巻1 39 李太白集 《0139 古風五十九首之三十九》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5496
- 2015/02/03
- 22:19
過去の王朝で経験している栄華なものは東へ流れる水のようにそこに留まらない、栄枯盛衰は世の習いなのだ。又東流した水は再びその地に帰ることはなくこの朝廷でのなにもかもの出来事、総ての事柄、大波の間に漂っているのだ。
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年: 743年 天寶二年 43歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之三十九
作地點: 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)
古風,五十九首之三十九
(この詩も、感嘆の詩で、李白が高力士らの讒言にあって、長安を追放された後作ったもの。)
登高望四海,天地何漫漫。
重陽の日には高い山に登り、四方、天下を見わたすものであり、天も地もはるかであり、ひろびろとして人の世の出来事の小さいことかを認識する。
霜被群物秋,風飄大荒寒。
凛凛たる霜が降り被い尽くすと、あらゆる草木は、黄ばんで枯れ、すべて穀物、木この実がうれ、秋になる。颯颯たる西風が吹いて、ひろびろとした荒野には寒々として誰もいなくなる。
榮華東流水,萬事皆波瀾。
過去の王朝で経験している栄華なものは東へ流れる水のようにそこに留まらない、栄枯盛衰は世の習いなのだ。又東流した水は再びその地に帰ることはなくこの朝廷でのなにもかもの出来事、総ての事柄、大波の間に漂っているのだ。
白日掩徂輝,浮雲無定端。
日中の太陽、天子の威光であり、あるいは、正論というものが、李林甫、宦官共のようにつまらぬものにその輝きは覆い隠され、浮雲のような姦臣の宦官たちは常識の端がないように思うがままにしているのだ。
梧桐巢燕雀,枳棘棲鴛鸞。
今では、燕と雀の小人物が本来鳳凰が棲むはずの青桐にかこまれたところに巣を作っており、大人物がいるかといえばそうではなく、ただ睦まじいだけのおしどりと鸞鳳が棲んでおり、その権勢を借りて、カラタチと棘の様に人の邪魔をしている。
且復歸去來,劍歌行路難。
ともかくもまた「歸去來」の辞を詠おう、そして剣を叩いて 「行路難」を吟じよう。
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(古風,五十九首の三十九)
高きに登って四海を望めば,天地 何ぞ漫漫たる。
霜は被って 群物 秋なり,風は飄って 大荒 寒し。
榮華は 東流の水,萬事は 皆 波瀾なり。
白日 徂輝を掩い,浮雲 定端 無し。
梧桐に 燕雀を巢はしめ,枳棘【ききょく】鴛鸞を棲ましむ。
且つ 復た 歸り去り來らん,劍歌す「行路難」。
『古風,五十九首之三十九』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之三十九
登高望四海,天地何漫漫。
霜被群物秋,風飄大荒寒。
榮華東流水,萬事皆波瀾。
白日掩徂輝,浮雲無定端。
梧桐巢燕雀,枳棘棲鴛鸞。
且復歸去來,劍歌行路難。
(含異文):
登高望四海,天地何漫漫。
霜被群物秋,風飄大荒寒。
殺氣落喬木,浮雲蔽層巒。
孤鳳鳴天倪,遺聲何辛酸。
遊人悲舊國,撫心亦盤桓。
倚劍歌所思,曲終涕泗瀾。
登高望四海,天地何漫漫。
霜被群物秋,風飄大荒寒。
榮華東流水,萬事皆波瀾。
白日掩徂輝,浮雲無定端。
梧桐巢燕雀,枳棘棲鴛鸞。
且復歸去來,劍歌行路難【劍歌悲路難】。
【登高望四海,天地何漫漫。
霜被群物秋,風飄大荒寒。
殺氣落喬木,浮雲蔽層巒。
孤鳳鳴天倪,遺聲何辛酸。
遊人悲舊國,撫心亦盤桓。
倚劍歌所思,曲終涕泗瀾】。
(下し文)
(古風,五十九首の三十九)
高きに登って四海を望めば,天地 何ぞ漫漫たる。
霜は被って 群物 秋なり,風は飄って 大荒 寒し。
榮華は 東流の水,萬事は 皆 波瀾なり。
白日 徂輝を掩い,浮雲 定端 無し。
梧桐に 燕雀を巢はしめ,枳棘【ききょく】鴛鸞を棲ましむ。
且つ 復た 歸り去り來らん,劍歌す「行路難」。
(現代語訳)
(この詩も、感嘆の詩で、李白が高力士らの讒言にあって、長安を追放された後作ったもの。)
重陽の日には高い山に登り、四方、天下を見わたすものであり、天も地もはるかであり、ひろびろとして人の世の出来事の小さいことかを認識する。
凛凛たる霜が降り被い尽くすと、あらゆる草木は、黄ばんで枯れ、すべて穀物、木この実がうれ、秋になる。颯颯たる西風が吹いて、ひろびろとした荒野には寒々として誰もいなくなる。
過去の王朝で経験している栄華なものは東へ流れる水のようにそこに留まらない、栄枯盛衰は世の習いなのだ。又東流した水は再びその地に帰ることはなくこの朝廷でのなにもかもの出来事、総ての事柄、大波の間に漂っているのだ。
日中の太陽、天子の威光であり、あるいは、正論というものが、李林甫、宦官共のようにつまらぬものにその輝きは覆い隠され、浮雲のような姦臣の宦官たちは常識の端がないように思うがままにしているのだ。
