巻1 35 李太白集 《0135 古風五十九首之三十五》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5476
- 2015/01/30
- 21:07
(この詩は、これまで詩賦を作るものが、その本領を了解していないことを嘲ったものである。)むかし、醜女が来て、西施の癪を煩い胸の苦しい時に胸をかかえて顔をしかめるのを見た、家に還って自分もそのしぐさを真似れば美しく見えると思って顔をしかめたところ,人が気味悪がって、隣近所を驚かした。
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製作年: 750年 天寶九年 50歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十五
及地點: 邯鄲 (河北道南部 洺州 邯鄲)
古風,五十九首之三十五
(この詩は、これまで詩賦を作るものが、その本領を了解していないことを嘲ったものである。)
醜女來效顰,還家驚四鄰。
むかし、醜女が来て、西施の癪を煩い胸の苦しい時に胸をかかえて顔をしかめるのを見た、家に還って自分もそのしぐさを真似れば美しく見えると思って顔をしかめたところ,人が気味悪がって、隣近所を驚かした。
壽陵失本步,笑殺邯鄲人。
寿陵というところの二男が行儀作法を趙の都、邯鄲に至って其の地方の歩き方を学んだが出来ず、又其の故の歩き方も忘れ、腹ばって帰った、というので邯鄲の人を大笑ひさせた。
一曲斐然子,雕蟲喪天真。
かの斐然として文章ある子弟輩が詩歌を作るのはよいが、雕蟲の様な小技を弄し、つまらぬ修辞に凝って天真爛漫な妙趣をなくしてしまう。
棘刺造沐猴,三年費精神。
功成無所用,楚楚且華身。
大雅思文王,頌聲久崩淪。
安得郢中質,一揮成斧斤。
(古風,五十九首の三十五)
醜女 來って顰【ひん】に效【なら】い,家に還って四鄰を驚かす。
壽陵 本步を失い,邯鄲【かんたん】の人を笑殺す。
一曲 斐然の子,雕蟲【ちょうちゅう】天真を喪う。
棘刺【きょくし】沐猴【もくこう】を造り,三年 精神を費す。
功 成って用うる所無く,楚楚 且つ身を華にす。
大雅 文王を思い,頌聲【しょうせい】久しく崩淪【ほうりん】。
安んぞ得ん 郢中【えいちゅう】の質,一揮 斧斤【ふうきん】を成すを。
『古風,五十九首之三十五』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之三十五
醜女來效顰,還家驚四鄰。
壽陵失本步,笑殺邯鄲人。
一曲斐然子,雕蟲喪天真。
(下し文)
(古風,五十九首の三十五)
醜女 來って顰【ひん】に效【なら】い,家に還って四鄰を驚かす。
壽陵 本步を失い,邯鄲【かんたん】の人を笑殺す。
一曲 斐然の子,雕蟲【ちょうちゅう】天真を喪う。
(現代語訳)
(この詩は、これまで詩賦を作るものが、その本領を了解していないことを嘲ったものである。)
むかし、醜女が来て、西施の癪を煩い胸の苦しい時に胸をかかえて顔をしかめるのを見た、家に還って自分もそのしぐさを真似れば美しく見えると思って顔をしかめたところ,人が気味悪がって、隣近所を驚かした。
寿陵というところの二男が行儀作法を趙の都、邯鄲に至って其の地方の歩き方を学んだが出来ず、又其の故の歩き方も忘れ、腹ばって帰った、というので邯鄲の人を大笑ひさせた。
かの斐然として文章ある子弟輩が詩歌を作るのはよいが、雕蟲の様な小技を弄し、つまらぬ修辞に凝って天真爛漫な妙趣をなくしてしまう。
(訳注)
古風,五十九首之三十五
(この詩は、これまで詩賦を作るものが、その本領を了解していないことを嘲ったものである。)
醜女來效顰,還家驚四鄰。
むかし、醜女が来て、西施の癪を煩い胸の苦しい時に胸をかかえて顔をしかめるのを見た、家に還って自分もそのしぐさを真似れば美しく見えると思って顔をしかめたところ,人が気味悪がって、隣近所を驚かした。
