巻1 30 李太白集 《0130 古風五十九首之三十》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5451
- 2015/01/25
- 22:10
(この詩は、季世の薄俗、日にはなはだしく、儒者までがさまざまの悪いことをするといって憤激する考えを詠ったものである。)道家思想である玄風の素朴に変化を生じたのは、太古からのことであるが、今、その大道が一旦喪われればとても太古のそれに還ることなどとても無い。
巻1 30 李太白集 《0130 古風五十九首之三十》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5451 |
30 巻一
古風五十九首之三十 #1
玄風變太古。 道喪無時還。
擾擾季葉人。 雞鳴趨四關。
但識金馬門。 誰知蓬萊山。
(この詩は、季世の薄俗、日にはなはだしく、儒者までがさまざまの悪いことをするといって憤激する考えを詠ったものである。)
道家思想である玄風の素朴に変化を生じたのは、太古からのことであるが、今、その大道が一旦喪われればとても太古のそれに還ることなどとても無い。
ここにおいて、栄枯得失などでもって、その身の損益とするし、ただ、名利にのみ走って、欲の為なら朝、鶏が鳴くと飛び起きて四つの関所に押しかけ欲に奔走するものである。
そういう彼等は、但だ、出世の入り口金馬門があり、そこでは、天子の恩賞を受けて富貴になれるということを知っているのだ。東海に仙郷があり、そこに、不老不死の仙郷蓬莱山があり、まことによろしきところであることを誰も知ろうとはしないのである。
#2
白首死羅綺。 笑歌無時閑。
綠酒哂丹液。 青娥凋素顏。
大儒揮金椎。 琢之詩禮間。
蒼蒼三株樹。 冥目焉能攀。
(古風五十九首の三十)
玄風 太古に変ず、道喪 はれ時として還る無し。
擾擾たり季葉の人、難鳴 四関 に趨る。
但だ識る金馬門、誰か知らん蓬莱山。
白首 羅綺に死し、笑歌 休閑する無し。
緑酒 丹液を哂ひ、青蛾 素顏を凋ましむ。
大儒 金槌を揮ひ、之を琢く詩禮の間。
蒼蒼たる三株の樹、冥目 焉んぞ能く攀ぢんや。
『古風五十九首之三十』 現代語訳と訳註
(本文)
古風五十九首之三十 #1
玄風變太古。 道喪無時還。
擾擾季葉人。 雞鳴趨四關。
但識金馬門。 誰知蓬萊山。
(下し文)
(古風五十九首の三十)
玄風 太古に変ず、道喪 はれ時として還る無し。
擾擾たり季葉の人、難鳴 四関 に趨る。
但だ識る金馬門、誰か知らん蓬莱山。
(現代語訳)
(この詩は、季世の薄俗、日にはなはだしく、儒者までがさまざまの悪いことをするといって憤激する考えを詠ったものである。)
道家思想である玄風の素朴に変化を生じたのは、太古からのことであるが、今、その大道が一旦喪われればとても太古のそれに還ることなどとても無い。
ここにおいて、栄枯得失などでもって、その身の損益とするし、ただ、名利にのみ走って、欲の為なら朝、鶏が鳴くと飛び起きて四つの関所に押しかけ欲に奔走するものである。
そういう彼等は、但だ、出世の入り口金馬門があり、そこでは、天子の恩賞を受けて富貴になれるということを知っているのだ。東海に仙郷があり、そこに、不老不死の仙郷蓬莱山があり、まことによろしきところであることを誰も知ろうとはしないのである。
(訳注)
古風五十九首之三十 #1
(この詩は、季世の薄俗、日にはなはだしく、儒者までがさまざまの悪いことをするといって憤激する考えを詠ったものである。)
○古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
玄風變太古。 道喪無時還。
道家思想である玄風の素朴に変化を生じたのは、太古からのことであるが、今、その大道が一旦喪われればとても太古のそれに還ることなどとても無い。
