巻1 27 李太白集 《0127 古風五十九首之二十七》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5436
- 2015/01/22
- 22:20
(后妃たちや王女には財産、生命、地位についての何の保障もなく、他人に運命を翻弄され、吉凶も保障し難い境遇にあった皇女のあるべき道を詠う)、君子の配偶者とし、やがて、弄玉と蕭史のように共に道を得て、鸞や竜にまたがり、双飛して昇天したいとすることが王女の道なのである。
巻1 27 李太白集 《0127 古風五十九首之二十七》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5436 |
製作年: 728年 開元十六年 28歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之二十七
古風,五十九首之二十七
(后妃たちや王女には財産、生命、地位についての何の保障もなく、他人に運命を翻弄され、吉凶も保障し難い境遇にあった皇女のあるべき道を詠う)
燕趙有秀色,綺樓青雲端。
名だたる燕と趙の北地には佳人が多くその中でも秀でたものが青雲の上にそびゆる立派な二階の上に住んでいる。
眉目豔皎月,一笑傾城歡。
その眉目の美しいことは、皎月よりも艶やかであり、一度微笑めば満場の人を引き付け微笑ませて喜ばせるほどである。
常恐碧草晚,坐泣秋風寒。
ということであるが、この美人は独りで住んでいてその寂しさに堪えきれず、秋風ひと度訪れれば、寒気たちまち催し、今まで碧であった草木がたちまち枯れてしまうという。いかに美人でも夜と詩には勝てず、早く身の振り方を付けたいと思い悩んでいるものなのだ。
纖手怨玉琴,清晨起長歎。
朝早く夢が醒めた時など、思い悩んで長歎し、それを紛らすために、かぼそい手で宝玉の琴を奏でるのであるが、さすがに愁いを帯びた音色で奏でることになる。
焉得偶君子,共乘雙飛鸞。
そうであったとしても、君子の配偶者とし、やがて、弄玉と蕭史のように共に道を得て、鸞や竜にまたがり、双飛して昇天したいとすることが王女の道なのである。
古風,五十九首の二十七
燕趙に 秀色有り,綺樓 青雲の端。
眉目 皎月よりも豔に,一笑すれば城を傾けて歡ぶ。
常に恐る 碧草の晚,坐ろに秋風の寒に泣くを。
纖手 玉琴を怨み,清晨 起って長歎す。
焉んぞ君子に偶し,共に雙飛鸞に乘ずるを得ん。
『古風,五十九首之二十七』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之二十七
燕趙有秀色,綺樓青雲端。
眉目豔皎月,一笑傾城歡。
常恐碧草晚,坐泣秋風寒。
纖手怨玉琴,清晨起長歎。
焉得偶君子,共乘雙飛鸞。
(下し文)
古風,五十九首の二十七
燕趙に 秀色有り,綺樓 青雲の端。
眉目 皎月よりも豔に,一笑すれば城を傾けて歡ぶ。
常に恐る 碧草の晚,坐ろに秋風の寒に泣くを。
纖手 玉琴を怨み,清晨 起って長歎す。
焉んぞ君子に偶し,共に雙飛鸞に乘ずるを得ん。
(現代語訳)
(后妃たちや王女には財産、生命、地位についての何の保障もなく、他人に運命を翻弄され、吉凶も保障し難い境遇にあった皇女のあるべき道を詠う)
名だたる燕と趙の北地には佳人が多くその中でも秀でたものが青雲の上にそびゆる立派な二階の上に住んでいる。
その眉目の美しいことは、皎月よりも艶やかであり、一度微笑めば満場の人を引き付け微笑ませて喜ばせるほどである。
ということであるが、この美人は独りで住んでいてその寂しさに堪えきれず、秋風ひと度訪れれば、寒気たちまち催し、今まで碧であった草木がたちまち枯れてしまうという。いかに美人でも夜と詩には勝てず、早く身の振り方を付けたいと思い悩んでいるものなのだ。
朝早く夢が醒めた時など、思い悩んで長歎し、それを紛らすために、かぼそい手で宝玉の琴を奏でるのであるが、さすがに愁いを帯びた音色で奏でることになる。
そうであったとしても、君子の配偶者とし、やがて、弄玉と蕭史のように共に道を得て、鸞や竜にまたがり、双飛して昇天したいとすることが王女の道なのである。
(訳注)
古風,五十九首之二十七
(后妃たちや王女には財産、生命、地位についての何の保障もなく、他人に運命を翻弄され、吉凶も保障し難い境遇にあった皇女のあるべき道を詠う)
どんなに才能があっても用いられなければその力は発揮できないものである。最も高貴にして、最も権勢の高い人々であっても、その運命は逆にまた最も不安定であり、いつでも天国から地獄に堕ち、甚だしい場合には「女禍」(皇帝を色香によ惑わせた罪)の罪名を負わされ犠牲の羊にされることもある。皇帝がひとたび崩御すると、后妃たちの財産、生命、地位はたちまち何の保障もなく、天下の母の鏡と尊ばれながら、じつは常に他人に運命を翻弄され、吉凶も保障し難い境遇にあったのである。
燕趙有秀色,綺樓青雲端。
名だたる燕と趙の北地には佳人が多くその中でも秀でたものが青雲の上にそびゆる立派な二階の上に住んでいる。
○燕趙有秀色 燕や趙の北地には美人が多く「古詩十九首之十二」#2
燕趙多佳人,美者顏如玉。
被服羅裳衣,當戶理清曲。