○敦壕 《荘子、天運篇》〔西施が胸を病み,胸をかかえて顔をしかめるのを見た醜女が,自分もそのしぐさを真似れば美しく見えると思って顔をしかめたところ,人が気味悪がったという「荘子天運」の寓話から〕むやみに人の真似をして物笑いとなること。また,人の真似をしたものであることを謙遜していう場合に使う。西施捧心(ほうしん)。単に「顰みに倣う」とも。
壽陵失本步,笑殺邯鄲人。
寿陵というところの二男が行儀作法を趙の都、邯鄲に至って其の地方の歩き方を学んだが出来ず、又其の故の歩き方も忘れ、腹ばって帰った、というので邯鄲の人を大笑ひさせた。
矢本歩 壽陵の若者が趙の都、邯鄲に至って其の地方の歩き方を学んだが出来ず、又其の故の歩き方も忘れ、腹ばって帰った《荘子、秋水篇》。
(寿陵 中国の皇帝が生前にあらかじめ造営する陵墓。驪山(りざん)の始皇陵が最大だが,渭水北方の前漢の帝陵,洛陽付近の後漢の帝陵,醴泉(れいせん)の唐の太宗の昭陵も有名。)
一曲斐然子,雕蟲喪天真。
かの斐然として文章ある子弟輩が詩歌を作るのはよいが、雕蟲の様な小技を弄し、つまらぬ修辞に凝って天真爛漫な妙趣をなくしてしまう。
・一曲一隅である。一地方。
・斐然 文章を成すの貌。
古風,五十九首之三十五
(この詩は、これまで詩賦を作るものが、その本領を了解していないことを嘲ったものである。)
醜女來效顰,還家驚四鄰。
むかし、醜女が来て、西施の癪を煩い胸の苦しい時に胸をかかえて顔をしかめるのを見た、家に還って自分もそのしぐさを真似れば美しく見えると思って顔をしかめたところ,人が気味悪がって、隣近所を驚かした。
壽陵失本步,笑殺邯鄲人。
寿陵というところの二男が行儀作法を趙の都、邯鄲に至って其の地方の歩き方を学んだが出来ず、又其の故の歩き方も忘れ、腹ばって帰った、というので邯鄲の人を大笑ひさせた。
一曲斐然子,雕蟲喪天真。
かの斐然として文章ある子弟輩が詩歌を作るのはよいが、雕蟲の様な小技を弄し、つまらぬ修辞に凝って天真爛漫な妙趣をなくしてしまう。
棘刺造沐猴,三年費精神。
実際、三年の間精根を打込んで懸命に会得しようとしたが、何の役にも立たず、ただその人が、物事を計るのに、基準と為る度量が無いならば,此のイバラのとげを彫刻するというような(荒唐無稽な)說を論じる言説の士が多くなることでしょうということなのだ。
功成無所用,楚楚且華身。
つまらない技巧は、出来上ったものが用途が無く、製作者が王に養われて美々しい衣服で身を飾ったに過ぎないということなのだ。
大雅思文王,頌聲久崩淪。
かの詩経の大雅は文王の孝徳を賛じたもので、それはまことに結構なことだが、今日これを誦辭てみてもただ古を懐情するということだけだし、詩経、頌の一文は、立派なものではあるが、それ自体は崩れ淪んでから久しいのである。
安得郢中質,一揮成斧斤。
何とかして郢中の目標に、風を起こす斧を揮って一遍に削り落して見たいものだ。
(古風,五十九首の三十五)
醜女 來って顰【ひん】に效【なら】い,家に還って四鄰を驚かす。
壽陵 本步を失い,邯鄲【かんたん】の人を笑殺す。
一曲 斐然の子,雕蟲【ちょうちゅう】天真を喪う。
棘刺【きょくし】沐猴【もくこう】を造り,三年 精神を費す。
功 成って用うる所無く,楚楚 且つ身を華にす。
大雅 文王を思い,頌聲【しょうせい】久しく崩淪【ほうりん】。
安んぞ得ん 郢中【えいちゅう】の質,一揮 斧斤【ふうきん】を成すを。
『古風,五十九首之三十五』 現代語訳と訳註
(本文)
棘刺造沐猴,三年費精神。
功成無所用,楚楚且華身。
大雅思文王,頌聲久崩淪。
安得郢中質,一揮成斧斤。
(下し文)
棘刺【きょくし】沐猴【もくこう】を造り,三年 精神を費す。
功 成って用うる所無く,楚楚 且つ身を華にす。
大雅 文王を思い,頌聲【しょうせい】久しく崩淪【ほうりん】。
安んぞ得ん 郢中【えいちゅう】の質,一揮 斧斤【ふうきん】を成すを。
