巻1 15 李太白集 《0115 古風五十九首之十五》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5376
- 2015/01/10
- 22:45
《0115 古風五十九首之十》 李白(燕の昭王の金台の故事では英士が集まったが今では育てようとする者がいないので志を遂げられないものが多いと詠う)珠玉を美人の歌や笑いのために惜しまず買うが、糠や糟でもって賢才を養おうと思っているのか。いまこそ十分に理解した、黄い鶴が舞いあがるように崇高な志をもつ者は、千里をひとりで飛びまわるものなのだ。
巻1 15 李太白集 《0115 古風五十九首之十》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5376 |
製作年: 731開元十九年 31歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之十五
作地點: 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)
及地點: 黃金臺 (河北道南部 易州 易縣) 別名:金臺、燕臺
古風,五十九首之十五
(燕の昭王の金台の故事では英士が集まったが今では育てようとする者がいないので志を遂げられないものが多いと詠う)
燕昭延郭隗,遂築黃金臺。
むかし燕の昭王は、どうしたら天下の士を得られるかと言って郭隗に相談したところ、「まず隗より始めよ」自分をまず用いなさいといったので、郭隗を厚く礼を為した、これに続いて、ついには黄金台まできずいてその上に千金を置き、士の遠く来たるものはこれをもって歓迎するという意を示し、天下の英才をまねいた。
劇辛方趙至,鄒衍復齊來。
こうして志を抱くものをて歓迎したので、王を慕って、他国からやってきた。劇辛は、趙からやって来た。鄒衍も、つづいて斉からやって来た。
奈何青雲士,棄我如塵埃。
ところが、なんということだ、青雲の上に立身出世したものどもがとったことは、われわれを塵や挨のように棄ててかえりみなかったというではないか。
珠玉買歌笑,糟糠養賢才。
珠玉を美人の歌や笑いのために惜しまず買うが、糠や糟でもって賢才を養おうと思っているのか。
方知黃鶴舉,千里獨徘徊。
いまこそ十分に理解した、黄い鶴が舞いあがるように崇高な志をもつ者は、千里をひとりで飛びまわるものなのだ。
(古風,五十九首の十五)
燕昭 郭隗を延き、遂(か)くて 黄金台を築けり。
劇辛は 万に趙より至り、鄒衍も 復た斉より来れり。
奈何ぞ 青雲の士、我を棄つること 塵挨の如くなるや。
珠玉もて 歌笑を買い、糟糠もて 賢才を養う。
方に知る 黄鶴の挙りて、千里に 独り徘徊するを。
『古風,五十九首之十五』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之十五
燕昭延郭隗,遂築黃金臺。
劇辛方趙至,鄒衍復齊來。
奈何青雲士,棄我如塵埃。
珠玉買歌笑,糟糠養賢才。
方知黃鶴舉,千里獨徘徊。
(下し文)
その十五
燕昭 郭隗を延き、遂(か)くて 黄金台を築けり。
劇辛は 万に趙より至り、鄒衍も 復た斉より来れり。
奈何ぞ 青雲の士、我を棄つること 塵挨の如くなるや。
珠玉もて 歌笑を買い、糟糠もて 賢才を養う。
方に知る 黄鶴の挙りて、千里に 独り徘徊するを。
(現代語訳)
(燕の昭王の金台の故事では英士が集まったが今では育てようとする者がいないので志を遂げられないものが多いと詠う)
むかし燕の昭王は、どうしたら天下の士を得られるかと言って郭隗に相談したところ、「まず隗より始めよ」自分をまず用いなさいといったので、郭隗を厚く礼を為した、これに続いて、ついには黄金台まできずいてその上に千金を置き、士の遠く来たるものはこれをもって歓迎するという意を示し、天下の英才をまねいた。
こうして志を抱くものをて歓迎したので、王を慕って、他国からやってきた。劇辛は、趙からやって来た。鄒衍も、つづいて斉からやって来た。
ところが、なんということだ、青雲の上に立身出世したものどもがとったことは、われわれを塵や挨のように棄ててかえりみなかったというではないか。
珠玉を美人の歌や笑いのために惜しまず買うが、糠や糟でもって賢才を養おうと思っているのか。
いまこそ十分に理解した、黄い鶴が舞いあがるように崇高な志をもつ者は、千里をひとりで飛びまわるものなのだ。
<!--[if !supportLineBreakNewLine]-->
<!--[endif]-->
(訳注)
古風,五十九首之十五
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
(燕の昭王の金台の故事では英士が集まったが今では育てようとする者がいないので志を遂げられないものが多いと詠う)
この詩は戦国時代の燕の昭王の金台の故事を主とし、今しも、士を養成する人がいないから、せっかくの英才もその志を達成することが出来ず、高く舞い上がって立ち去るほかないという意を述べ、自己の不遇を礼として気概している。