今では、燕と雀の小人物が本来鳳凰が棲むはずの青桐にかこまれたところに巣を作っており、大人物がいるかといえばそうではなく、ただ睦まじいだけのおしどりと鸞鳳が棲んでおり、その権勢を借りて、カラタチと棘の様に人の邪魔をしている。
ともかくもまた「歸去來」の辞を詠おう、そして剣を叩いて 「行路難」を吟じよう。
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(訳注)
古風,五十九首之三十九
(この詩も、感嘆の詩で、李白が高力士らの讒言にあって、長安を追放された後作ったもの。)
高力士は、李白によって、脱靴の恥を懐き、清平楽の詞の語を摘まんで楊貴妃に譖し、法遂せられたのである。
登高望四海,天地何漫漫。
重陽の日には高い山に登り、四方、天下を見わたすものであり、天も地もはるかであり、ひろびろとして人の世の出来事の小さいことかを認識する。
○登高 九月九日の重陽の日の風習で、高い山に登り、家族を思い、菊酒を飲んで厄災を払う習わし。後漢の桓景の故事に基づいた重陽の風習の一。魏・曹植の「茱萸自有芳,不若桂與蘭」や魏・阮籍の『詠懷詩』其十「昔年十四五,志尚好書詩。被褐懷珠玉,顏閔相與期。開軒臨四野,登高望所思。丘墓蔽山岡,萬代同一時。千秋萬歳後,榮名安所之。乃悟羨門子,今自嗤。」
○四海 古来から四方の地の果ては海となっているからそれの内の意》国内。世の中。天下。また、世界。『孟子』尽心上に、孔子が泰山に登って天下を小としたとあるをイメージしている。
霜被群物秋,風飄大荒寒。
凛凛たる霜が降り被い尽くすと、あらゆる草木は、黄ばんで枯れ、すべて穀物、木この実がうれ、秋になる。颯颯たる西風が吹いて、ひろびろとした荒野には寒々として誰もいなくなる。
○霜被 霜が降り被い
○群物秋 霜が降り被い
○風飄 ヒューと風が吹く
○大荒 ひろびろとした荒野
○寒 寒々として誰もいない。
榮華東流水,萬事皆波瀾。
過去の王朝で経験している栄華なものは東へ流れる水のようにそこに留まらない、栄枯盛衰は世の習いなのだ。又東流した水は再びその地に帰ることはなくこの朝廷でのなにもかもの出来事、総ての事柄、大波の間に漂っているのだ。
○東流 中國の大河は東流している。水は東に流れるもの。其の位置にはとどまらない。いつかは消えていくもの。
○萬事 すべてのことがら。
白日掩徂輝,浮云無定端。
日中の太陽、天子の威光であり、あるいは、正論というものが、李林甫、宦官共のようにつまらぬものにその輝きは覆い隠され、浮雲のような姦臣の宦官たちは常識の端がないように思うがままにしているのだ。
○白日 日中の太陽。天子の威光。正論。
○浮云 うきぐも。李白は朝廷内の宦官のことを暗天の比喩としていうことが多い。
○無定端 定めの端がない。好き勝手なことをする。
梧桐巢燕雀,枳棘棲鴛鸞。
今では、燕と雀の小人物が本来鳳凰が棲むはずの青桐にかこまれたところに巣を作っており、大人物がいるかといえばそうではなく、ただ睦まじいだけのおしどりと鸞鳳が棲んでおり、その権勢を借りて、カラタチと棘の様に人の邪魔をしている。
○梧桐 あおぎり。玄宗と楊貴妃の生活を示したもの。元代の戯曲「梧桐雨」がある。また、『荘子』秋水篇の故事を用いる。荘子が梁の国の宰相恵子を訪れようとすると、それは宰相の地位を奪い取ろうとしているのだという重言があった。恐れる恵子に向かって荘子はたとえ話を持ち出す。南方に「鴛雛」という鳥がいて、梧桐にしか止まらず、練実(竹の実)しか食べず、清浄な水しか飲まない。鶴が「腐鼠」を食べていたところに鴛雛が通りかかると、鶴はにらみつけて「嚇」と叫んだ。今あなたは梁の国を取られはしないか恐れて威嚇するのか、と恵子に言った。猜疑心を抱きつつの後宮生活を示す。
○燕雀 小人物のこと。趙飛燕。楊貴妃の事。
○枳棘 からたちととげ。人の邪魔をすること。
○棲鴛鸞 おしどりと鸞鳳。楊貴妃とその兄弟の事。
この聯は『史記』・陳渉世家に「燕雀安知鴻鵠之志哉」(燕雀いずくんぞ鴻鵠之志を知るや。:小人物は大人物、鴻鵠の志を知ることができようか)の一節に基づくもの。
且復歸去來。 劍歌行路難。
ともかくもまた「歸去來」の辞を詠おう、そして剣を叩いて 「行路難」を吟じよう。
○歸去來 陶淵明が仕官80日あまりで官を辞して故郷に帰った時の辞。
○劍歌 孟嘗君(もうしょうくん)に苦言を呈した馮驩(ふうかん)は剣の柄をたたき詩を吟じた。
○行路難 古楽府の名。
其三十九
登高望四海。 天地何漫漫。 霜被群物秋。 風飄大荒寒。 榮華東流水。 萬事皆波瀾。
白日掩徂輝。 浮云無定端。 梧桐巢燕雀。 枳棘棲鴛鸞。 且復歸去來。 劍歌行路難。
( 行一作悲 ) ( 此詩一作 登高望四海。天地何漫漫。 霜被群物秋。 風飄大荒寒。
殺氣落喬木。 浮云蔽層巒。 孤鳳鳴天倪。 遺聲何辛酸。 游人悲舊國。 撫心亦盤桓。
倚劍歌所思。 曲終涕泗瀾。)
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