巻1 12 李太白集 《0112 古風五十九首之十二》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5361
- 2015/01/07
- 22:21
強い個性をもって光っている厳子陵という人は、あおあおとした波の間に釣糸を垂れていた。その身は現われては消える客星のように世間からかくれたのだ、そして、心は、大空の浮雲のように、のどかでひろいものであった。万乗の天子、光武帝にたいし最敬礼をした、そして、さっさと富春山へと帰っていった。
巻1 12 李太白集 《0112 古風五十九首之十二》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5361 |
Index- | 22 | Ⅲ― 2-743年天寶二年43歳 | 94 |
ID | No. | 詩題 | 詩文初句 |
269 | 1 | 古風,五十九首之十二 | 松柏本孤直, |
270 | 2 | 古風,五十九首之二十一 | 郢客吟白雪, |
271 | 3 | 古風,五十九首之三十九 | 登高望四海, |
272 | 4 | 古風,五十九首之四十四 | 綠蘿紛葳蕤, |
273 | 5 | 古風,五十九首之四十七 | 桃花開東園, |
274 | 6 | 古風,五十九首之四十九 | 美人出南國, |
275 | 7 | 古風,五十九首之五十 | 宋國梧臺東, |
276 | 8 | 古風,五十九首之五十六 | 越客採明珠, |
製作年: 743年 天寶二年 43歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之十二
作地點: 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)
及地點: 富春山 (江南東道 睦州 桐廬) 別名:嚴陵山
古風,五十九首之十二
松柏本孤直,難為桃李顏。
昭昭嚴子陵,垂釣滄波間。
身將客星隱,心與浮雲閒。
長揖萬乘君,還歸富春山。
清風灑六合,邈然不可攀。
使我長歎息,冥棲巖石間。
(世間からはなれて隠棲していても強い個性をもって光っている厳子陵という人のように生きたい)
松や柏の木は本来、一本ごとにまっすぐ立っているのもで、桃や李の花のようないろどりはない
強い個性をもって光っている厳子陵という人は、あおあおとした波の間に釣糸を垂れていた。
その身は現われては消える客星のように世間からかくれたのだ、そして、心は、大空の浮雲のように、のどかでひろいものであった。
万乗の天子、光武帝にたいし最敬礼をした、そして、さっさと富春山へと帰っていった。
すがすがしい風格が天地四方にいきわたった、しかしそれは遠くはるかなことで、とても手がとどきそうにないようなことだ。
わたしに長いためいきをつかせたこと、せめて洞窟の奥深くひっそりした中で静かにくらしてみたいと思わせたことだったのだ。
<!--[if !supportLineBreakNewLine]-->
<!--[endif]-->
古風五十九首 の十二
松柏 本 孤直、桃李の顔を為し難し。
昭昭たり 厳子陵、釣を垂る 滄波の間。
身は客星と将に隠れ、心は浮雲と与に閑なり。
万乗の君に長揖して、還帰す 富春山。
清風 六合に灑ぎ、邈然(ばくぜん)として 攀(よ)ずべからず
我をして 長く嘆息し、巌石の間に冥棲せしむ
『古風,五十九首之十二 』 現代語訳と訳註
(本文)
松柏本孤直,難為桃李顏。
昭昭嚴子陵,垂釣滄波間。
身將客星隱,心與浮雲閒。
長揖萬乘君,還歸富春山。
清風灑六合,邈然不可攀。
使我長歎息,冥棲巖石間。
(下し文)
古風五十九首 其の十二
松柏 本 孤直、桃李の顔を為し難し。
昭昭たり 厳子陵、釣を垂る 滄波の間。
身は客星と将に隠れ、心は浮雲と与に閑なり。
万乗の君に長揖して、還帰す 富春山。
清風 六合に灑ぎ、邈然(ばくぜん)として 攀(よ)ずべからず
我をして 長く嘆息し、巌石の間に冥棲せしむ
(現代語訳)
(世間からはなれて隠棲していても強い個性をもって光っている厳子陵という人のように生きたい)
松や柏の木は本来、一本ごとにまっすぐ立っているのもで、桃や李の花のようないろどりはない
強い個性をもって光っている厳子陵という人は、あおあおとした波の間に釣糸を垂れていた。
その身は現われては消える客星のように世間からかくれたのだ、そして、心は、大空の浮雲のように、のどかでひろいものであった。
万乗の天子、光武帝にたいし最敬礼をした、そして、さっさと富春山へと帰っていった。
すがすがしい風格が天地四方にいきわたった、しかしそれは遠くはるかなことで、とても手がとどきそうにないようなことだ。
わたしに長いためいきをつかせたこと、せめて洞窟の奥深くひっそりした中で静かにくらしてみたいと思わせたことだったのだ。
<!--[if !supportLineBreakNewLine]-->
<!--[endif]-->
(訳注)
古風,五十九首之十二
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
(世間からはなれて隠棲していても強い個性をもって光っている厳子陵という人のように生きたい)
松柏本孤直、難為桃李顏。
松や柏の木は本来、一本ごとにまっすぐ立っているのもで、桃や李の花のようないろどりはない
○顔 かお。かおいろ。かおだち。体面。いろどり、色彩。額。
昭昭嚴子陵、垂釣滄波間。