燕昭延郭隗、遂築黄金臺。
むかし燕の昭王は、どうしたら天下の士を得られるかと言って郭隗に相談したところ、「まず隗より始めよ」自分をまず用いなさいといったので、郭隗を厚く礼を為した、これに続いて、ついには黄金台まできずいてその上に千金を置き、士の遠く来たるものはこれをもって歓迎するという意を示し、天下の英才をまねいた。
○燕昭 戦国時代の燕の昭王。
○郭隗 昭王の臣、「先ず隗より始めよ」の故事で有名。昭王は、一時とはいえ燕を亡国に追い込んだ斉を深く憎み、いつか復讐したいと願っていた。しかし当時の斉は秦と並んで最強国であり、燕の国力では非常に難しい問題であった。昭王は人材を集めることを願い、どうしたら人材が来てくれるかを家臣の郭隗に聞いた。郭隗の返答は「まず私を優遇してください。さすれば郭隗程度でもあのようにしてくれるのだから、もっと優れた人物はもっと優遇してくれるに違いないと思って人材が集まってきます。」と答え、昭王はこれを容れて郭隗を師と仰ぎ、特別に宮殿を造って郭隗に与えた。これは後世に「まず隗より始めよ」として有名な逸話になった。郭隗の言う通りに、燕には名将楽毅は魏の国から、鄒衍は斉の国から、劇辛は趙の国から、蘇秦の弟蘇代など、続々と人材が集まってきた。また、時期は不明であるが、昭王は不老不死の仙人を求めて東方の海上に人を派遣したという。これらの人材を使い、昭王は燕の改革・再建を進めた。○黄金台 易水の東南にあって、昭王が、千金を台の上に置き、天下の士を招いたという。
劇辛方趙至、鄒衍復斉來。
こうして志を抱くものをて歓迎したので、王を慕って、他国からやってきた。劇辛は、趙からやって来た。鄒衍も、つづいて斉からやって来た。
鄒衍。[前305ころ~前240](すうえん) 中国の戦国時代の陰陽家。斉の稷下の学士の一人。「騶衍」とも。史記に記され、稷下の学士の中での代表的な地位にあったことが分かる。その後燕の昭王の師となり、また趙に赴き平原君の信頼を得た。このことから孟子よりややあとの時代の人物であると推測されている。『漢書』芸文志には鄒衍の著作として『鄒子』49篇と『鄒子終始』56篇が挙げられているが、いずれも伝わらない。しかしその学説の大略は『史記』孟子荀卿列伝に紹介されており、儒家、特に孟子の影響を受けながら五行説を唱えたと考えられている
奈何青雲士、棄我如塵挨。
ところが、なんということだ、青雲の上に立身出世したものどもがとったことは、われわれを塵や挨のように棄ててかえりみなかったというではないか。
○青雲士 立身出世してしまった人。
珠玉買歌笑、糟糠養賢才。
珠玉を美人の歌や笑いのために惜しまず買うが、糠や糟でもって賢才を養おうと思っているのか。
方知黄鶴擧、千里濁徘徊。
いまこそ十分に理解した、黄い鶴が舞いあがるように崇高な志をもつ者は、千里をひとりで飛びまわるものなのだ。
〇方知 いまこそ十分に、理解できる。
○黄鶴 黄鶴伝説 『列異伝』 に出る故事。 子安にたすけられた鶴 (黄鵠) が、子安の死後、三年間その墓の上でかれを思って鳴きつづけ、鶴は死んだが子安は蘇って千年の寿命を保ったという。 ここでは、鶴が命の恩人である子安を思う心の強さを住持に喩えたもの。
燕昭延郭隗,遂築黃金臺。
劇辛方趙至,鄒衍復齊來。
奈何青雲士,棄我如塵埃。
珠玉買歌笑,糟糠養賢才。
- テーマ:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
- ジャンル:学問・文化・芸術
- カテゴリ:李太白集 巻一 古風五十九首
- CM:0
最新記事
- 長い間ブログを休校している件について (09/01)
- 李太白集 397《太白巻23-02效古二首其一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7573 (04/04)
- 李太白集 396《太白巻二十二40憶東山二首 其二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7568 (04/03)
- 李太白集 395《太白巻二十二39憶東山二首 其一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7563 (03/30)
- 李太白集 394《太白巻二十08杜陵絕句》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7558 (03/29)
- 李太白集 393《太白巻十九18朝下過盧郎中敘舊游》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7553 (03/28)
- 李太白集 392《太白巻十八12金門答蘇秀才》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7548 (03/27)
