巻1 16 李太白集 《0116 古風五十九首之十六》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5381
- 2015/01/11
- 23:04
李白《古風五十九首之十六》宝剣の二竿、もと蛟龍の精であった、刃の匂いは雪白の蓮の花がはじめてみずから出たことと比較する。精光は天地に射しこんできて、ややもすれば雷のように飛び出してきてとても触れることなどできない。この二剣はもとの金匣から別れて去ってしまい、一つは飛んでいき一つは沈んで行って互にあいしたがって一緒になることはなくなった。
製作年:731年 開元十九年 31歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之十六
古風,五十九首之十六
(この篇は宝剣、蛟龍に託して、自分の才能を理解する人が少なくて風塵に埋没していることを詠う。)
寶劍雙蛟龍,雪花照芙蓉。
宝剣の二竿、もと蛟龍の精であった、刃の匂いは雪白の蓮の花がはじめてみずから出たことと比較する。
精光射天地,雷騰不可衝。
精光は天地に射しこんできて、ややもすれば雷のように飛び出してきてとても触れることなどできない。
一去別金匣,飛沈失相從。
この二剣はもとの金匣から別れて去ってしまい、一つは飛んでいき一つは沈んで行って互にあいしたがって一緒になることはなくなった。
風胡滅已久,所以潛其鋒。
風胡子は楚王に答えて弁別したが、この人が死んでしまうと、既に久しく、楚王の様な人がいないので剣はその鉾をひそめて隠れているという。
吳水深萬丈,楚山邈千重。
それでその一振りは万状の深さのある呉水の流れの底深くに沈み、他の一振りは楚山の千重の奥深き所に引き込んでしまった。
雌雄終不隔,神物會當逢。
しかしこの剣はもともと雌雄一対のもので、決して相い隔たつべからざるものでありし、その上、精霊の憑依している神仏というものであるから、何時かはどこかでこの二剣は互いに一緒になることであろう。
古風,五十九首之十六
寶劍【ほうけん】雙 蛟龍,雪花 芙蓉を照す。
精光 天地を 射り,雷騰 衝く可からず。
一たび去って金匣【きんこう】に別れ,飛沈 相い從うを失う。
風胡 滅して已に久し,其の鋒を潛むる所以なり。
吳水 深さ萬丈なり,楚山 邈として千重たり。
雌雄 終に隔てず,神物 會【かなら】ず當に逢うべし。
『古風,五十九首之十六』 現代語訳と訳註
(本文)
寶劍雙蛟龍,雪花照芙蓉。
精光射天地,雷騰不可衝。
一去別金匣,飛沈失相從。
風胡滅已久,所以潛其鋒。
吳水深萬丈,楚山邈千重。
雌雄終不隔,神物會當逢。
(下し文)
古風,五十九首之十六
寶劍【ほうけん】雙 蛟龍,雪花 芙蓉を照す。
精光 天地を 射り,雷騰 衝く可からず。
一たび去って金匣【きんこう】に別れ,飛沈 相い從うを失う。
風胡 滅して已に久し,其の鋒を潛むる所以なり。
吳水 深さ萬丈なり,楚山 邈として千重たり。
雌雄 終に隔てず,神物 會【かなら】ず當に逢うべし。
(現代語訳)
(この篇は宝剣、蛟龍に託して、自分の才能を理解する人が少なくて風塵に埋没していることを詠う。)
宝剣の二竿、もと蛟龍の精であった、刃の匂いは雪白の蓮の花がはじめてみずから出たことと比較する。
精光は天地に射しこんできて、ややもすれば雷のように飛び出してきてとても触れることなどできない。
この二剣はもとの金匣から別れて去ってしまい、一つは飛んでいき一つは沈んで行って互にあいしたがって一緒になることはなくなった。
風胡子は楚王に答えて弁別したが、この人が死んでしまうと、既に久しく、楚王の様な人がいないので剣はその鉾をひそめて隠れているという。
それでその一振りは万状の深さのある呉水の流れの底深くに沈み、他の一振りは楚山の千重の奥深き所に引き込んでしまった。
しかしこの剣はもともと雌雄一対のもので、決して相い隔たつべからざるものでありし、その上、精霊の憑依している神仏というものであるから、何時かはどこかでこの二剣は互いに一緒になることであろう。
(訳注)
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
(この篇は超越性をもってい宝剣、蛟龍に託して、自分の才能を理解する人が少なくて風塵に埋没していることを詠う。)
単なる武器を越えた超越性をもっている太阿剣で、楚の王がこの剣をもって超人的に多くの敵を斬ったということではなくて、剣を麾ふった、指揮したにすぎないにもかかわらず敵は大敗した。
漢の高祖が秦(蛇)を滅ぼし漢王朝を興したことを象徴的に表しているのが泰阿剣である。
寶劍雙蛟龍,雪花照芙蓉。
宝剣の二竿、もと蛟龍の精であった、刃の匂いは雪白の蓮の花がはじめてみずから出たことと比較する。
○雙蛟龍 蛟と龍の剣。宝剣には 龍淵と龍泉があり、泰阿と太阿がある。龍淵と龍泉は(りょうえん)『越絶書』 楚王が風胡子に命じ、呉の干将と越の欧冶子に造らせた三振りの剣である。その有様を見ると、高山に登って深淵に臨んでいるのようであったことから、その名がつけられた。
精光射天地,雷騰不可衝。
精光は天地に射しこんできて、ややもすれば雷のように飛び出してきてとても触れることなどできない。
一去別金匣,飛沈失相從。
この二剣はもとの金匣から別れて去ってしまい、一つは飛んでいき一つは沈んで行って互にあいしたがって一緒になることはなくなった。
○金匣 剣を納めるはこ。
風胡滅已久,所以潛其鋒。
風胡子は楚王に答えて弁別したが、この人が死んでしまうと、既に久しく、楚王の様な人がいないので剣はその鉾をひそめて隠れているという。
○風胡子 剣の鑑定士。楚の国の風胡子は泰阿(太阿)ほか三つの鉄剣を作らせた。
吳水深萬丈,楚山邈千重。
それでその一振りは万状の深さのある呉水の流れの底深くに沈み、他の一振りは楚山の千重の奥深き所に引き込んでしまった。
○吳水 長江下流域、江南。
○楚山 湖北省西部, 武当山東南,漢江西岸にある荆山のことをいうが、ここは楚の国にある山という意味。現在の湖南省・湖北省を指す。楚 (春秋) (? - 紀元前223年) - 春秋時代の強国で、戦国七雄の1つでもある。 秦末に陳勝が建てた国(紀元前209年)。
雌雄終不隔,神物會當逢。
しかしこの剣はもともと雌雄一対のもので、決して相い隔たつべからざるものでありし、その上、精霊の憑依している神仏というものであるから、何時かはどこかでこの二剣は互いに一緒になることであろう。
巻1 16 李太白集 《0116 古風五十九首之十》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5381 |
