巻1 33 李太白集 《0133 古風五十九首之三十三》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5466
- 2015/01/28
- 22:16
《0133 古風五十九首之三十三》 李白 荘子「逍遥遊」篇に言う北溟には鯤という巨大な魚がいて、その身の長さは数千里という。上を向いて息をすれば、飛沫紛々として雪のように東海の神仙三山に降り注ぎ、横たえて飲みこんだら百川の水を一気に飲み干すばかりとという。
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製作年: 725年 開元十三年 25歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十三
作地點: 江陵(山南東道 / 荊州 / 江陵)
古風,五十九首之三十三
(この詩は、荘子「逍遥遊篇」開巻劈頭、の「鵬鯤」の物語に基づき李白の志を述べたものである。)
北溟有巨魚,身長數千里。
荘子「逍遥遊」篇に言う北溟には鯤という巨大な魚がいて、その身の長さは数千里という。
仰噴三山雪,橫吞百川水。
上を向いて息をすれば、飛沫紛々として雪のように東海の神仙三山に降り注ぎ、横たえて飲みこんだら百川の水を一気に飲み干すばかりとという。
憑陵隨海運,燀赫因風起。
この鯤が一たび変ずれば、大鵬となって勢いは凄まじく海の運行に乗じて動き出し、一度はばたきをすれば、天地を吹き飛ばすような大風に乗じて舞いあがるのである。
吾觀摩天飛,九萬方未已。
天を摩するようなその勢いを見れば、九万里を一息に飛んでも、その勢いはやむことはないのである。では本当に力の限り飛んだならどれほどのものか、とても凡智の知恵でははかり知ることはできないのだ。
(五十九首の三十三)
北溟 巨魚有り,身長 數千里。
仰いで 三山の雪を噴き,橫たえて 百川の水を吞む。
憑陵 海の運するに隨い,燀赫 風の起るに因る。
吾れ 天を摩して飛ぶを觀るに,九萬 方に未だ已まず。
『古風,五十九首之三十三』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之三十三
北溟有巨魚,身長數千里。
仰噴三山雪,橫吞百川水。
憑陵隨海運,燀赫因風起。
吾觀摩天飛,九萬方未已。
(下し文)
(五十九首の三十三)
北溟 巨魚有り,身長 數千里。
仰いで 三山の雪を噴き,橫たえて 百川の水を吞む。
憑陵 海の運するに隨い,燀赫 風の起るに因る。
吾れ 天を摩して飛ぶを觀るに,九萬 方に未だ已まず。
(現代語訳)
(この詩は、荘子「逍遥遊篇」開巻劈頭、の「鵬鯤」の物語に基づき李白の志を述べたものである。)
荘子「逍遥遊」篇に言う北溟には鯤という巨大な魚がいて、その身の長さは数千里という。
上を向いて息をすれば、飛沫紛々として雪のように東海の神仙三山に降り注ぎ、横たえて飲みこんだら百川の水を一気に飲み干すばかりとという。
この鯤が一たび変ずれば、大鵬となって勢いは凄まじく海の運行に乗じて動き出し、一度はばたきをすれば、天地を吹き飛ばすような大風に乗じて舞いあがるのである。
天を摩するようなその勢いを見れば、九万里を一息に飛んでも、その勢いはやむことはないのである。では本当に力の限り飛んだならどれほどのものか、とても凡智の知恵でははかり知ることはできないのだ。
(訳注)
古風,五十九首之三十三
(この詩は、荘子「逍遥遊篇」開巻劈頭、の「鵬鯤」の物語に基づき李白の志を述べたものである。)
荘子:「逍遥遊篇」
「北冥有魚、其名為鯤。鯤之大、不知其幾千里也。化而為鳥、其名為鵬。鵬之背、不知其幾千里也。怒而飛、其翼若垂天之雲。是鳥也、海運則將徙於南冥。南冥者、天池也。齊諧者、志怪者也。諧之言曰「鵬之徙於南冥也、水?三千里、摶扶搖而上者九萬里、去以六月息者也。」
北 冥 に 魚あり、其の名を鯤【コン】と為す。鯤の大きさ其の幾千里なるかを知らず。化して鳥と為るや、其の名を鵬【ホウ】と為す。鵬の背【そびら】、其の幾千里なるかを知らず。怒【ド】して飛べば其の翼は垂天【スイテン】 の雲の若【ごと】し。是の鳥や、海の運【うご】くとき則ち将に南冥に徙【うつ】らんとす。南冥とは天池なり。齊諧【セイカイ】とは怪を志れる者なり。諧の言に曰わく、「鵬の南冥に徙【うつ】るや、水に擊【う】つこと三千里、扶搖【フヨウ・つむじかぜ】に摶【はう】ちて上ること九万里、去るに六月の息【かぜ】を以てする者なり」と。
荘子が語る「逍遥遊」(ショウヨウユウ)の世界。開巻劈頭、「鵬鯤」の物語である。
この世界の北の果て、波も冥(くら)い海に魚がいて、その名は鯤という。その鯤の大きさは、いったい何千里あるのか見当もつかないほどの、とてつもない大きさだ。
この巨大な鯤が(時節が到来し)転身の時を迎えると、姿を変えて鳥となる。その名は鵬という。その背(せな)の広さは幾千里あるのか見当もつかない。
この鵬という巨大な鳥が、一たび満身の力を奮って大空に飛びたてば、その翼の大きいこと、まるで青空を掩(おお)う雲のようだ。
この鳥は、(季節風が吹き)海の荒れ狂うときになると、(その大風に乗って飛び上がり)、南の果ての海へと天翔(あまがけ)る。「南の果ての海」とは天の池である。
齊諧(セイカイ)という人は世の中の不思議な話をしっている物識りだが、彼の話によると、「鵬が南の果ての海に移る時には、水に撃(う)つこと三千里、つむじかぜに羽ばたいて上ること九万里、六月の風に乗って天がけり去る(飛び去る)のだ」という。
かげろうか、塵埃(ジンアイ)か、生きとし生けるもののひしめきあって呼吸するこの地上の世界。
北溟有巨魚,身長數千里。
荘子「逍遥遊」篇に言う北溟には鯤という巨大な魚がいて、その身の長さは数千里という。
仰噴三山雪,橫吞百川水。
上を向いて息をすれば、飛沫紛々として雪のように東海の神仙三山に降り注ぎ、横たえて飲みこんだら百川の水を一気に飲み干すばかりとという。
三山 神仙三山は東海の蒼海に浮ぶ蓬莱・瀛州・方丈の山をいう。
憑陵隨海運,燀赫因風起。
この鯤が一たび変ずれば、大鵬となって勢いは凄まじく海の運行に乗じて動き出し、一度はばたきをすれば、天地を吹き飛ばすような大風に乗じて舞いあがるのである。
吾觀摩天飛,九萬方未已。
天を摩するようなその勢いを見れば、九万里を一息に飛んでも、その勢いはやむことはないのである。では本当に力の限り飛んだならどれほどのものか、とても凡智の知恵でははかり知ることはできないのだ。
摩天 天に達するほど(高い)摩天楼。
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