巻1 25 李太白集 《0125 古風五十九首之二十五》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5426
- 2015/01/20
- 21:49
そもそも大道には栄枯盛衰があるのに、世人がその中にいて、私欲をほしいままにするのは、あたかも昆虫鳥獣が何も思わずに飛奔するようなものである。そうであれば、廣成子よ、早く人間世界を立ち去って、無窮の門に入って修行するのが良いのである。
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製作年: 753年天寶十二年 53歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之二十五
古風,五十九首之二十五
(この篇は、いよいよ世俗の諸事に憤激して、ここを去り、仙道を習得しようという決意を述べたものである。)
世道日交喪,澆風散淳源。
世道、日に日に衰えて、有道者を容認せず、有道者もまた世に用いられるを欲してはいない。互にその存在を失うような状況で、せっかく純朴であった原始的道徳は末俗の弊風のために全く悪化されてしまった。
不採芳桂枝,反棲惡木根。
世の有道者を用いず、かえって不道者を用いるのは、例えば、芳しき桂の花の枝をとらず、かえって、悪木の根に休んでいるようなものである。
所以桃李樹,吐花竟不言。
そうであれば、有道者が、世の道を重んぜざるを見て、ひとりその身をよくし、終身黙々として引っ込んでいるのは、ちょうど、桃李の樹が花を開いても、自らものを云わないのと同じである。
大運有興沒,群動爭飛奔。
そもそも大道には栄枯盛衰があるのに、世人がその中にいて、私欲をほしいままにするのは、あたかも昆虫鳥獣が何も思わずに飛奔するようなものである。
歸來廣成子,去入無窮門。
そうであれば、廣成子よ、早く人間世界を立ち去って、無窮の門に入って修行するのが良いのである。この世はとても有道者の棲むところではなく、たとえ住んでいたとしても、もちられなければ、それまでのことで、何の役にも立たない。早くこの世を棄て、仙人の業に専念すべきであろう。
(古風,五十九首の二十五)
世道 日に交も喪い,澆風 淳源を散ず。
芳桂の枝を採らずして,反って惡木の根に棲む。
桃李の樹,花を吐いて竟に言わざる所以なり。
大運び興沒有り,群動 爭って飛奔す。
歸り來れよ廣成子,去って無窮の門に入れ。
『古風,五十九首之二十五』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之二十五
世道日交喪,澆風散淳源。
不採芳桂枝,反棲惡木根。
所以桃李樹,吐花竟不言。
大運有興沒,群動爭飛奔。
歸來廣成子,去入無窮門。
(下し文)
(古風,五十九首の二十五)
世道 日に交も喪い,澆風 淳源を散ず。
芳桂の枝を採らずして,反って惡木の根に棲む。
桃李の樹,花を吐いて竟に言わざる所以なり。
大運び興沒有り,群動 爭って飛奔す。
歸り來れよ廣成子,去って無窮の門に入れ。
(現代語訳)
(この篇は、いよいよ世俗の諸事に憤激して、ここを去り、仙道を習得しようという決意を述べたものである。)
世道、日に日に衰えて、有道者を容認せず、有道者もまた世に用いられるを欲してはいない。互にその存在を失うような状況で、せっかく純朴であった原始的道徳は末俗の弊風のために全く悪化されてしまった。
世の有道者を用いず、かえって不道者を用いるのは、例えば、芳しき桂の花の枝をとらず、かえって、悪木の根に休んでいるようなものである。
そうであれば、有道者が、世の道を重んぜざるを見て、ひとりその身をよくし、終身黙々として引っ込んでいるのは、ちょうど、桃李の樹が花を開いても、自らものを云わないのと同じである。
そもそも大道には栄枯盛衰があるのに、世人がその中にいて、私欲をほしいままにするのは、あたかも昆虫鳥獣が何も思わずに飛奔するようなものである。
そうであれば、廣成子よ、早く人間世界を立ち去って、無窮の門に入って修行するのが良いのである。この世はとても有道者の棲むところではなく、たとえ住んでいたとしても、もちられなければ、それまでのことで、何の役にも立たない。早くこの世を棄て、仙人の業に専念すべきであろう。
(訳注)
古風,五十九首之二十五
(この篇は、いよいよ世俗の諸事に憤激して、ここを去り、仙道を習得しようという決意を述べたものである。)
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
世道日交喪,澆風散淳源。
世道、日に日に衰えて、有道者を容認せず、有道者もまた世に用いられるを欲してはいない。互にその存在を失うような状況で、せっかく純朴であった原始的道徳は末俗の弊風のために全く悪化されてしまった。
世道日交喪 荘子、繕性第十六「世喪道矣、道喪世矣 世與道交相喪也。」(世が下るにつれて道が失われ、、道が失われるにつれて、世が堕落し、互いに、分離していくのである。)に基づいている。
澆風 澆季の世風のこと。澆季【ぎょうき】:1 道徳が衰え、乱れた世。世の終わり。末世。「―溷濁(こんだく)の俗界」〈漱石・草枕〉2 後の世。後世。末代。「―
淳源 純朴な源流。
不採芳桂枝,反棲惡木根。
世の有道者を用いず、かえって不道者を用いるのは、例えば、芳しき桂の花の枝をとらず、かえって、悪木の根に休んでいるようなものである。
所以桃李樹,吐花竟不言。
そうであれば、有道者が、世の道を重んぜざるを見て、ひとりその身をよくし、終身黙々として引っ込んでいるのは、ちょうど、桃李の樹が花を開いても、自らものを云わないのと同じである。
大運有興沒,群動爭飛奔。
そもそも大道には栄枯盛衰があるのに、世人がその中にいて、私欲をほしいままにするのは、あたかも昆虫鳥獣が何も思わずに飛奔するようなものである。
大運 天運と同じ。1 天から与えられた運命。自然の理法。「―に任せる」2 天体の運行。
群動 飛禽走獣が群れをなして行動すること。
歸來廣成子,去入無窮門。
そうであれば、廣成子よ、早く人間世界を立ち去って、無窮の門に入って修行するのが良いのである。この世はとても有道者の棲むところではなく、たとえ住んでいたとしても、もちられなければ、それまでのことで、何の役にも立たない。早くこの世を棄て、仙人の業に専念すべきであろう。
歸來 仙道に専念すべくかえることをいう。
廣成子 広成子『神仙伝』巻一の『広成子』によると、広成子は古代の仙人で、崆峒山の石の部屋で暮らしていた。彼が千二百歳の時に黄帝が至上の道の要旨について尋ねてきたが、広成子は「お前が天下を治めるようになってから鳥類はその季節にもならないのに飛び立ち、草木は黄葉する前に散るようになった」と言って断った。黄帝が三ヶ月間閉居した後に再び教えを請うと、広成子はこれに答えたという。また同じく『神仙伝』巻一の『老子』では、老子は黄帝のときは広成子になったという記述がある。
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