- 太白集 391《太白巻十九17下終南山過斛斯山人宿置酒》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7543 (03/26)
- 太白集 390《太白巻十六33 送長沙陳太守,二首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7538 (03/25)
- 李太白集 389《太白巻十六32 送長沙陳太守,二首之一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7533 (03/24)
- 李太白集 388《太白巻十六26 送祝八之江東賦得浣紗石》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7528 (03/23)
- 李太白集 387《太白巻十六23-《送白利從金吾董將軍西征》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7523 (03/22)
- 李太白集 386《太白巻十六21 送族弟綰從軍安西》(漢家兵馬乘北風) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7508 (03/19)
- 李太白集 385《太白巻十六18-3-《送外甥鄭灌從軍,三首之三》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7503 (03/18)
- 李太白集 384《太白巻十六18-2 送外甥鄭灌從軍,三首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7498 (03/17)
- 李太白集 383《太白巻十六18-1 送外甥鄭灌從軍,三首之一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7493 (03/16)
- 李太白集 382《太白巻十六13 送張遙之壽陽幕府》 (壽陽信天險,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7488 (03/15)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/14)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/13)
- 李太白集 380《太白巻十六08 送竇司馬貶宜春》 (天馬白銀鞍,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7478 (03/12)
- 李太白集 379《太白巻十四34 贈別王山人歸布山》(王子析道論,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7473 (03/11)
- 李太白集 378《太白巻十二06-夕霽杜陵登樓寄韋繇》 (浮陽滅霽景) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7468 (03/10)
- 李太白集 377《太白巻巻十二05-《望終南山寄紫閣隱者》(出門見南山) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7463 (03/09)
- 李太白集 376《太白巻八36 贈盧徵君昆弟》 (明主訪賢逸) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7458 (03/08)
- 李太白集 375《太白巻八22 贈郭將軍》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7453 (03/07)
- 李太白集 374《太白巻六10-《同族弟金城尉叔卿燭照山水壁畫歌》 (高堂粉壁圖蓬瀛) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7448 (03/06)
- 李太白集 373《太白巻六07 西嶽雲臺歌送丹丘子》 (西嶽崢嶸何壯哉) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7443 (03/05)
- 李太白集 372《太白巻六05 玉壺吟》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7438 (03/04)
- 李太白集 371《太白巻卷六04-《侍從宜春苑,奉詔賦龍池柳色初青,聽新鶯百囀歌》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7433 (03/03)
- 李太白集 370《太白巻五 24-秋思》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7428 (03/02)