(現代語訳)
実際、三年の間精根を打込んで懸命に会得しようとしたが、何の役にも立たず、ただその人が、物事を計るのに、基準と為る度量が無いならば,此のイバラのとげを彫刻するというような(荒唐無稽な)說を論じる言説の士が多くなることでしょうということなのだ。
つまらない技巧は、出来上ったものが用途が無く、製作者が王に養われて美々しい衣服で身を飾ったに過ぎないということなのだ。
かの詩経の大雅は文王の孝徳を賛じたもので、それはまことに結構なことだが、今日これを誦辭てみてもただ古を懐情するということだけだし、詩経、頌の一文は、立派なものではあるが、それ自体は崩れ淪んでから久しいのである。
何とかして郢中の目標に、風を起こす斧を揮って一遍に削り落して見たいものだ。
(訳注)
古風,五十九首之三十五
(この詩は、これまで詩賦を作るものが、その本領を了解していないことを嘲ったものである。)
棘刺造沐猴,三年費精神。
実際、三年の間精根を打込んで懸命に会得しようとしたが、何の役にも立たず、ただその人が、物事を計るのに、基準と為る度量が無いならば,此のイバラのとげを彫刻するというような(荒唐無稽な)說を論じる言説の士が多くなることでしょうということなのだ。
・棘刺造沐猴 《韓非子、外儲説左上》宋人で燕王のために、イバラのとげの先端で猿を作ることを願った者がいた。必ず三ヶ月の間、潔斎をして、その後に始めて像を觀ることができるのだと言った。そこで燕王は兵車三台(を出せる格式)の俸給を出し宋人を養った。燕王のそばに仕える治工(かじや)は王にこう言った「私は、人の上に立つ君主が十日も宴会をせず潔斎することはないと聞いております。今、宋人は王が用もない器を観るために潔斎することなど不可能だと考えて,そこで三ヶ月を期限としたのでしょう。凡そ彫刻する者が,彫刻のために用いる道具は必ず削るものより小さい道具を使います。今、私は鍛冶屋ですが,(イバラのとげの先より小さい)そんな彫刻刀は作ることはできません。此れはありえない物であります。王よ、必ずこの事を御明察なさって下さい。」そこで王は、宋人を囚えて尋問したところ,果たして虚言だったので,この人を殺した。鍛冶屋は王にこう言った「物事を計るのに、基準と為る度量が無いならば,此のイバラのとげを彫刻するというような(荒唐無稽な)說を論じる言説の士が多くなることでしょう。」
・三年費精紳 是は上韓非子の故事と無関係だが、「荘子」列御寇篇に見える、朱泙が竜を屠るの術を学び、三年にして技成る、而して其の巧を用いる所無し、と云ふ寓話を結合したものらしい。
功成無所用,楚楚且華身。
つまらない技巧は、出来上ったものが用途が無く、製作者が王に養われて美々しい衣服で身を飾ったに過ぎないということなのだ。
・楚楚 鮮明の貌。
大雅思文王,頌聲久崩淪。
かの詩経の大雅は文王の孝徳を賛じたもので、それはまことに結構なことだが、今日これを誦辭てみてもただ古を懐情するということだけだし、詩経、頌の一文は、立派なものではあるが、それ自体は崩れ淪んでから久しいのである。
・思文王 「詩経」大雅の首十すだれ篇は主として周の文王に関することが詠じられてゐる。
・頌聾 「詩経」に周頌・裔頌・魯頌有り、主として其の先組を祭る歌。大雅と並んで荘重なる詩。
安得郢中質,一揮成斧斤。
何とかして郢中の目標に、風を起こす斧を揮って一遍に削り落して見たいものだ。
・安得 あきらてのひら願望を表はす言葉。
・郢中質 郢の人が其の鼻の端に白土を蝿の翼ほど塗り付けて、匠石(石工)をして之を削らせてみると、斧を運らして風を成し、つちを削り取って鼻は傷かない。後に此の質になる男が死んでから、匠石の妙技も出来なくなった《荘子、徐無鬼》。
・質 もと弓の質的【まと】。ここでは運斤の目標である。
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