巻1 13 李太白集 《0113 古風五十九首之十三》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5366
- 2015/01/08
- 22:37
(嚴君平は社会教育的な才あるにもかかわらず、生活の為と占い業をしたが、世間の方も、賢人である君平をただ一通りの賣卜者としてこれにあたっていた。その陰で、心静かに老子の注解を出筆していた。)
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製作年: Index-32Ⅳ-7 753年天寶十二年53歳581
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之十三
13巻一
古風,五十九首之十三
(嚴君平は社会教育的な才あるにもかかわらず、生活の為と占い業をしたが、世間の方も、賢人である君平をただ一通りの賣卜者としてこれにあたっていた。その陰で、心静かに老子の注解を出筆していた。)
君平既棄世。世亦棄君平。
嚴君平は社会教育的な色彩をもつものとしての才あるにもかかわらず、占い業に隠れていたことで、君平のほうから世を捨てたというのであるが、ただ一通りの賣卜者としてこれにあたっていたところをみると、世間の方からも、また賢人である「君平」を捨てたのである。
觀變窮太易。探元化群生。
君平は宇宙の変を観て、深奥なる易理を極めることであり、老子の精髄たる玄を探って、一般人民を調化しようという大抱負をもっていた。
寂寞綴道論。空帘閉幽情。
そこで、賣卜は生活費を得ればそれで事足りるとし、その余暇は簾を垂れて幽情を養い、心静かに老子の注解を出筆していたのである。
騶虞不虛來。鸑鷟有時鳴。
まことに君平は詩経に言う「騶虞」のごとき仁獣、鸑鷟のような瑞鳥に比すべきもので、ほとんど聖賢といってもよい人物なのである。そもそも、「騶虞」は無意味にこの世に出て來るものではなく、鸑鷟も、しかるべきときに限って鳴くので、天が君平を生じさせたのも、決して偶然ではないのに、このようにみずからをすて、また世に棄てられたというのは、なんと情けないことではなかろうか。
安知天漢上。白日懸高名。
この世間では君平を知らないが、銀河のある天上では、さながら白日が高くかかっているように、君平の名は知られていたのだ。
海客去已久。誰人測沈冥。
しかし、海上の人が、銀河に行ったということで、君平がえらい人だということがようやくわかってしまったのであるが、今日、海客が去ってしって随分経過してしまうと、誰も、この沈深玄黙の中に潜める君平の真価を計り知ることが出来ないのだ。
(古風,五十九首の十三)
君平 既に世を棄て、世も亦た君平を棄つ。
變を觀て太易を窮め、元をって群生を化す。
寂寞 道論を綴り、空帘【くうれん】 幽情を閉ざす。
騶虞【しゅうぐ】は虛しく來らず、鸑鷟【がくぞく】は時有って鳴く。
安んぞ知らん 天漢の上。 白日 高名を懸くる。
海客 去って已に久し、誰人か 沈冥を測らむ。
『古風,五十九首之十三』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之十三
君平既棄世,世亦棄君平。
觀變窮太易,探元化群生。
寂寞綴道論,空帘閉幽情。
騶虞不虛來,鸑鷟有時鳴。
安知天漢上,白日懸高名。
海客去已久,誰人測沈冥。
(下し文)
(古風,五十九首の十三)
君平 既に世を棄て、世も亦た君平を棄つ。
變を觀て太易を窮め、元をって群生を化す。
寂寞 道論を綴り、空帘【くうれん】 幽情を閉ざす。
騶虞【しゅうぐ】は虛しく來らず、鸑鷟【がくぞく】は時有って鳴く。
安んぞ知らん 天漢の上。 白日 高名を懸くる。
海客 去って已に久し、誰人か 沈冥を測らむ。
(現代語訳)
(嚴君平は社会教育的な才あるにもかかわらず、生活の為と占い業をしたが、世間の方も、賢人である君平をただ一通りの賣卜者としてこれにあたっていた。その陰で、心静かに老子の注解を出筆していた。)
嚴君平は社会教育的な色彩をもつものとしての才あるにもかかわらず、占い業に隠れていたことで、君平のほうから世を捨てたというのであるが、ただ一通りの賣卜者としてこれにあたっていたところをみると、世間の方からも、また賢人である「君平」を捨てたのである。
君平は宇宙の変を観て、深奥なる易理を極めることであり、老子の精髄たる玄を探って、一般人民を調化しようという大抱負をもっていた。
そこで、賣卜は生活費を得ればそれで事足りるとし、その余暇は簾を垂れて幽情を養い、心静かに老子の注解を出筆していたのである。
まことに君平は詩経に言う「騶虞」のごとき仁獣、鸑鷟のような瑞鳥に比すべきもので、ほとんど聖賢といってもよい人物なのである。そもそも、「騶虞」は無意味にこの世に出て來るものではなく、鸑鷟も、しかるべきときに限って鳴くので、天が君平を生じさせたのも、決して偶然ではないのに、このようにみずからをすて、また世に棄てられたというのは、なんと情けないことではなかろうか。
この世間では君平を知らないが、銀河のある天上では、さながら白日が高くかかっているように、君平の名は知られていたのだ。
