巻1 36 李太白集 《0136 古風五十九首之三十六》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5481
- 2015/01/31
- 22:50
《0136 古風五十九首之三十六》 李白魯中連は東海を踏んで碧水に沈みそうになり、老子が西のかた、函谷関にいれば、紫氣がこれに随ってきたという。この魯中連と老子の二人は、まことに、沈冥隠晦の所を得たもので、我もまたこれらの人を学び、その精美芳芬の徳を受け継いでいきたいと思うのである。
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製作年: 753年 天寶十二年 53歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十六
古風,五十九首之三十六
(士のもちられぬのは、もとより不幸、またもちいられても、まごまごすると、災いに遭う。そこで、魯中連や老子のように、高挙遠踏するのが第一だという意を述べたものである。)
抱玉入楚國,見疑古所聞。
昔、聞く所によれば、卞和という人が、玉璞を携えて、楚国に入り、わざわざ、これを楚王に献じたところが、誰もこれを見分けることが出来なかった。
良寶終見棄,徒勞三獻君。
そんなことで、良寶も終に棄てられてしいまい、骨折り損の無駄なことをして、三度目にようやく玉だとわかって、君の手元におさまった。士が偶々もちいられたとしても、ややもすれば、その才が帰って累を為すことがあるということだ。
直木忌先伐,芳蘭哀自焚。
例えば、木が真っ直ぐであることで、かえって切り倒されてしまうとか、香木が臭いを含んでいるからと言って燃やされる様なものである。
盈滿天所損,沈冥道為群。
全て物事が十分であるのは、よろしくないので、盈滿になると、天からこれを損する。また、沈冥隠晦の域に至ったとすれば、とこしえに、道と群をなして、一緒にいることが出来るのである。
東海沈碧水,西關乘紫雲。
そういうことで、魯中連は東海を踏んで碧水に沈みそうになり、老子が西のかた、函谷関にいれば、紫氣がこれに随ってきたという。
魯連及柱史,可以躡清芳。
この魯中連と老子の二人は、まことに、沈冥隠晦の所を得たもので、我もまたこれらの人を学び、その精美芳芬の徳を受け継いでいきたいと思うのである。
(古風,五十九首の三十六)
玉をい抱て楚國に入り,見疑われしは 古しえ聞く所なり。
良寶 終に棄て見れ,徒勞 三たび君に獻ず。
直木は 先ず伐らるるを忌み,芳蘭は自ら焚くを哀む。
盈滿は 天 損する所,沈冥 道 群を為す。
東海 碧水に沈み,西關 紫雲に乘ず。
魯連及び柱史,以って清芳を躡む可し。
『古風,五十九首之三十六』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之三十六
抱玉入楚國,見疑古所聞。
良寶終見棄,徒勞三獻君。
直木忌先伐,芳蘭哀自焚。
盈滿天所損,沈冥道為群。
東海沈碧水,西關乘紫雲。
魯連及柱史,可以躡清芳。
〔此詩一作〈感興〉云:朅來荊山客,誰為珉玉分。良寶絕見棄,虛持三獻君。直木忌先伐,芬蘭哀自焚。盈滿天所損,沈冥道所群。東海有碧水,西山多白雲。魯連及夷齊,可以躡清芬。〕
(下し文)
(古風,五十九首の三十六)
玉をい抱て楚國に入り,見疑われしは 古しえ聞く所なり。
良寶 終に棄て見れ,徒勞 三たび君に獻ず。
直木は 先ず伐らるるを忌み,芳蘭は自ら焚くを哀む。
盈滿は 天 損する所,沈冥 道 群を為す。
東海 碧水に沈み,西關 紫雲に乘ず。
魯連及び柱史,以って清芳を躡む可し。
(現代語訳)
(士のもちられぬのは、もとより不幸、またもちいられても、まごまごすると、災いに遭う。そこで、魯中連や老子のように、高挙遠踏するのが第一だという意を述べたものである。)
昔、聞く所によれば、卞和という人が、玉璞を携えて、楚国に入り、わざわざ、これを楚王に献じたところが、誰もこれを見分けることが出来なかった。