〇玄風 魏晋の頃、道家、即ち老子・荘子の思想に本づく清談が流行し、之を玄
風と謂った。ここでは道家思想を意味する。
〇欒太古 未詳。
擾擾季葉人。 雞鳴趨四關。
ここにおいて、栄枯得失などでもって、その身の損益とするし、ただ、名利にのみ走って、欲の為なら朝、鶏が鳴くと飛び起きて四つの関所に押しかけ欲に奔走するものである。
〇擾擾【じょうじょう】 乱れて落ち着かないさま。ごたごたするさま。
○季葉人 季世の人間たちのこと。
○四関 「洛陽記」に云ふ、洛陽に四脚有り、東は成皐、南は伊闕、北は孟津、西は函谷。
但識金馬門。 誰知蓬萊山。
そういう彼等は、但だ、出世の入り口金馬門があり、そこでは、天子の恩賞を受けて富貴になれるということを知っているのだ。東海に仙郷があり、そこに、不老不死の仙郷蓬莱山があり、まことによろしきところであることを誰も知ろうとはしないのである。
〇金馬門 漢の武帝が大宛の馬を得、銅を以て馬の像を鋳て之を宦者署の門に立て、因て以て名と為す。常時東方朔・主父偃・厳安・徐榮は皆金馬門に待詔(御用掛り)として出仕した。
〇蓬莱山 東海の中に在ると謂われる神仙三山の一つ。
30-#2
《古風五十九首之三十》Index-32Ⅳ-7 753年天寶十二年53歳583古風,五十九首之二十五世道日交喪, <30-#2> Ⅰ李白詩1188 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4488
古風五十九首之三十 #1
玄風變太古。 道喪無時還。
擾擾季葉人。 雞鳴趨四關。
但識金馬門。 誰知蓬萊山。
(この詩は、季世の薄俗、日にはなはだしく、儒者までがさまざまの悪いことをするといって憤激する考えを詠ったものである。)
道家思想である玄風の素朴に変化を生じたのは、太古からのことであるが、今、その大道が一旦喪われればとても太古のそれに還ることなどとても無い。
ここにおいて、栄枯得失などでもって、その身の損益とするし、ただ、名利にのみ走って、欲の為なら朝、鶏が鳴くと飛び起きて四つの関所に押しかけ欲に奔走するものである。
そういう彼等は、但だ、出世の入り口金馬門があり、そこでは、天子の恩賞を受けて富貴になれるということを知っているのだ。東海に仙郷があり、そこに、不老不死の仙郷蓬莱山があり、まことによろしきところであることを誰も知ろうとはしないのである。
#2
白首死羅綺。 笑歌無時閑。
綠酒哂丹液。 青娥凋素顏。
大儒揮金椎。 琢之詩禮間。
蒼蒼三株樹。 冥目焉能攀。
そうして、富貴になり、白髪頭になっても羅衣の綺麗ものを身に着け着飾った女を左右にずらっと侍らせ、淫楽ごとを好み、浮気は死ぬまで止まず、笑ったり歌ったり休む暇はないほど頽廃しているのである。
緑酒は、仙薬の丹液よりも良いものだと道教の考えを馬鹿にして飲もうとしないのである、若々しい美女も見る間に素顔が殻だらけのようになっていく、女たちは、若さだけを求められるから、少し年を取っただけで相手にされなくなるという風潮になるのである。
それもまだしも、儒者を名乗り、大先生と称されるものが鹿爪らしく詩を詠い、いかにも人間を磨くようなことをいいふらしているけれど、荘子が言うように、利益のためには鉄拳をふるって、墓をあばき、金槌を揮い屍の口の中の珠を取り出して磨くようなことするということなのだ。
こんな調子で、「山海経」にいう、蒼々と茂った珠の生る三株樹は、目をつぶるまでないし、出世の道をとても攀じ登ることできないだろうから、こまったものである。
(古風五十九首の三十)
玄風 太古に変ず、道喪 はれ時として還る無し。
擾擾たり季葉の人、難鳴 四関 に趨る。
但だ識る金馬門、誰か知らん蓬莱山。
白首 羅綺に死し、笑歌 休閑する無し。
緑酒 丹液を哂ひ、青蛾 素顏を凋ましむ。
