき、朝から晩まで水陸の全てに人に害をするもの根絶するように致したい。
広大な水の上に、泛んでも煙浪縹緲の中にあり、高い山に登っても、かってに遊賞することができる。
(訳注) #8
(遠遊聯句)
(江南に赴任する孟郊と韓愈・李翺の送別の聯句。)
○遠遊 元和三年、孟郊が溧陽尉に任ぜられて、江南に赴任するということで、孟郊20韻を中心にして、韓愈19韻、李翺1韻を聯句とした。孟郊が遠方にしか赴任する所がなく、ふてくされているのを慰めるための聯句ということである。
馳深鼓利楫,趨險驚蜚輶。
水位の深みを馳せてゆくには、便利にできた楫を鼓する他にはなく、道の険しい所に差し掛かると輕車でさえも辟易するもので、何分にも、その生涯もなく万事願いのままにありたいとおもうのである。
蜚輶 ・羽を左右に広げるの意。虫などが羽を開いて飛ぶこと、または、そのような虫。 意義[編集]. 空を飛ぶ。飛と同義。・輶:輕車。又音由
繫石沈靳尚,開弓射鴅吺。
かの屈原を讒言した靳尚の様な賊臣の者には、石をおもりに着けて、水中に沈め、葉、舜の時に逆賊と為したものであるから、弓を開いてこれを射て、これと同じようなものが二度と悪逆を為し得ぬようにしたなら実に愉快であろう。
靳尚 屈原を讒言した靳尚の様な賊臣の者。上官大夫靳尚は屈原と位を同じくし、その君寵を憎んだ。そこで靳尚は王に讒言して「王が屈平に法令を作らせれば、平は自分の功を誇り、自分でなければ誰もできないと自負しています」と言った。そのため懐王は屈原を遠ざけた。
鴅吺 驩兜(かんとう)または、歡兜・驩頭・鴅吺、鴅兜は、古代中国神話に登場する悪神。共工、鯀、三苗とともに並ぶ四罪の一人。堯の時代の悪人とも言われている。
路暗執屏翳,波驚戮陽侯。
また、路が暗くても、屏翳という、自ら天使を名乗った悪者を取り押さえ、波立ち騒ぎ立つ間に入って、陽侯という水神を殺してしまい、江南の僻處に旅をするとき、朝から晩まで水陸の全てに人に害をするもの根絶するように致したい。
屏翳 ①古代漢族伝説中の神名。➁ 雷神。史記.卷一一七.司馬相如傳:「時若薆薆將混濁兮,召屏翳,誅風伯而刑雨神。」韋昭.注:「屏翳,雷神也。」➂ 雲神。楚辭.九歌.雲中君.王逸.注:「雲神,豐隆也,一曰:『屏翳』。」➃ 風神。文選.曹植.洛神賦:「屏翳收風,川后靜波。
陽侯 傳說中の水神。能く風を興し浪を作す,災害を造成す。『淮南子・覽冥』「武王伐紂し,孟津を渡る,陽侯の波,逆流して擊す。」
廣泛信縹緲,高行恣浮游。
広大な水の上に、泛んでも煙浪縹緲の中にあり、高い山に登っても、かってに遊賞することができる。
縹緲 とおくかすかなさま。はるかにひろい。緲【さ】 =紗。かすか。
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