巻1 34 李太白集 《0134 古風五十九首之三十四》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5471
- 2015/01/29
- 22:22
《古風五十九首之三十四》雲南征伐のための鳥の羽をつけた召集令状が流星のように飛ぶ。一城を独占している地方長官で、虎の絵の割符が各地の将軍の手もとで合わされた。いずれの地方でも、国境の危急を救うのだと、やかましくわめき立てている。ねぐらに休んでいた鳥たちまで-、みんな、夜中に鳴きだした。
製作年: 751年 天寶十年 51歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十四
寫及地點: 紫微殿 (京畿道 京兆府 長安)
古風,五十九首之三十四 #1
(この時期天宝十年前後の時事について詠う)
羽檄如流星,虎符合專城。
雲南征伐のための鳥の羽をつけた召集令状が流星のように飛ぶ。一城を独占している地方長官で、虎の絵の割符が各地の将軍の手もとで合わされた。
喧呼救邊急,群鳥皆夜鳴。
いずれの地方でも、国境の危急を救うのだと、やかましくわめき立てている。ねぐらに休んでいた鳥たちまで-、みんな、夜中に鳴きだした。
白日曜紫微,三公運權衡。
白日にひとしい聖天子は、紫微殿の御座所にちゃんとかがやいておられるし、三公にはりっぱな大臣が正しくよい政治をしている。
天地皆得一,澹然四海清。
老子が天地各々「一:道」を得てみな純粋であるといわれた、おだやかに四海のはてまで澄みわたっているのに。
#2
借問此何為,答言楚徵兵。
渡瀘及五月,將赴雲南征。
怯卒非戰士,炎方難遠行。
長號別嚴親,日月慘光晶。
#3
泣盡繼以血,心摧兩無聲。
困獸當猛虎,窮魚餌奔鯨。
千去不一回,投軀豈全生。
如何舞干戚,一使有苗平。
羽檄如流星,虎符合專城。喧呼救邊急,群鳥皆夜鳴。
白日曜紫微,三公運權衡。天地皆得一,澹然四海清。
借問此何為,答言楚徵兵。渡瀘及五月,將赴雲南征【將赴雲南行】。
怯卒非戰士,炎方難遠行【炎方難遠征】。長號別嚴親,日月慘光晶。
泣盡繼以血,心摧兩無聲。困獸當猛虎,窮魚餌奔鯨。
千去不一回,投軀豈全生。如何舞干戚,一使有苗平。
(古風,五十九首之三十四)
羽檄は流星の如く,虎符は專城に合す。
喧呼 邊の急を救わんとす,群鳥 皆 夜鳴く。
白日 紫微に曜き,三公 權衡を運す。
天地 皆 一を得,澹然として四海清し。
#2
借問す 此れ何にをか為す,答えて言く 「楚 兵を徵す」と。
瀘を渡って五月に及び,將に雲南に赴いて征せんとす。
怯卒は 戰士に非らず,炎方は 遠行に難し。
長號して 嚴親に別れ,日月 光晶慘たり。
#3
泣盡きて 繼ぐを血を以ってし,心摧けて 兩ながら聲無し。
困獸 猛虎に當り,窮魚 奔鯨に餌す。
千去して 一も回えらず,軀を投じて豈に生を全うせんや。
如何か 干戚を舞わし,一たび 有苗をして平かならしめん。
『古風,五十九首之三十四』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之三十四 #1
羽檄如流星,虎符合專城。
喧呼救邊急,群鳥皆夜鳴。
白日曜紫微,三公運權衡。
天地皆得一,澹然四海清。
(下し文)
古風 其の三十四
羽轍 流星の如く、虎符 専城に合す
喧しく呼んで 辺の急を救わんとし、群島は 皆 夜鳴く
白日 紫徴に曜き、天王三三
地ち公言、権衡を運らす
(現代語訳)
(この時期天宝十年前後の時事について詠う)
雲南征伐のための鳥の羽をつけた召集令状が流星のように飛ぶ。一城を独占している地方長官で、虎の絵の割符が各地の将軍の手もとで合わされた。