大儒 金槌を揮ひ、之を琢く詩禮の間。
蒼蒼たる三株の樹、冥目 焉んぞ能く攀ぢんや。
『古風五十九首之三十』 現代語訳と訳註
(本文) #2
白首死羅綺。 笑歌無時閑。
綠酒哂丹液。 青娥凋素顏。
大儒揮金椎。 琢之詩禮間。
蒼蒼三株樹。 冥目焉能攀。
(下し文)
白首 羅綺に死し、笑歌 休閑する無し。
緑酒 丹液を哂ひ、青蛾 素顏を凋ましむ。
大儒 金槌を揮ひ、之を琢く詩禮の間。
蒼蒼たる三株の樹、冥目 焉んぞ能く攀ぢんや。
(現代語訳)
そうして、富貴になり、白髪頭になっても羅衣の綺麗ものを身に着け着飾った女を左右にずらっと侍らせ、淫楽ごとを好み、浮気は死ぬまで止まず、笑ったり歌ったり休む暇はないほど頽廃しているのである。
緑酒は、仙薬の丹液よりも良いものだと道教の考えを馬鹿にして飲もうとしないのである、若々しい美女も見る間に素顔が殻だらけのようになっていく、女たちは、若さだけを求められるから、少し年を取っただけで相手にされなくなるという風潮になるのである。
それもまだしも、儒者を名乗り、大先生と称されるものが鹿爪らしく詩を詠い、いかにも人間を磨くようなことをいいふらしているけれど、荘子が言うように、利益のためには鉄拳をふるって、墓をあばき、金槌を揮い屍の口の中の珠を取り出して磨くようなことするということなのだ。
こんな調子で、「山海経」にいう、蒼々と茂った珠の生る三株樹は、目をつぶるまでないし、出世の道をとても攀じ登ることできないだろうから、こまったものである。
(訳注) #2
古風五十九首之三十 #1
(この詩は、季世の薄俗、日にはなはだしく、儒者までがさまざまの悪いことをするといって憤激する考えを詠ったものである。)
○古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
白首死羅綺。 笑歌無時閑。
そうして、富貴になり、白髪頭になっても羅衣の綺麗ものを身に着け着飾った女を左右にずらっと侍らせ、淫楽ごとを好み、浮気は死ぬまで止まず、笑ったり歌ったり休む暇はないほど頽廃しているのである。
〇羅綺 羅も給も絹織物の名。其れを着飾った女。
○笑歌 後宮では宮女が数万人、家妓が数百人というのが常識的な数であった。微笑は美人をあらわし、歌える物楽器を引くもの笛太鼓、などができるものをすべてそろえていた。基本は奴婢である。
綠酒哂丹液。 青娥凋素顏。
緑酒は、仙薬の丹液よりも良いものだと道教の考えを馬鹿にして飲もうとしないのである、若々しい美女も見る間に素顔が殻だらけのようになっていく、女たちは、若さだけを求められるから、少し年を取っただけで相手にされなくなるという風潮になるのである。
〇緑酒 丹液の丹(朱色)字に対し、濁り酒ではない清酒を緑色の酒とした。
〇晒 微笑である。諷刺の意が有る。道家を小馬鹿にすること。
〇青蛾 わかい美女。
大儒揮金椎。 琢之詩禮間。
それもまだしも、儒者を名乗り、大先生と称されるものが鹿爪らしく詩を詠い、いかにも人間を磨くようなことをいいふらしているけれど、荘子が言うように、利益のためには鉄拳をふるって、墓をあばき、金槌を揮い屍の口の中の珠を取り出して磨くようなことするということなのだ。
〇大儒揮金椎。 琢之詩禮間 「荘子」外物篇に大儒と中信が家をあばき、屍の口を金槌でこぢ開け口中の珠をとる寓話が有る。儒家を謗ったものである。
蒼蒼三株樹。 冥目焉能攀。
こんな調子で、「山海経」にいう、蒼々と茂った珠の生る三株樹は、目をつぶるまでないし、出世の道をとても攀じ登ることできないだろうから、こまったものである。
〇三株樹 「山海経」に、三株樹は赤水の上に生じ、其の葉は皆珠と為ると。
〇冥目 冥は瞑と通ず。瞑目は閉目。死を喩へる。
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