巻1 29 李太白集 《0129 古風五十九首之二十九》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5446
- 2015/01/24
- 22:28
李白 《0129 古風五十九首之二十九》 夏、殷、周の三代のあとは、春秋戰國の時代と分かれて国がたった。弱小国は大国に次々と併呑されていき、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の七国に収斂し、この七国を戦国の七雄ともいうが、さながら乱麻のようであった。
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紀年: 753年 天寶十二年 53歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之二十九
29 巻一
古風五十九首之二十九
(乱世には賢者聖人が出現するが、それも、孔子や労使でさえも、岐路では、世間から離れ思い迷って、嘆息したのであって何にもならないものだ。)
三季分戰國。 七雄成亂麻。
夏、殷、周の三代のあとは、春秋戰國の時代と分かれて国がたった。弱小国は大国に次々と併呑されていき、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の七国に収斂し、この七国を戦国の七雄ともいうが、さながら乱麻のようであった。
王風何怨怒。 世道終紛拏。
かくて大雅亡びて、王風がわずかに残ったものの、その詩は乱世の音であるから、恨んで且つ怒り、もとより、蕹和の気象に乏しく、当時の世道は掴み合いの大喧嘩をむねとしていた。
至人洞玄象。 高舉凌紫霞。
この間、聖人と称すべき人がいたが天象を見て、興亡の数を洞察し、とても、堯舜の道は行われないと見切りをつけたから、高くあがって風塵の表に出でて、仙を学んで紫霞凌ぐこととした。
仲尼欲浮海。 吾祖之流沙。
此れは、孔子が、世は愈々乱れて、道の到底行われないということを見ることにより、筏に乗って海に浮ばしむと謂い、我が祖、老子は周の衰えたるを見て、遙かに流砂の方へ行ってしまった。
聖賢共淪沒。 臨歧胡咄嗟。
このようにして、乱世には聖人賢者が皆、淪没して、世間から離れてしまうので、岐路に臨んで東へ行くか、西へ行こうかというように、さまざまに思い迷って、嘆息したところで何にもならないのだ。
古風五十九首の二十九
三季は戰國に分れ。 七雄は亂麻を成す。
王風 何ぞ怨怒【えんど】。 世道 終に紛拏【ふんど】。
至人じゃ玄象に洞【あき】らかに。 高舉して 紫霞を凌ぐ。
仲尼は海に浮ばんことを欲し。 吾が祖は流沙に之く。
聖賢 共に淪沒。歧に臨んで胡ぞ咄嗟せん。
『古風五十九首之二十九』 現代語訳と訳註
(本文)
古風五十九首之二十九
三季分戰國。 七雄成亂麻。
王風何怨怒。 世道終紛(拏)。
至人洞玄象。 高舉凌紫霞。
仲尼欲浮海。 吾祖之流沙。
聖賢共淪沒。 臨歧胡咄嗟。
(下し文)
古風五十九首 其二十九
三季は戰國に分れ。 七雄は亂麻を成す。
王風 何ぞ怨怒【えんど】。 世道 終に紛拏【ふんど】。
至人じゃ玄象に洞【あき】らかに。 高舉して 紫霞を凌ぐ。
仲尼は海に浮ばんことを欲し。 吾が祖は流沙に之く。
聖賢 共に淪沒。歧に臨んで胡ぞ咄嗟せん。
(現代語訳)
(乱世には賢者聖人が出現するが、それも、孔子や労使でさえも、岐路では、世間から離れ思い迷って、嘆息したのであって何にもならないものだ。)
夏、殷、周の三代のあとは、春秋戰國の時代と分かれて国がたった。弱小国は大国に次々と併呑されていき、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の七国に収斂し、この七国を戦国の七雄ともいうが、さながら乱麻のようであった。
かくて大雅亡びて、王風がわずかに残ったものの、その詩は乱世の音であるから、恨んで且つ怒り、もとより、蕹和の気象に乏しく、当時の世道は掴み合いの大喧嘩をむねとしていた。