しかし、海上の人が、銀河に行ったということで、君平がえらい人だということがようやくわかってしまったのであるが、今日、海客が去ってしって随分経過してしまうと、誰も、この沈深玄黙の中に潜める君平の真価を計り知ることが出来ないのだ。
(訳注)
古風,五十九首之十三
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
詠史詩
十三(嚴君平は社会教育的な才あるにもかかわらず、生活の為と占い業をしたが、世間の方も、賢人である君平をただ一通りの賣卜者としてこれにあたっていた。その陰で、心静かに老子の注解を出筆していた。)
十二(世間からはなれて隠棲していても強い個性をもって光っている厳子陵という人のように生きたい)
君平既棄世,世亦棄君平。
嚴君平は社会教育的な色彩をもつものとしての才あるにもかかわらず、占い業に隠れていたことで、君平のほうから世を捨てたというのであるが、ただ一通りの賣卜者としてこれにあたっていたところをみると、世間の方からも、また賢人である「君平」を捨てたのである。
○「君平」は漢の厳遵(げんじゅん、字は君平)のことで、蜀の成都の市場で卜筮をして暮らしていました。易断をして人に法を説き善に導きましたが、みずからを養うに足るときは店を閉じたといいます。
厳君平は一方で「ト筮は賤業」であると認めなから,他方では「ト筮」によって,子には「孝行」,弟には「梯順」。臣には「忠義」を説き,衆人を恵むことができると述べている。卜筮によって衆人を孝や順や忠に導いたといわれることは、いちじるしく民衆的または社会教育的な色彩をもつものとして注意される。それは、現実の政治に絶望した彼らに、たんに個人的に逃避するのではなく、みずからの理想によって民衆を教化しようという考えがあったのではなかろうか。
觀變窮太易,探元化群生。
君平は宇宙の変を観て、深奥なる易理を極めることであり、老子の精髄たる玄を探って、一般人民を調化しようという大抱負をもっていた。
太易 『列子』(天瑞篇第二章)列子言。 昔者。聖人因陰陽以統天地。夫有形者生於無形。則天地安従生。 故曰。「有太易。有太初。有太始。有太素」。太易者。未見氣也。 太初者。氣之始也。太始者。形之始也。太素者。質之始也。氣形質具。而未相離。故曰渾淪。渾淪者。言萬物相渾淪。(列子に言う。むかし、聖人は陰陽に因って天地を統【す】ぶ。 夫れ有形は無より生ずれば、 則ち天地は安くよりか生ずるや。 故に曰(いわ)く。 「太易有り。 太初有り。 太始有り。太素有と。 太易は、未だ氣を見ざるなり。 太初は、氣の始めなり。 太始は、形の始めなり。 太素は、質の始めなり。 氣形質具わるも、未だ相い離れず。 故に渾淪という。 渾淪とは、萬物が相い渾淪として、 未だ相い離れざるを言うなり。)
寂寞綴道論,空帘閉幽情。
そこで、賣卜は生活費を得ればそれで事足りるとし、その余暇は簾を垂れて幽情を養い、心静かに老子の注解を出筆していたのである。
道論 老子の注解。
騶虞不虛來,鸑鷟有時鳴。
まことに君平は詩経に言う「騶虞」のごとき仁獣、鸑鷟のような瑞鳥に比すべきもので、ほとんど聖賢といってもよい人物なのである。そもそも、「騶虞」は無意味にこの世に出て來るものではなく、鸑鷟も、しかるべきときに限って鳴くので、天が君平を生じさせたのも、決して偶然ではないのに、このようにみずからをすて、また世に棄てられたというのは、なんと情けないことではなかろうか。
○騶虞 騶とは馬車に乗る人です。虞とは葬儀の仕上げのことで、親族が死者の埋葬を終えて家に帰り、死者の霊を安んずるために行う儀式です。即ち騶虞とは馬車に乗った死者が埋葬のために家に帰るという意味になり、斉の襄公に殺された桓公の悲しい帰国であることが分かります。『詩経、召南、騶虞』「彼茁者葭 壹發五豝,于嗟乎騶虞。」(そこらに生えた葦の草、取るに足らない大豚が従う(荘公)ああ馬車に乗った物言わぬご帰還)
○鸑鷟 鳳凰。『国語·周語上』:“ 周之興也,鸑鷟鳴於岐山。” 韋昭注:“三君云:鸑鷟,鳳凰之别名也。『詩経』に云う:鳳凰鳴くなり,于彼高岡。其れは岐山の脊に在らん?
安知天漢上,白日懸高名。
この世間では君平を知らないが、銀河のある天上では、さながら白日が高くかかっているように、君平の名は知られていたのだ。
○天漢/河漢 あまのがわ。天河・銀河・経河・銀漢・雲漢・星漢・天津・漢津等はみなその異名である。杜甫『天河』。
海客去已久,誰人測沈冥。
しかし、海上の人が、銀河に行ったということで、君平がえらい人だということがようやくわかってしまったのであるが、今日、海客が去ってしって随分経過してしまうと、誰も、この沈深玄黙の中に潜める君平の真価を計り知ることが出来ないのだ。
○海客 海上の人。東に位置する国には海客が流れ着き、西に位置する国には山客が流れ着くといわれる。
○沈冥 静かで奥深いこと。人目につかずひっそりとしていること。また,そのさま。沈深玄黙の中に潜めること。
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