巻1 10 李太白集 《0110 古風五十九首之十》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5351
- 2015/01/05
- 21:30
李白《古風五十九首之十》 仲秋の名月は真珠が満足の行く大きさになって初めて海底から出てくるものである。そしてそれはある朝にはすべての物から注目される光輝をはなつということになるのだ。かつて、秦の軍隊を追っ払ってすぐれた名声をとどろかせ、後世の人はその威光が後世になっても消えないで光っているから仰いでいるのである。
Index- | 20 | Ⅱ― 16-741年開元二十九年41歳 | 14 |
ID | No. | 詩題 | 詩文初句 |
237 | 1 | 古風,五十九首之十 | 齊有倜儻生, |
238 | 2 | 古風,五十九首之十一 | 黃河走東溟, |
239 | 3 | 鳳吹笙曲【鳳笙篇送別】 | 仙人十五愛吹笙, |
240 | 4 | 搗衣篇 | 閨裡佳人年十餘, |
241 | 5 | 東魯見狄博通 | 去年別我向何處, |
242 | 6 | 秋日鍊藥院鑷白髮贈元六兄林宗 | 木落識歲秋, |
243 | 7 | 贈從弟冽 | 楚人不識鳳, |
244 | 8 | 別魯頌 | 誰道泰山高, |
245 | 9 | 送薛九被讒去魯 | 宋人不辨玉, |
246 | 10 | 送魯郡劉長史遷弘農長史 | 魯國一杯水, |
247 | 11 | 魯郡堯祠送張十四遊河北 | 猛虎伏尺草, |
248 | 12 | 早秋單父南樓酬竇公衡 | 白露見日滅, |
249 | 13 | 答友人贈烏紗帽 | 領得烏紗帽, |
250 | 14 | 詠鄰女東窗海石榴 | 魯女東窗下, |
製作年: 741年 開元二十九年 41歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之十
古風,五十九首之十
(自分が目標とするのは魯中連であって、自分も彼のように後世になっても光り輝ける人間になりたいと詠う。)
齊有倜儻生,魯連特高妙。
斉の国には志が大きく、人にすぐれ、独立自由である人を多く輩出している、その中でもずばぬけているのは魯仲連である。
明月出海底,一朝開光曜。
仲秋の名月は真珠が満足の行く大きさになって初めて海底から出てくるものである。そしてそれはある朝にはすべての物から注目される光輝をはなつということになるのだ。
卻秦振英聲,後世仰末照。
かつて、秦の軍隊を追っ払ってすぐれた名声をとどろかせ、後世の人はその威光が後世になっても消えないで光っているから仰いでいるのである。
意輕千金贈,顧向平原笑。
千金の贈物をされることすら全く問題にせず、平原君の方をふりむいて一笑に付した。
吾亦澹蕩人,拂衣可同調。
物事にこだわらないたちはわたしも同様である。だから、思いきって、かれと意気投合しょうとおもうのだ。
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古風 其の十
斉に倜儻てきとうの生有り、魯連ろれん 特に高妙。
明月 海底より出で、一朝 光曜こうようを開く。
秦を却しりぞけて 英声を振い、後世 末照を仰ぐ。
意 千金の贈りものを軽んじ、顧みて平原に向って笑う。
吾も亦た 澹蕩たんとうの人、衣を払って 調を同じゅうすべし。
『古風,五十九首之十』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之十
齊有倜儻生,魯連特高妙。
明月出海底,一朝開光曜。
卻秦振英聲,後世仰末照。
意輕千金贈,顧向平原笑。
吾亦澹蕩人,拂衣可同調。
(下し文)
古風 其の十
斉に倜儻てきとうの生有り、魯連ろれん 特に高妙。
明月 海底より出で、一朝 光曜こうようを開く。
秦を却しりぞけて 英声を振い、後世 末照を仰ぐ。
意 千金の贈りものを軽んじ、顧みて平原に向って笑う。
吾も亦た 澹蕩たんとうの人、衣を払って 調を同じゅうすべし。
(現代語訳)
(自分が目標とするのは魯中連であって、自分も彼のように後世になっても光り輝ける人間になりたいと詠う。)
斉の国には志が大きく、人にすぐれ、独立自由である人を多く輩出している、その中でもずばぬけているのは魯仲連である。
仲秋の名月は真珠が満足の行く大きさになって初めて海底から出てくるものである。そしてそれはある朝にはすべての物から注目される光輝をはなつということになるのだ。
かつて、秦の軍隊を追っ払ってすぐれた名声をとどろかせ、後世の人はその威光が後世になっても消えないで光っているから仰いでいるのである。
千金の贈物をされることすら全く問題にせず、平原君の方をふりむいて一笑に付した。