いずれの地方でも、国境の危急を救うのだと、やかましくわめき立てている。ねぐらに休んでいた鳥たちまで-、みんな、夜中に鳴きだした。
白日にひとしい聖天子は、紫微殿の御座所にちゃんとかがやいておられるし、三公にはりっぱな大臣が正しくよい政治をしている。
老子が天地各々「一:道」を得てみな純粋であるといわれた、おだやかに四海のはてまで澄みわたっているのに。
(訳注)
古風,五十九首之三十四 #1
(この時期天宝十年前後の時事について詠う)
751年4月楊國忠の雲南戦線の戦いに敗れ、死者6万人をかぞえるも、なお徴兵し続けた。高仙芝、大食国を攻め、タラス河において大敗す。
羽檄如流星,虎符合專城。
雲南征伐のための鳥の羽をつけた召集令状が流星のように飛ぶ。一城を独占している地方長官で、虎の絵の割符が各地の将軍の手もとで合わされた。
○羽檄 檄は木札通知書。急用のはあいに鶏の羽を目印につけた。この詩では、速達の召集令状。
○虎符 兵士を徴発するときに用いる割符。銅片か竹片を用い、虎の絵が刻みこまれ、半分は京に留め、半分は将軍に賜わり、その命令の真実であることの証拠とした。
○専城 城を専らにする、蒜の主、すなわち一州一部の主で、地方の将軍のこと。
喧呼救邊急,群鳥皆夜鳴。
いずれの地方でも、国境の危急を救うのだと、やかましくわめき立てている。ねぐらに休んでいた鳥たちまで-、みんな、夜中に鳴きだした。
○辺急 国境の危急。
白日曜紫微,三公運權衡。
白日にひとしい聖天子は、紫微殿の御座所にちゃんとかがやいておられるし、三公にはりっぱな大臣が正しくよい政治をしている。
○紫徴天子の御座所。
〇三公 周代以来、時代によって内容が異なるが、地位の最も高い大臣である。唐の制度では、大尉・司徒・司空を三公とした。
○権衡 はかりのおもりと竿と。これを運用するというのは、政治を正しく行うこと。
天地皆得一,澹然四海清。
老子が天地各々「一:道」を得てみな純粋であるといわれた、おだやかに四海のはてまで澄みわたっているのに。
○天地皆得一 天下太平のこと。「天は一を得て以て清く、地は一を得て以て寧し」というのは「老子」の言葉であるが、「一」というのは「道」といいかえてもよい。
○澹然 ごたごたせず、さっぱりとしておだやかなさま。
中原は疲弊しつくし、勇敢な兵士は既に戦死しており、残っているのは役に立たない臆病な兵卒ばかりで、戦争の用に立つ勇士とはちがう。炎天の南方への遠い行軍はむつかしいのである。そうなると、徴兵されたものは、詩を覚悟して両親に別れを告げるのに、声のかぎり泣きさけぴつつ、尊い両親に別れの声は、そのために日も月も光を失うとおもわれるほどであった。
製作年: 751年 天寶十年 51歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十四
寫及地點: 紫微殿 (京畿道 京兆府 長安)
古風,五十九首之三十四 #1
(この時期天宝十年前後の時事について詠う)
羽檄如流星,虎符合專城。
雲南征伐のための鳥の羽をつけた召集令状が流星のように飛ぶ。一城を独占している地方長官で、虎の絵の割符が各地の将軍の手もとで合わされた。
喧呼救邊急,群鳥皆夜鳴。
いずれの地方でも、国境の危急を救うのだと、やかましくわめき立てている。ねぐらに休んでいた鳥たちまで-、みんな、夜中に鳴きだした。
白日曜紫微,三公運權衡。
天白日にひとしい聖天子は、紫微殿の御座所にちゃんとかがやいておられるし、三公にはりっぱな大臣が正しくよい政治をしている。
地皆得一,澹然四海清。
老子が天地各々「一:道」を得てみな純粋であるといわれた、おだやかに四海のはてまで澄みわたっているのに。
#2
借問此何為,答言楚徵兵。
こうした太平という時において、このように騒ぐというのはいったいどうしたことかと問うてみると、答えていうには、楚の地方で兵隊を徴集しているというのだ。