強い個性をもって光っている厳子陵という人は、あおあおとした波の間に釣糸を垂れていた。
○昭昭 きわめてあきらか。強い個性をもって光っている。
○厳子陵 漢の厳光(紀元前39年 - 41年)。「後漢書」の伝記によると次のとおりである。厳光、字は子陵、会稽の飴桃、すなわち今の漸江省紹興市の東方にある飴桃県の人である。年少のころから名高く、のちの光武帝とは同学で机をならべた仲だった。光武帝が即位すると、かれは姓名をかえ、身をかくした。光武帝点かれのすぐれた能力を思い、その居所をさがさせた。のち斉の国で、一人の男が羊の皮衣をきて沼で釣をしているという報告があった。帝はそれが厳光にちがいないと思った。上等の安楽車を用意させ、使を派遣してかれをまねく。かれは三べん辞退してからやっと来る。宿舎にベッドがあてがわれ、御馳走が出る。帝はすぐに会いにゆく。厳光は横になったまま起きあがらない。帝はいった、「子陵よ、わたしもついに、きみだけは家来にできないよ。」そこでかれをつれてかえり、書生時代のように議論して数日に及んだが、一緒にねそべっていると、厳光は足を帝の腹の上にのせる。翌日、天文をつかさどる役人が上奏した。「客星、御座を犯すこと甚だ急なり。」帝は笑っていった、「朕が旧友の厳子陵といっしょにねそべっていただけのことだ。」諌議大夫という位を授けたが、かれは身を屈めて受けることをしなかった。やがて富春山にこもり、田を耕した。後世の人はかれが釣をしていた場所を厳陵瀬と名づけたという。厳光が釣りをしていた場所(桐盧県の南、富春江の湖畔)は「厳陵瀬」と名づけられた。釣臺は東西に一つずつあり、高さはそれぞれ数丈、その下には羊裘軒・客星館・招隠堂があった。北宋の政治家・范仲淹は厳光の祠堂を修復し、「厳先生祠堂記」を撰写しその中で「雲山蒼蒼、江水泱泱。先生之風、山高水長」と厳光の高尚な気風を賞賛した。
○滄波 東海神仙三山の浮ぶ海のあおあおとした波のこと。
身將客星隱、心與浮云閑。
その身は現われては消える客星のように世間からかくれたのだ、そして、心は、大空の浮雲のように、のどかでひろいものであった。
○客星 一定の所に常には見えず、一時的に現われる星。彗星・新星など。
○閑 のどか、おおきい。静か。のんびり。さく。しきり。
長揖萬乘君、還歸富春山。
万乗の天子、光武帝にたいし最敬礼をした、そして、さっさと富春山へと帰っていった。
○長揖 ちょうゆう、敬礼の一種。組みあわせた両手を上からずっと下の方までさげる。
○万乗 一万の兵事。転じて、それを統帥する天子のこと。天下。君といっしょで万乗の光武帝。
○富春山 浙江省桐盧県銭塘江中流域にあり、一名を厳陵山という。「一統志」に「清麗奇絶にして、錦峰繍嶺と号す。乃ち漢の厳子陵隠釣の処。前は大江に臨み、上に東西二釣台あり」と記されている。謝霊運『富春渚詩』 「宵濟漁浦潭。旦及富春郭。定山緬雲霧。赤亭無淹薄。溯流觸驚急。臨圻阻參錯。亮乏伯昏分。險過呂梁壑。」(宵に漁浦の潭【ふち】を濟【わた】り、旦に富春の郭に及【いた】る。定山は雲霧に緬【はる】かに、赤亭には淹薄【とま】ること無く。流れを遡りて驚急に触れ、圻に臨み參錯【でいり】に阻【はば】まる。亮に伯昏の分に乏しく、険は呂梁の壑に過ぎぬ。)わたしは夕方、漁浦の渡し場から船出した。夜どおし船旅をして、明け方、富春の街に着いた。分水嶺の定山はまだまだ雲霧の向こうで遙かに遠い、富陽の花街の赤亭に泊まることはしない。流れは急でそれをさかのぼる巌にせっそく接触したり、驚くような目に何度もあう、船を接岸できそうな岸へ寄せようとするのだが水流の出入りによってなかなか寄せられない。私はあきらかに物に動じないことという心構えにはとぼしいものである、嶮しいといっても黄河随一の難関、呂梁幕府のある谷ほどのものではないので経過していく。
富春渚 #1 謝霊運<14> 詩集 376
清風灑六合、邈然不可攀。
すがすがしい風格が天地四方にいきわたった、しかしそれは遠くはるかなことで、とても手がとどきそうにないようなことだ。
〇六合 上下四方、すなわち、世界、宇宙。
○邈然 はるかなさま。
使我長嘆息、冥棲巌石間。
わたしに長いためいきをつかせたこと、せめて洞窟の奥深くひっそりした中で静かにくらしてみたいと思わせたことだったのだ。
○冥棲 ひっそりしたところに黙然と修業してくらす。
- テーマ:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
- ジャンル:学問・文化・芸術
- カテゴリ:李太白集 巻一 古風五十九首
- CM:0
最新記事
- 長い間ブログを休校している件について (09/01)
- 李太白集 397《太白巻23-02效古二首其一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7573 (04/04)
- 李太白集 396《太白巻二十二40憶東山二首 其二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7568 (04/03)
- 李太白集 395《太白巻二十二39憶東山二首 其一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7563 (03/30)
- 李太白集 394《太白巻二十08杜陵絕句》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7558 (03/29)
