巻1 32 李太白集 《0132 古風五十九首之三十二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5461
- 2015/01/27
- 22:31
《0132 古風五十九首之三十二》 李白 秋の蝉は物寂しげに皆軒の先に留まって鳴いているものだが、そうした季節を示すものが私の感情を愁いにするものであってこの季節にはそれがおさまってしまうことなどないのだ。天運というもの尽きることはないし、良辰はいつともわからないものである。これは人にも言えることで、功名を立てるべき好機会に容易には出会うことなどなくて、やがては窮途に沈淪する。
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製作年: 753年 天寶十二年 53歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十二
古風,五十九首之三十二
(李白が秋について詠ったものであるが、宋玉の九弁に影響を受けて作っている。)
蓐收肅金氣,西陸弦海月。
秋を司る蓐收という神は金気が肅然として、見にしむ季節であり、海から上がって來る上弦の月は西陸の軌道を通ってゆく。
秋蟬號階軒,感物憂不歇。
秋の蝉は物寂しげに皆軒の先に留まって鳴いているものだが、そうした季節を示すものが私の感情を愁いにするものであってこの季節にはそれがおさまってしまうことなどないのだ。
良辰竟何許,大運有淪忽。
天運というもの尽きることはないし、良辰はいつともわからないものである。これは人にも言えることで、功名を立てるべき好機会に容易には出会うことなどなくて、やがては窮途に沈淪する。
天寒悲風生,夜久眾星沒。
こうして、この秋も暮れてゆけば、悲風蕭颯として寒空を拂い、そして夜も長く、多くの星もいつしか消えてしまう
惻惻不忍言,哀歌逮明發。
かくして、惻惻の情、自ずから言うに忍びず、しいて哀歌を発して秋の夜もすがら眠りもしないで立待夜が明けたしまったという次第だ。
(古風,五十九首の三十二)
蓐收【じょくしゅう】金氣肅たり,西陸 海月に弦す。
秋蟬 階軒に號び,物に感じて憂 歇まず。
良辰 竟に何許【いづこ】ぞ,大運に淪忽【りんこつ】有り。
天寒くして 悲風生じ,夜久しくして 眾星沒す。
惻惻として 言うに忍びず,哀歌 明發に逮す。
『古風,五十九首之三十二』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之三十二
蓐收肅金氣,西陸弦海月。
秋蟬號階軒,感物憂不歇。
良辰竟何許,大運有淪忽。
天寒悲風生,夜久眾星沒。
惻惻不忍言,哀歌逮明發。
(下し文)
(古風,五十九首の三十二)
蓐收【じょくしゅう】金氣肅たり,西陸 海月に弦す。
秋蟬 階軒に號び,物に感じて憂 歇まず。
良辰 竟に何許【いづこ】ぞ,大運に淪忽【りんこつ】有り。
天寒くして 悲風生じ,夜久しくして 眾星沒す。
惻惻として 言うに忍びず,哀歌 明發に逮す。
(現代語訳)
(李白が秋について詠ったものであるが、宋玉の九弁に影響を受けて作っている。)
秋を司る蓐收という神は金気が肅然として、見にしむ季節であり、海から上がって來る上弦の月は西陸の軌道を通ってゆく。
秋の蝉は物寂しげに皆軒の先に留まって鳴いているものだが、そうした季節を示すものが私の感情を愁いにするものであってこの季節にはそれがおさまってしまうことなどないのだ。
天運というもの尽きることはないし、良辰はいつともわからないものである。これは人にも言えることで、功名を立てるべき好機会に容易には出会うことなどなくて、やがては窮途に沈淪する。
こうして、この秋も暮れてゆけば、悲風蕭颯として寒空を拂い、そして夜も長く、多くの星もいつしか消えてしまう
かくして、惻惻の情、自ずから言うに忍びず、しいて哀歌を発して秋の夜もすがら眠りもしないで立待夜が明けたしまったという次第だ。
(訳注)
古風,五十九首之三十二
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
(李白が秋について詠ったものであるが、以下に示す宋玉の九弁に影響を受けて作っている。)
宋玉『九辨』、
悲哉秋之為氣也!蕭瑟兮草木搖落而變衰,
憭慄兮若在遠行,登山臨水兮送將歸,
泬寥兮天高而氣清,寂寥兮收潦而水清,
憯悽增欷兮薄寒之中人,愴怳懭悢兮去故而就新,
坎廩兮貧士失職而志不平,廓落兮羇旅而無友生。
惆悵兮而私自憐。
燕翩翩其辭歸兮,蟬寂漠而無聲。
鴈廱廱而南遊兮,鶤雞啁哳而悲鳴。
獨申旦而不寐兮,哀蟋蟀之宵征。
時亹亹而過中兮,蹇淹留而無成。
「秋を悲しむ」とよんでもよい。『九辯』については全文訳注を掲載していいる。
九辯 第二段-#1 宋玉 <00-#3>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 632 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2144
蓐收肅金氣,西陸弦海月。
秋を司る蓐收という神は金気が肅然として、見にしむ季節であり、海から上がって來る上弦の月は西陸の軌道を通ってゆく。
○蓐收【じょくしゅう】 秋の神。全身金色の鳞片であり,左耳一条金蛇を穿つ,脚は两条金龙を踏み,面は人で身は虎である,肩には胛处 羽翼を生ず. ①蓐收とは秋の神をいう,左耳有蛇,乘两条龙。 ②白帝少昊の辅佐の神——秋神蓐收。③古代伝説中の西方の神名であり,秋を司る。
○西陸 秋になって月の通過する軌道。立春立秋には月は東方青道を行く、東陸という。立夏夏至には月は南方黄道を行く南陸という。立秋秋分には月は西方白道を行く、西陸という。立冬冬至には月は北方黒道を行く、北陸という。
○弦 上弦の月、下弦の月。新月と満月の中間にある月をいう。
秋蟬號階軒,感物憂不歇。
秋の蝉は物寂しげに皆軒の先に留まって鳴いているものだが、そうした季節を示すものが私の感情を愁いにするものであってこの季節にはそれがおさまってしまうことなどないのだ。
良辰竟何許,大運有淪忽。
天運というもの尽きることはないし、良辰はいつともわからないものである。これは人にも言えることで、功名を立てるべき好機会に容易には出会うことなどなくて、やがては窮途に沈淪する。
○何許 何処。
○大運 天運。
○淪忽 秋がくれて行く様に人生も暮れてゆく。
天寒悲風生,夜久眾星沒。
こうして、この秋も暮れてゆけば、悲風蕭颯として寒空を拂い、そして夜も長く、多くの星もいつしか消えてしまう
惻惻不忍言,哀歌逮明發。
かくして、惻惻の情、自ずから言うに忍びず、しいて哀歌を発して秋の夜もすがら眠りもしないで立待夜が明けたしまったという次第だ。
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