- テーマ:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
- ジャンル:学問・文化・芸術
- カテゴリ:李太白集 巻一 古風五十九首
- CM:0
最新記事
- 長い間ブログを休校している件について (09/01)
- 李太白集 397《太白巻23-02效古二首其一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7573 (04/04)
- 李太白集 396《太白巻二十二40憶東山二首 其二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7568 (04/03)
- 李太白集 395《太白巻二十二39憶東山二首 其一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7563 (03/30)
- 李太白集 394《太白巻二十08杜陵絕句》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7558 (03/29)
- 李太白集 393《太白巻十九18朝下過盧郎中敘舊游》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7553 (03/28)
- 李太白集 392《太白巻十八12金門答蘇秀才》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7548 (03/27)
- 太白集 391《太白巻十九17下終南山過斛斯山人宿置酒》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7543 (03/26)
- 太白集 390《太白巻十六33 送長沙陳太守,二首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7538 (03/25)
- 李太白集 389《太白巻十六32 送長沙陳太守,二首之一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7533 (03/24)
- 李太白集 388《太白巻十六26 送祝八之江東賦得浣紗石》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7528 (03/23)
- 李太白集 387《太白巻十六23-《送白利從金吾董將軍西征》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7523 (03/22)
- 李太白集 386《太白巻十六21 送族弟綰從軍安西》(漢家兵馬乘北風) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7508 (03/19)
- 李太白集 385《太白巻十六18-3-《送外甥鄭灌從軍,三首之三》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7503 (03/18)
- 李太白集 384《太白巻十六18-2 送外甥鄭灌從軍,三首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7498 (03/17)
- 李太白集 383《太白巻十六18-1 送外甥鄭灌從軍,三首之一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7493 (03/16)
- 李太白集 382《太白巻十六13 送張遙之壽陽幕府》 (壽陽信天險,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7488 (03/15)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/14)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/13)
- 李太白集 380《太白巻十六08 送竇司馬貶宜春》 (天馬白銀鞍,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7478 (03/12)
- 李太白集 379《太白巻十四34 贈別王山人歸布山》(王子析道論,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7473 (03/11)
- 李太白集 378《太白巻十二06-夕霽杜陵登樓寄韋繇》 (浮陽滅霽景) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7468 (03/10)
- 李太白集 377《太白巻巻十二05-《望終南山寄紫閣隱者》(出門見南山) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7463 (03/09)
- 李太白集 376《太白巻八36 贈盧徵君昆弟》 (明主訪賢逸) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7458 (03/08)
- 李太白集 375《太白巻八22 贈郭將軍》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7453 (03/07)
- 李太白集 374《太白巻六10-《同族弟金城尉叔卿燭照山水壁畫歌》 (高堂粉壁圖蓬瀛) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7448 (03/06)
- 李太白集 373《太白巻六07 西嶽雲臺歌送丹丘子》 (西嶽崢嶸何壯哉) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7443 (03/05)
- 李太白集 372《太白巻六05 玉壺吟》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7438 (03/04)
- 李太白集 371《太白巻卷六04-《侍從宜春苑,奉詔賦龍池柳色初青,聽新鶯百囀歌》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7433 (03/03)
- 李太白集 370《太白巻五 24-秋思》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7428 (03/02)