- 李太白集 393《太白巻十九18朝下過盧郎中敘舊游》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7553 (03/28)
- 李太白集 392《太白巻十八12金門答蘇秀才》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7548 (03/27)
- 太白集 391《太白巻十九17下終南山過斛斯山人宿置酒》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7543 (03/26)
- 太白集 390《太白巻十六33 送長沙陳太守,二首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7538 (03/25)
- 李太白集 389《太白巻十六32 送長沙陳太守,二首之一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7533 (03/24)
- 李太白集 388《太白巻十六26 送祝八之江東賦得浣紗石》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7528 (03/23)
- 李太白集 387《太白巻十六23-《送白利從金吾董將軍西征》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7523 (03/22)
- 李太白集 386《太白巻十六21 送族弟綰從軍安西》(漢家兵馬乘北風) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7508 (03/19)
- 李太白集 385《太白巻十六18-3-《送外甥鄭灌從軍,三首之三》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7503 (03/18)
- 李太白集 384《太白巻十六18-2 送外甥鄭灌從軍,三首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7498 (03/17)
- 李太白集 383《太白巻十六18-1 送外甥鄭灌從軍,三首之一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7493 (03/16)
- 李太白集 382《太白巻十六13 送張遙之壽陽幕府》 (壽陽信天險,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7488 (03/15)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/14)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/13)
- 李太白集 380《太白巻十六08 送竇司馬貶宜春》 (天馬白銀鞍,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7478 (03/12)
- 李太白集 379《太白巻十四34 贈別王山人歸布山》(王子析道論,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7473 (03/11)
- 李太白集 378《太白巻十二06-夕霽杜陵登樓寄韋繇》 (浮陽滅霽景) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7468 (03/10)
- 李太白集 377《太白巻巻十二05-《望終南山寄紫閣隱者》(出門見南山) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7463 (03/09)
- 李太白集 376《太白巻八36 贈盧徵君昆弟》 (明主訪賢逸) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7458 (03/08)
- 李太白集 375《太白巻八22 贈郭將軍》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7453 (03/07)
- 李太白集 374《太白巻六10-《同族弟金城尉叔卿燭照山水壁畫歌》 (高堂粉壁圖蓬瀛) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7448 (03/06)
- 李太白集 373《太白巻六07 西嶽雲臺歌送丹丘子》 (西嶽崢嶸何壯哉) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7443 (03/05)
- 李太白集 372《太白巻六05 玉壺吟》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7438 (03/04)
- 李太白集 371《太白巻卷六04-《侍從宜春苑,奉詔賦龍池柳色初青,聽新鶯百囀歌》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7433 (03/03)
- 李太白集 370《太白巻五 24-秋思》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7428 (03/02)