渡瀘及五月,將赴雲南征。
ただでさえ、亜熱帯の雲南地方であついのである、五月になれば濾水を渡ることができ、それまでに徴兵して雲南におもむき、いくさをしようというのだ。
怯卒非戰士,炎方難遠行。
これまで、中原は疲弊しつくし、勇敢な兵士は既に戦死しており、残っているのは役に立たない臆病な兵卒ばかりで、戦争の用に立つ勇士とはちがう。炎天の南方への遠い行軍はむつかしいのである。
長號別嚴親,日月慘光晶。
そうなると、徴兵されたものは、詩を覚悟して両親に別れを告げるのに、声のかぎり泣いて泣いて、泣きさけぴつつ、尊い両親に別れの声は、そのために日も月も光を失うとおもわれるほどであった。
#3
泣盡繼以血,心摧兩無聲。
困獸當猛虎,窮魚餌奔鯨。
千去不一回,投軀豈全生。
如何舞干戚,一使有苗平。
(古風,五十九首之三十四)
羽檄は流星の如く,虎符は專城に合す。
喧呼 邊の急を救わんとす,群鳥 皆 夜鳴く。
白日 紫微に曜き,三公 權衡を運す。
天地 皆 一を得,澹然として四海清し。
#2
借問す 此れ何にをか為す,答えて言く 「楚 兵を徵す」と。
瀘を渡って五月に及び,將に雲南に赴いて征せんとす。
怯卒は 戰士に非らず,炎方は 遠行に難し。
長號して 嚴親に別れ,日月 光晶慘たり。
#3
泣盡きて 繼ぐを血を以ってし,心摧けて 兩ながら聲無し。
困獸 猛虎に當り,窮魚 奔鯨に餌す。
千去して 一も回えらず,軀を投じて豈に生を全うせんや。
如何か 干戚を舞わし,一たび 有苗をして平かならしめん。
『古風,五十九首之三十四』 現代語訳と訳註
(本文) #2
借問此何為,答言楚徵兵。
渡瀘及五月,將赴雲南征。
怯卒非戰士,炎方難遠行。
長號別嚴親,日月慘光晶。
(下し文)#2
借問す 此れ何にをか為す,答えて言く 「楚 兵を徵す」と。
瀘を渡って五月に及び,將に雲南に赴いて征せんとす。
怯卒は 戰士に非らず,炎方は 遠行に難し。
長號して 嚴親に別れ,日月 光晶慘たり。
(現代語訳)
こうした太平という時において、このように騒ぐというのはいったいどうしたことかと問うてみると、答えていうには、楚の地方で兵隊を徴集しているというのだ。
ただでさえ、亜熱帯の雲南地方であついのである、五月になれば濾水を渡ることができ、それまでに徴兵して雲南におもむき、いくさをしようというのだ。
これまで、中原は疲弊しつくし、勇敢な兵士は既に戦死しており、残っているのは役に立たない臆病な兵卒ばかりで、戦争の用に立つ勇士とはちがう。炎天の南方への遠い行軍はむつかしいのである。
そうなると、徴兵されたものは、詩を覚悟して両親に別れを告げるのに、声のかぎり泣いて泣いて、泣きさけぴつつ、尊い両親に別れの声は、そのために日も月も光を失うとおもわれるほどであった。
(訳注) #2
古風,五十九首之三十四 #2
(この時期天宝十年前後の時事について詠う)
751年4月楊國忠の雲南戦線の戦いに敗れ、死者6万人をかぞえるも、なお徴兵し続けた。高仙芝、大食国を攻め、タラス河において大敗す。
#2
借問此何為,答言楚徵兵。
こうした太平という時において、このように騒ぐというのはいったいどうしたことかと問うてみると、答えていうには、楚の地方で兵隊を徴集しているというのだ。
○借問 ちょっとたずねる。
○楚徴兵 天宝十載(751年)唐の玄宗は兵を発し、雲南地方の新興国、タイ族の商詔に遠征して大敗した。八万の大軍が渡水の南で全滅したにもかかわらず、宰相の楊国忠は勝利したと上奏し、それをごまかすために、ふたたび七万の軍で南詔を討とうとした。これがまた大敗したが、このとき人民は、十中八九まで倒れて死ぬという雲南のわるい毒気のうわさを聞いており、だれも募集に応じない。楊国忠は各地に使を派遣して徴兵の人数をわりあて、強制的に召集した。楚は、雲南地方に地を接する南方の地方。なお、中庸の詩人、白居易(楽天)の「新豊折臂翁」というすぐれた詩は、この雲南征伐の際、自分で自分の腕をへし折って徴兵をのがれたという厭戦詩である。