音響一何悲!弦急知柱促。
馳情整巾帶,沈吟聊躑躅。
思為雙飛燕,銜泥巢君屋。
燕趙佳人多く、美なる者顏【かんばせ】玉の如し。
羅【うすもの】の裳衣を被服し、戸に当りて清曲を理【おさ】む。
音響一に何ぞ悲しき、絃急【げんきゅう】にして柱【ことじ】の促【せま】れるを知る。
情を馳せて巾帯を整へ、沈吟して聊【しばら】く躑躅【てきちょく】す。
思ふ雙飛燕【ひえん】と為りて、泥を銜んで君が屋に巢くはんことを。
古詩十九首之十二 漢の無名氏(12)-1 漢詩<99-#1>Ⅱ李白に影響を与えた詩531 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1410
燕や趙の北地には美人が多く、その美人の顔ははれやかな玉のようである。
そしてうす絹の衣裳を身にまとっているいて、戸口に立ってすんだ音色の曲をかなでているのだ。
そのひびきのひとつひとつのなんと悲しげなものであるのだろう。絃の音のテンポを急にし、琴柱を動かして絃の間をせばめ、絃声を高くしたりするのだ。
これを聴いてしまったら万感迫る思いを美人にはせ、まず自分の身なりをととのえるのであり、詩をうち沈みながら吟じてしばらく立ちどまるのである。
自分の思いはいっそつがいとなって飛ぶ燕ともなりたいものであり、泥を口に銜えてあなたの屋根の下に暮らしたいと思うのである。
眉目豔皎月,一笑傾城歡。
その眉目の美しいことは、皎月よりも艶やかであり、一度微笑めば満場の人を引き付け微笑ませて喜ばせるほどである。
○一笑傾城 佳人絕世傾人城傾人情傾北方傾國 傾國傾城 傾國風流傾城傾國 傾城國傾城目傾城色名花傾國國自傾延年妹思傾國絕世歌絕代。劉方平, 烏棲曲二首之一, 蛾眉曼臉傾城國,鳴環動佩新相識
李延年『絶世傾国の歌』「北方有佳人、絶世而獨立。一顧傾人城、再顧傾人國。寧不知傾城與傾國、佳人難再得。」(北方に佳人有り、絶世にして獨立す。一顧すれば人の城を傾け、再顧すれば人の國を傾く。寧んぞ傾城と傾國とを知らざらんや、佳人は再びは得がたし。)連城の璧とは? 〔史記(藺相如伝)〕中国の戦国時代、秦の昭王が一五の城と交換しようといった、趙(ちよう)の恵文王所有の有名な宝玉のこと。転じて、無上の宝の意。
常恐碧草晚,坐泣秋風寒。
ということであるが、この美人は独りで住んでいてその寂しさに堪えきれず、秋風ひと度訪れれば、寒気たちまち催し、今まで碧であった草木がたちまち枯れてしまうという。いかに美人でも夜と詩には勝てず、早く身の振り方を付けたいと思い悩んでいるものなのだ。
○この時代の女性は、確定された生活というものはなかった。日本の家族制度とは異なっている。特にここでは、后妃、宮人に始まり、女性は一つの道具に過ぎなかった。
纖手怨玉琴,清晨起長歎。
朝早く夢が醒めた時など、思い悩んで長歎し、それを紛らすために、かぼそい手で宝玉の琴を奏でるのであるが、さすがに愁いを帯びた音色で奏でることになる。
○后妃(宮女)たちは皇帝の妻妾であり、錦衣を着て山海の珍味を食し、ひとたび呼ばわれば百人の下稗が答える、最も高貴にして最も権勢の高い人々であった。しかし、その運命は逆にまた最も不安定であり、いつでも天国から地獄に堕ち、甚だしい場合には「女禍」(皇帝を色香によ惑わせた罪)の罪名を負わされ犠牲の羊にされた。あるいは、皇帝がひとたび崩御すると、后妃たちの財産、生命、地位はたちまち何の保障もなく、天下の母の鏡と尊ばれながら、じつは常に他人に運命を翻弄され、吉凶も保障し難い境遇にあったのである。宮人は、身を九重(天子の宮殿)に置き、はなはだ高貴であるように見えるが、じつはただの皇帝家の家碑に過ぎず、衣食の心配がなくたいへん幸福のように見えるが、じつは人間性を最も残酷に破壊された人々であった。宮廷においては、少数の地位の高い后妃の他は、万単位で数えられる普通の宮人であり、唐代では「官女」「宮城」「宮脾」などとも呼ばれていた。彼女たちは長安にあった三大皇宮(太極宮、大明宮、興慶宮)と東都洛陽にあった大内(天子の宮殿)と上陽の両宮殿、及び各地の離宮、別館、諸親王府、皇帝陵にそれぞれ配属されていた。
焉得偶君子,共乘雙飛鸞。
そうであったとしても、君子の配偶者とし、やがて、弄玉と蕭史のように共に道を得て、鸞や竜にまたがり、双飛して昇天したいとすることが王女の道なのである。
○共乘雙飛鸞 秦の穆王の弄玉と蕭史は二人道を得、鳳凰に乗って飛び去った。
蕭史という蕭(管楽器)の名人が居た。その音色は鳳凰の鳴き声の様であった。弄玉もまた蕭を吹くので、穆公は二人を結婚させた。何年も経った後に弄玉の吹奏も鳳の声のようになり、鳳凰が来てその家に止まった。江淹「畫作秦王女乘鸞向煙霧。」とある。
『玉臺観二首其一』にものべる。
弄玉之を喜ぶ:秦の穆公の女の弄玉を妻にした。鳳樓を作り,弄玉に吹簫を教えた,鳳と感ぜられ來集す,弄玉は鳳に乘り、蕭史は龍に乘って,夫婦同じく仙に去る。
... 相传秦穆王有一女,名弄玉,善吹萧,一日梦见一英俊青年戴羽冠、披鹤氅、骑彩凤,由天而降,自称为华山之主,要娶弄玉。
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