物事にこだわらないたちはわたしも同様である。だから、思いきって、かれと意気投合しょうとおもうのだ。
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(訳注)
古風,五十九首之十
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
(自分が目標とするのは魯中連であって、自分も彼のように後世になっても光り輝ける人間になりたいと詠う。)
齊有倜儻生、魯連特高妙。
斉の国には志が大きく、人にすぐれ、独立自由である人を多く輩出している、その中でもずばぬけているのは魯仲連である。
○斉 今の山東省にあった紀元前の国。昔、周のはじめ、有名な太公望がそこに封ぜられ、又、桓公のようなすぐれた君主の出た土地で、傑物が少なくない。
○倜儻 志が大きく、人にすぐれ、独立自由であること。倜【てき】すぐれていて、拘束されないこと。儻【とう】 志が大きくてぬきんでていること。「倜儻不羈。」
○生 先生の略。
○魯連 魯仲連の略称。戦国時代の斉の国の人で、義侠の士として有名である。伝記は「史記」の列伝に見える。つね日ごろ、人とはちがった大志を抱き、仕官せず職にもつかなかった。たまたま趙の国に遊んでいた時、紀元前二四七年、秦の軍隊が趙の邯鄲(いまの河北省にある)を包囲した。魯仲連は、秦に降伏することに断乎反対して、題の平原君を助けた。同時に、魏の国の王子信陵君もまた、兵を率いて秦を攻撃したので、秦は退却し、趙は救われた。郡部の包囲が解かれたのち、平原君は魯仲連に領地を与えようとした。魯仲連は辞退した。平原君はそこで千金をおくろうとした。魯仲連は笑って言った。「天下に貴ばれる士たる者は、人のために患を排し、難をとき、紛乱を解して、しかも何も受取らないものです。もしも報酬を受取るなら、それは商人です。」何も受け取らないで立去り、生涯ふたたび現われなかった。
明月出海底、一朝開光曜。
仲秋の名月は真珠が満足の行く大きさになって初めて海底から出てくるものである。そしてそれはある朝にはすべての物から注目される光輝をはなつということになるのだ。
○明月 明月は仲秋の名月、八月の十五日の月。すべてを満足するであろうということをあらわす。月中には桂の樹があり、また兎がすむと伝説される。兎は、愛の妙薬を臼でついている。夜光の珠。夜光の珠も闇に置けば光彩を放つが白日に曝せば『魅力』を失う。
○海底 「神農本草経」に「珊瑚は海底の盤石の上に生ず一歳にして黄、三歳にして赤し。海人先ず鉄網を作りて水底に沈むれば中を貫いて生ず。網を絞りて之を出す。時を失して取らざれは則ち腐る。」とある。な玉輪 鉄網の二句には奥に隠された意味があると思われる。例えば西晋の傅玄(217-278)の雑詩の句「明月常には盈つるあたわず。」という月が女性の容姿の喩えであるように、恐らく「顧免初生魄」は、少くとも、愁いを知りそめた乙女の顔、そしてその瞳への聯想をいざなうように作られている。また、熟せば赤くなる珊瑚、だがまだ枝を生じないから網でひきあげられてはいない。
卻秦振英聲、後世仰末照。
かつて、秦の軍隊を追っ払ってすぐれた名声をとどろかせ、後世の人はその威光が後世になっても消えないで光っているから仰いでいるのである。
○秦 秦(紀元前778年 - 紀元前206年)は、中国の王朝。周代、春秋時代、戦国時代にわたって存在し、紀元前221年に中国を統一したが、紀元前206年に滅亡した。統一から滅亡までの期間(紀元前221年 - 紀元前206年)を秦代と呼ぶ。国姓は嬴。統一時の首都は咸陽。なお、中国では、4世紀頃まで朝鮮半島南部にあった三韓の一つの辰韓も、秦と表記することがある。
○末照 余光。その威光が後世になっても消えないで光っていること。
意輕千金贈、顧向平原笑。
千金の贈物をされることすら全く問題にせず、平原君の方をふりむいて一笑に付した。
○平原 (未詳- 紀元前251年)は、中国戦国時代の趙の公子で政治家。氏は趙、諱は勝。武霊王の子、恵文王の弟。食客を集めて兄恵文王、続いて甥孝成王を補佐した。戦国四君の一人。人士を好み食客を数千人集めていた。その中には公孫竜や鄒衍などもいた。紀元前251年、死去。子孫が平原君を継ぐが、秦により趙が滅亡した際に共に滅ぼされた。
吾亦澹蕩人、拂衣可同調。
物事にこだわらないたちはわたしも同様である。だから、思いきって、かれと意気投合しょうとおもうのだ。
○澹蕩 あっさりして、物事にこだわらないこと。
○払衣 上衣をぱっとはねあげてすっくとたちあがること。決然と別れを告げるときに用いることば。
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