渡瀘及五月,將赴雲南征。
ただでさえ、亜熱帯の雲南地方であついのである、五月になれば濾水を渡ることができ、それまでに徴兵して雲南におもむき、いくさをしようというのだ。
○渡 楚から書簡に入るところに、瀘水という川がある。いまの雲南省の北境を流れる金沙江(長江の上流)のこと。この川がおそろしい川である。一種の毒ガスを発散して、毎年三月、四月にこの川をわたると必ず中毒で死ぬという。五月になると渡れるが、それでも吐気をもよおした。するという。
○五月 旧暦だから、真夏のさいちゅうである。
怯卒非戰士,炎方難遠行。
これまで、中原は疲弊しつくし、勇敢な兵士は既に戦死しており、残っているのは役に立たない臆病な兵卒ばかりで、戦争の用に立つ勇士とはちがう。炎天の南方への遠い行軍はむつかしいのである。
長號別嚴親,日月慘光晶。
そうなると、徴兵されたものは、詩を覚悟して両親に別れを告げるのに、声のかぎり泣いて泣いて、泣きさけぴつつ、尊い両親に別れの声は、そのために日も月も光を失うとおもわれるほどであった。
これほどの脆弱な兵卒だと、まるで草臥れはてた獣が猛虎に出あったようなものだ。おいつめられた魚がものすごい勢いの鯨の餌じきになるようなもので、ことごとくやられてしまうというものだ。千人出征して一人もかえってこない。身を投じたがさいご、いのちはないものと思えばよい。
製作年: 751年 天寶十年 51歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十四
寫及地點: 紫微殿 (京畿道 京兆府 長安)
古風,五十九首之三十四 #1
(この時期天宝十年前後の時事について詠う)
羽檄如流星,虎符合專城。
雲南征伐のための鳥の羽をつけた召集令状が流星のように飛ぶ。一城を独占している地方長官で、虎の絵の割符が各地の将軍の手もとで合わされた。
喧呼救邊急,群鳥皆夜鳴。
いずれの地方でも、国境の危急を救うのだと、やかましくわめき立てている。ねぐらに休んでいた鳥たちまで-、みんな、夜中に鳴きだした。
白日曜紫微,三公運權衡。
白日にひとしい聖天子は、紫微殿の御座所にちゃんとかがやいておられるし、三公にはりっぱな大臣が正しくよい政治をしている。
天地皆得一,澹然四海清。
老子が天地各々「一:道」を得てみな純粋であるといわれた、おだやかに四海のはてまで澄みわたっているのに。
#2
借問此何為,答言楚徵兵。
こうした太平という時において、このように騒ぐというのはいったいどうしたことかと問うてみると、答えていうには、楚の地方で兵隊を徴集しているというのだ。
渡瀘及五月,將赴雲南征。
ただでさえ、亜熱帯の雲南地方であついのである、五月になれば濾水を渡ることができ、それまでに徴兵して雲南におもむき、いくさをしようというのだ。
怯卒非戰士,炎方難遠行。
これまで、中原は疲弊しつくし、勇敢な兵士は既に戦死しており、残っているのは役に立たない臆病な兵卒ばかりで、戦争の用に立つ勇士とはちがう。炎天の南方への遠い行軍はむつかしいのである。
長號別嚴親,日月慘光晶。
そうなると、徴兵されたものは、詩を覚悟して両親に別れを告げるのに、声のかぎり泣いて泣いて、泣きさけぴつつ、尊い両親に別れの声は、そのために日も月も光を失うとおもわれるほどであった。
#3
泣盡繼以血,心摧兩無聲。
そうして流す涙がつきはてて血が出るまで泣き、それでも哭き続けると心もくだけて、親も子も声が出なくなるという、その悲しさは、思いやられる。