この間、聖人と称すべき人がいたが天象を見て、興亡の数を洞察し、とても、堯舜の道は行われないと見切りをつけたから、高くあがって風塵の表に出でて、仙を学んで紫霞凌ぐこととした。
此れは、孔子が、世は愈々乱れて、道の到底行われないということを見ることにより、筏に乗って海に浮ばしむと謂い、我が祖、老子は周の衰えたるを見て、遙かに流砂の方へ行ってしまった。
このようにして、乱世には聖人賢者が皆、淪没して、世間から離れてしまうので、岐路に臨んで東へ行くか、西へ行こうかというように、さまざまに思い迷って、嘆息したところで何にもならないのだ。
(訳注)
古風五十九首 其二十九
(乱世には賢者聖人が出現するが、それも、孔子や労使でさえも、岐路では、世間から離れ思い迷って、嘆息したのであって何にもならないものだ。)
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
三季分戰國。 七雄成亂麻。
夏、殷、周の三代のあとは、春秋戰國の時代と分かれて国がたった。弱小国は大国に次々と併呑されていき、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の七国に収斂し、この七国を戦国の七雄ともいうが、さながら乱麻のようであった。
○三季 夏、殷、周の三代。
○戦国 紀元前5~前3世紀までの秦・楚・燕・斉・韓・超・魏の七国が争った時代。周は洛邑(王城・成周)周辺を支配する小国となり、往時と比するべくもない程まで没落した。それでも権威だけは保持しており、諸侯たちはその権威を利用して諸侯の間の主導権を握ろうとした(春秋五覇)。そのわずかな権威も戦国時代に入ると完全に無くなり、各諸侯がそれぞれ「王」を称するようになった。その小さな王朝の中でも権力争いは続いており、東西に分裂したり、何度となく王が殺されることが起きた。
○七雄 春秋時代の中国には数多くの国家が存在したが、弱小国は大国に次々と併呑されていき、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の七国に収斂した。この七国を戦国の七雄ともいう。春秋時代には楚の君主だけが王を自称し、それ以外の国は天子である周王室の権威を尊重していたが、戦国時代に入ると他国の君主も次々と王を自称するようになった。秦と斉の君主に至っては、一時期であるが西帝・東帝を名乗っていた事もあった。
王風何怨怒。 世道終紛拏。
かくて大雅亡びて、王風がわずかに残ったものの、その詩は乱世の音であるから、恨んで且つ怒り、もとより、蕹和の気象に乏しく、当時の世道は掴み合いの大喧嘩をむねとしていた。
○王風 詩経の国風篇巻の六。周の都が東方の洛邑(今の河南洛陽)に遷都により、王室の尊厳が衰えたので、王城畿内の歌話を諸侯の国の民話(即ち国風)と同等に取扱って之を王風と日った。
○大雅 「詩経」の分類の一種で、周の王室に関することを詠じたものが多く、詩経中もっとも堂々として荘重な作が集められている。
○怨怒 恨んで且つ怒る。
○紛拏 掴み合いの大喧嘩。
至人洞玄象。 高舉凌紫霞。
この間、聖人と称すべき人がいたが天象を見て、興亡の数を洞察し、とても、堯舜の道は行われないと見切りをつけたから、高くあがって風塵の表に出でて、仙を学んで紫霞凌ぐこととした。
○至人 聖人に同じ。
○洞 洞察する。
○玄象 天象。
仲尼欲浮海。 吾祖之流沙。
此れは、孔子が、世は愈々乱れて、道の到底行われないということを見ることにより、筏に乗って海に浮ばしむと謂い、我が祖、老子は周の衰えたるを見て、遙かに流砂の方へ行ってしまった。
○仲尼 孔子。
○吾祖 老子。
聖賢共淪沒。 臨歧胡咄嗟。
このようにして、乱世には聖人賢者が皆、淪没して、世間から離れてしまうので、岐路に臨んで東へ行くか、西へ行こうかというように、さまざまに思い迷って、嘆息したところで何にもならないのだ。
○臨歧 分岐点。
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