そんなことで、良寶も終に棄てられてしいまい、骨折り損の無駄なことをして、三度目にようやく玉だとわかって、君の手元におさまった。士が偶々もちいられたとしても、ややもすれば、その才が帰って累を為すことがあるということだ。
例えば、木が真っ直ぐであることで、かえって切り倒されてしまうとか、香木が臭いを含んでいるからと言って燃やされる様なものである。
全て物事が十分であるのは、よろしくないので、盈滿になると、天からこれを損する。また、沈冥隠晦の域に至ったとすれば、とこしえに、道と群をなして、一緒にいることが出来るのである。
そういうことで、魯中連は東海を踏んで碧水に沈みそうになり、老子が西のかた、函谷関にいれば、紫氣がこれに随ってきたという。
この魯中連と老子の二人は、まことに、沈冥隠晦の所を得たもので、我もまたこれらの人を学び、その精美芳芬の徳を受け継いでいきたいと思うのである。
(訳注)
古風,五十九首之三十六
この詩は、感嘆の詩で、士のもちられぬのは、もとより不幸、またもちいられても、まごまごすると、災いに遭う。そこで、魯中連や老子のように、高挙遠踏するのが第一だという意を述べたものである。
抱玉入楚國,見疑古所聞。
昔、聞く所によれば、卞和という人が、玉璞を携えて、楚国に入り、わざわざ、これを楚王に献じたところが、誰もこれを見分けることが出来なかった。
抱玉入楚國 韓非子卞和の故事。楚の卞和が美しい玉を含包した石を 厲 ( れい ) 王と武王に献じたが理解されず欺く者として両足を切られた。 やがて文王の代になり、その文王がその原石を磨かせたところ本当に宝玉であったという故事。 《韓非子、和氏篇》
良寶終見棄,徒勞三獻君。
そんなことで、良寶も終に棄てられてしいまい、骨折り損の無駄なことをして、三度目にようやく玉だとわかって、君の手元におさまった。士が偶々もちいられたとしても、ややもすれば、その才が帰って累を為すことがあるということだ。
直木忌先伐,芳蘭哀自焚。
例えば、木が真っ直ぐであることで、かえって切り倒されてしまうとか、香木が臭いを含んでいるからと言って燃やされる様なものである。
直木忌先伐 《荘子 山木》直木先伐、甘井先竭(直木は先ず伐られる、甘井は先ず竭く。)才能のすぐれた人は早く使い切って衰えてしまうことのたとえ。
盈滿天所損,沈冥道為群。
全て物事が十分であるのは、よろしくないので、盈滿になると、天からこれを損する。また、沈冥隠晦の域に至ったとすれば、とこしえに、道と群をなして、一緒にいることが出来るのである。
東海沈碧水,西關乘紫雲。
そういうことで、魯中連は東海を踏んで碧水に沈みそうになり、老子が西のかた、函谷関にいれば、紫氣がこれに随ってきたという。
東海沈碧水 戦国時代に魯中連という人は 『秦がもし天下の政権を握るようなことがあったら. すぐ私は東海に身をなげて死ぬ。 私はどう しても秦の民となることはできぬ。』 と激しい. 口調で言った。 世人は魯中連の精神に感動し、 その言葉を小気味よいと思った。
西關乘紫雲 城西の門の衛兵・尹喜は、東の空に紫雲がたなびくのに気づき、4人の供を連れた老子を出迎え、知恵を書き残して欲しいと願った。《史記》「老子西入函谷關。關令尹喜見紫雲西邁。」
魯連及柱史,可以躡清芳。
この魯中連と老子の二人は、まことに、沈冥隠晦の所を得たもので、我もまたこれらの人を学び、その精美芳芬の徳を受け継いでいきたいと思うのである。
魯中連【ろちゅうれん】(約前305年—前245年) 戦国時代の斉の雄弁家。高節を守って誰にも仕えず、諸国を遊歴した。魯連。
柱史 老子のこと周の柱下の史であることからこう呼ぶ。老子は、古代中国の哲学者であり、道教創案の中心人物。「老子」の呼び名は「偉大な人物」を意味する尊称と考えられている。書物『老子』を書いたとされるがその履歴については不明な部分が多く、実在が疑問視されたり、生きた時代について激しい議論が行われたりする。
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