困獸當猛虎,窮魚餌奔鯨。
これほどの脆弱な兵卒だと、まるで草臥れはてた獣が猛虎に出あったようなものだ。おいつめられた魚がものすごい勢いの鯨の餌じきになるようなもので、ことごとくやられてしまうというものだ。
千去不一回,投軀豈全生。
千人出征して一人もかえってこない。身を投じたがさいご、いのちはないものと思えばよい。
如何舞干戚,一使有苗平。
ああ、どうにかしてタテとマサカリの舞いでもって、むかしの聖天子の舜が有苗族を服従させたように、一ぺんに辺境を平和にすることはできないものか。
(古風,五十九首之三十四)
羽檄は流星の如く,虎符は專城に合す。
喧呼 邊の急を救わんとす,群鳥 皆 夜鳴く。
白日 紫微に曜き,三公 權衡を運す。
天地 皆 一を得,澹然として四海清し。
#2
借問す 此れ何にをか為す,答えて言く 「楚 兵を徵す」と。
瀘を渡って五月に及び,將に雲南に赴いて征せんとす。
怯卒は 戰士に非らず,炎方は 遠行に難し。
長號して 嚴親に別れ,日月 光晶慘たり。
#3
泣盡きて 繼ぐを血を以ってし,心摧けて 兩ながら聲無し。
困獸 猛虎に當り,窮魚 奔鯨に餌す。
千去して 一も回えらず,軀を投じて豈に生を全うせんや。
如何か 干戚を舞わし,一たび 有苗をして平かならしめん。
『古風,五十九首之三十四』 現代語訳と訳註
(本文)
泣盡繼以血,心摧兩無聲。
困獸當猛虎,窮魚餌奔鯨。
千去不一回,投軀豈全生。
如何舞干戚,一使有苗平。
(下し文) #3
泣盡きて 繼ぐを血を以ってし,心摧けて 兩ながら聲無し。
困獸 猛虎に當り,窮魚 奔鯨に餌す。
千去して 一も回えらず,軀を投じて豈に生を全うせんや。
如何か 干戚を舞わし,一たび 有苗をして平かならしめん。
(現代語訳)
そうして流す涙がつきはてて血が出るまで泣き、それでも哭き続けると心もくだけて、親も子も声が出なくなるという、その悲しさは、思いやられる。
これほどの脆弱な兵卒だと、まるで草臥れはてた獣が猛虎に出あったようなものだ。おいつめられた魚がものすごい勢いの鯨の餌じきになるようなもので、ことごとくやられてしまうというものだ。
千人出征して一人もかえってこない。身を投じたがさいご、いのちはないものと思えばよい。
ああ、どうにかしてタテとマサカリの舞いでもって、むかしの聖天子の舜が有苗族を服従させたように、一ぺんに辺境を平和にすることはできないものか。
古風,五十九首之三十四 #3
(この時期天宝十年前後の時事について詠う)
751年4月楊國忠の雲南戦線の戦いに敗れ、死者6万人をかぞえるも、なお徴兵し続けた。高仙芝、大食国を攻め、タラス河において大敗す。
#3
泣盡繼以血,心摧兩無聲。
そうして流す涙がつきはてて血が出るまで泣き、それでも哭き続けると心もくだけて、親も子も声が出なくなるという、その悲しさは、思いやられる。
困獸當猛虎,窮魚餌奔鯨。
これほどの脆弱な兵卒だと、まるで草臥れはてた獣が猛虎に出あったようなものだ。おいつめられた魚がものすごい勢いの鯨の餌じきになるようなもので、ことごとくやられてしまうというものだ。
千去不一回,投軀豈全生。
千人出征して一人もかえってこない。身を投じたがさいご、いのちはないものと思えばよい。
如何舞干戚,一使有苗平。
ああ、どうにかしてタテとマサカリの舞いでもって、むかしの聖天子の舜が有苗族を服従させたように、一ぺんに辺境を平和にすることはできないものか。
〇千戚 たてとまさかり、転じて武器の稔称。むかし三皇五帝の聖人舜帝は干戚を手にして舞っただけで有苗族がたちまち服従したという故事を引用。
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