巻1 55 李太白集 《0155 古風五十九首之五十五》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5576
- 2015/02/19
- 22:40
李太白集 《0155 古風五十九首之五十五》 (この詩は、いたずらに、外面の美に眩せられ、色を珍とし、媚に甘く、道を貴ばざる世俗の愚を嘲ったものである。)齊の国で出来た瑟を弾じて、つぎには、秦の国から出た弦をはらって、西国の音律を弄す。聞く人にそれを聞き分けてもらおうと、様々な曲を演奏すると、これに深く感じ入って,心顏を動かし、はては、荒淫の情を催すようになる。
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制作年: 744年天寶三年 44歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之五十五
古風,五十九首之五十五
(この詩は、いたずらに、外面の美に眩せられ、色を珍とし、媚に甘く、道を貴ばざる世俗の愚を嘲ったものである。)
齊瑟彈東吟,秦弦弄西音。
齊の国で出来た瑟を弾じて、つぎには、秦の国から出た弦をはらって、西国の音律を弄す。
慷慨動顏魄,使人成荒淫。
聞く人にそれを聞き分けてもらおうと、様々な曲を演奏すると、これに深く感じ入って,心顏を動かし、はては、荒淫の情を催すようになる。
彼美佞邪子,婉孌來相尋。
彼美人は、佞邪なものであって、巧みに媚をあらわして、人の意を迎えていて、妖艶な顔で風情ありげにこちらに来て尋ねている。
一笑雙白璧,再歌千黃金。
齊瑟秦弦、東吟西音と使分けて相手の心を動かして、最初に一たび笑えば、白璧一雙を博し得、再び唄えば、千両の黄金を手にするという有様である。
珍色不貴道,詎惜飛光沈。
美人の愛嬌は、もとより言をまたざれども、これに惑わされる衆人の不束は愈々持って甚だしいものである。もちろん現代一般の風として、ただの色の美なるをめずらしがり、道の貴きを知らず、つまらぬことに打ち興じて、日月の沈みゆくのを惜しむことがあろうか。
安識紫霞客,瑤臺鳴素琴。
このようにして、艶めかしく心を動かす美人の音楽などに比較すれば、霞を喰するという仙人が玉で飾った美しい高殿のうえに座して、ことを断ずる、その声の方がはるかに貴く、且つ、思いを得ているのであるから、世人はこれを解さないから仕方がないというものである。
古風,五十九首之五十五
齊瑟 東吟を彈じ,秦弦 西音を弄ぶ。
慷慨 顏魄を動かし,人をして 荒淫を成さしむ。
彼の美 佞邪【はいじゃ】の子,婉孌【えんれん】 來って相い尋ぬ。
一笑せば 雙の白璧,再歌せば 千黃金。
珍色 道を貴ばざる,詎んぞ 飛光の沈むを惜まん。
安んぞ紫霞の客を識らん,瑤臺 素琴を鳴らすを。
『古風,五十九首之五十五』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之五十五
齊瑟彈東吟,秦弦弄西音。
慷慨動顏魄,使人成荒淫。
彼美佞邪子,婉孌來相尋。
一笑雙白璧,再歌千黃金。
珍色不貴道,詎惜飛光沈。
安識紫霞客,瑤臺鳴素琴。
(下し文)
古風,五十九首之五十五
齊瑟 東吟を彈じ,秦弦 西音を弄ぶ。
慷慨 顏魄を動かし,人をして 荒淫を成さしむ。
彼の美 佞邪【はいじゃ】の子,婉孌【えんれん】 來って相い尋ぬ。
一笑せば 雙の白璧,再歌せば 千黃金。
珍色 道を貴ばざる,詎んぞ 飛光の沈むを惜まん。
安んぞ紫霞の客を識らん,瑤臺 素琴を鳴らすを。
(現代語訳)
(この詩は、いたずらに、外面の美に眩せられ、色を珍とし、媚に甘く、道を貴ばざる世俗の愚を嘲ったものである。)
齊の国で出来た瑟を弾じて、つぎには、秦の国から出た弦をはらって、西国の音律を弄す。
聞く人にそれを聞き分けてもらおうと、様々な曲を演奏すると、これに深く感じ入って,心顏を動かし、はては、荒淫の情を催すようになる。
彼美人は、佞邪なものであって、巧みに媚をあらわして、人の意を迎えていて、妖艶な顔で風情ありげにこちらに来て尋ねている。
齊瑟秦弦、東吟西音と使分けて相手の心を動かして、最初に一たび笑えば、白璧一雙を博し得、再び唄えば、千両の黄金を手にするという有様である。
美人の愛嬌は、もとより言をまたざれども、これに惑わされる衆人の不束は愈々持って甚だしいものである。もちろん現代一般の風として、ただの色の美なるをめずらしがり、道の貴きを知らず、つまらぬことに打ち興じて、日月の沈みゆくのを惜しむことがあろうか。
このようにして、艶めかしく心を動かす美人の音楽などに比較すれば、霞を喰するという仙人が玉で飾った美しい高殿のうえに座して、ことを断ずる、その声の方がはるかに貴く、且つ、思いを得ているのであるから、世人はこれを解さないから仕方がないというものである。
(訳注)
古風,五十九首之五十五
(この詩は、いたずらに、外面の美に眩せられ、色を珍とし、媚に甘く、、道を貴ばざる世俗の愚を嘲ったものである。)
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
齊瑟彈東吟,秦弦弄西音。
齊の国で出来た瑟を弾じて、つぎには、秦の国から出た弦をはらって、西国の音律を弄す。
○東吟 東国の歌。
○秦弦 秦の国から出た弦。
○西音 西国の音律。
慷慨動顏魄,使人成荒淫。
聞く人にそれを聞き分けてもらおうと、様々な曲を演奏すると、これに深く感じ入って,心顏を動かし、はては、荒淫の情を催すようになる。
○慷慨 ① 世間の悪しき風潮や社会の不正などを、怒り嘆くこと。② 意気が盛んなこと。また、そのさま。
○顏魄 心顏。
彼美佞邪子,婉孌來相尋。
彼美人は、佞邪なものであって、巧みに媚をあらわして、人の意を迎えていて、妖艶な顔で風情ありげにこちらに来て尋ねている。
○佞邪 不正な心をもちながら、人にへつらうこと。また、その人。
○婉孌 美しい顔達。妖艶な顔。
一笑雙白璧,再歌千黃金。
齊瑟秦弦、東吟西音と使分けて相手の心を動かして、最初に一たび笑えば、白璧一雙を博し得、再び唄えば、千両の黄金を手にするという有様である。
珍色不貴道,詎惜飛光沈。
美人の愛嬌は、もとより言をまたざれども、これに惑わされる衆人の不束は愈々持って甚だしいものである。もちろん現代一般の風として、ただの色の美なるをめずらしがり、道の貴きを知らず、つまらぬことに打ち興じて、日月の沈みゆくのを惜しむことがあろうか。
○飛光 日月。
安識紫霞客,瑤臺鳴素琴。
このようにして、艶めかしく心を動かす美人の音楽などに比較すれば、霞を喰するという仙人が玉で飾った美しい高殿のうえに座して、ことを断ずる、その声の方がはるかに貴く、且つ、思いを得ているのであるから、世人はこれを解さないから仕方がないというものである。
○紫霞客 霞を喰するという仙人。
○瑤臺 玉で飾った美しい高殿。仙人の住む所。
○素琴 琴の素朴にして、金玉珍宝を飾りにしていないものをいう。
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