巻1 58 李太白集 《0158 古風五十九首之五十八》 李白kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5591
- 2015/02/22
- 22:21
李太白集 《0158 古風五十九首之五十八》 (この詩は、李白が夜郎に遷謫せられるとき、その道すがら、巫山の下を過ぎる際、古を弔って作ったので、遊覧懐古の詩である。)私は三峡を遡って巫山県の巫山縣の汀邊に至り、やがて陽臺に登って、古をたずねた。
巻1 58 李太白集 《0158 古風五十九首之五十八》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5591 |
作年: 759年乾元二年59歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之五十八
作地點: 巫山(山南東道 / 夔州 / 巫山)
古風,五十九首之五十八
(この詩は、李白が夜郎に遷謫せられるとき、その道すがら、巫山の下を過ぎる際、古を弔って作ったので、遊覧懐古の詩である。)
我行巫山渚,尋古登陽臺。
私は三峡を遡って巫山県の巫山縣の汀邊に至り、やがて陽臺に登って、古をたずねた。
天空綵雲滅,地遠清風來。
陽臺は千秋の艶跡として、人口に膾炙しているが、今来て見れば天宇空濶にして、彩雲の影だに無く、地は僻遠にして、唯だ江上から清風が吹き来たるだけである。
神女去已久,襄王安在哉。
神女の薦寝のことなど、その有無、実はその詳細は分かっておらず、また、仮にそうしたことがあったとして、既に歳月を経過しており、襄王は、今、もういないのだ。
荒淫竟淪替,樵牧徒悲哀。
但し、襄王も荒淫の跡と称する巫山の祠廟臺観などは、すべて荒廃し、木こりや牧童をして、いたずらに悲哀の情を催さしむるばかりである。
(古風,五十九首の五十八)
我 巫山の渚に到り,古しえを尋ねて陽臺に登る。
天は空しくして 綵雲滅し,地は遠くして 清風來る。
神女 去って已に久しく,襄王 安くにか在る哉。
荒淫 竟に淪沒,樵牧 徒らに 悲哀。

『古風,五十九首之五十八』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之五十八
我行巫山渚,尋古登陽臺。
天空綵雲滅,地遠清風來。
神女去已久,襄王安在哉。
荒淫竟淪替,樵牧徒悲哀。
(含異文):
古風,五十九首之五十八
我行巫山渚【我到巫山渚】,尋古登陽臺。
天空綵雲滅,地遠清風來。
神女去已久,襄王安在哉。
荒淫竟淪沒【荒淫竟淪替】,樵牧徒悲哀。
(下し文)
(古風,五十九首の五十八)
我 巫山の渚に到り,古しえを尋ねて陽臺に登る。
天は空しくして 綵雲滅し,地は遠くして 清風來る。
神女 去って已に久しく,襄王 安くにか在る哉。
荒淫 竟に淪沒,樵牧 徒らに 悲哀。
(現代語訳)
(この詩は、李白が夜郎に遷謫せられるとき、その道すがら、巫山の下を過ぎる際、古を弔って作ったので、遊覧懐古の詩である。)
私は三峡を遡って巫山県の巫山縣の汀邊に至り、やがて陽臺に登って、古をたずねた。
陽臺は千秋の艶跡として、人口に膾炙しているが、今来て見れば天宇空濶にして、彩雲の影だに無く、地は僻遠にして、唯だ江上から清風が吹き来たるだけである。
神女の薦寝のことなど、その有無、実はその詳細は分かっておらず、また、仮にそうしたことがあったとして、既に歳月を経過しており、襄王は、今、もういないのだ。
但し、襄王も荒淫の跡と称する巫山の祠廟臺観などは、すべて荒廃し、木こりや牧童をして、いたずらに悲哀の情を催さしむるばかりである。
(訳注)
古風,五十九首之五十八
(この詩は、李白が夜郎に遷謫せられるとき、その道すがら、巫山の下を過ぎる際、古を弔って作ったので、遊覧懐古の詩である。)
我行巫山渚,尋古登陽臺。
私は三峡を遡って巫山県の巫山縣の汀邊に至り、やがて陽臺に登って、古をたずねた。
巫山・陽臺 宋玉《高唐賦》「昔者楚襄王與宋玉遊於雲夢之台,望高之觀,其上獨有雲氣,崪兮直上,忽兮改容,須臾之間,變化無窮。王問玉曰:“此何氣也?”玉對曰:“所謂朝雲者也。”王曰:“何謂朝雲?”玉曰:“昔者先王嘗遊高唐,怠而晝寢,夢見一婦人曰:'妾,巫山之女也。為高唐之客。閘君遊 4 。回唐,願荐枕席。」王因幸之。去而辭曰:「妾在巫山之陽,高丘之阻。曰一為行雲,暮為行雨。朝朝暮暮,陽臺之下。」旦朝視之,如言。故為立廟,號曰朝雲。」王日:「朝雲始出,狀若何也?」
昔、楚の襄王と宋玉 雲夢之台に遊び,高の觀に望む,其の上、獨り雲氣有り,崪兮直上,忽兮改容,須臾之間,變化無窮。王問うて玉曰く:“此れ何の氣ぞや?”玉 對えて曰く:“所謂 朝雲なる者なり。”王曰く:“何謂朝雲?”玉曰く:“昔、先王 嘗て高唐に遊び,怠って晝寢し,夢に一婦人を見る 曰く:'妾,巫山の女也。高唐の客と為り。君が遊 ぶを閘く。回唐,願わくば枕席を荐めん。」王 因って之を幸す。去って辭して曰く:「妾は巫山の陽,高丘の阻に在り。曰く一たび行雲と為り,暮には行雨と為る。朝朝暮暮,陽臺之下。」と。旦朝、之を視て,言の如し。故に為に廟を立てて,號して朝雲と曰う。」王日く:「朝雲 始めて出づ,狀 若何也?」
楚雲 雲が男で女が雨で絡み合うというほどの意味だが、宋玉の「高唐の賦」宋玉『高唐賦』によると、楚の襄王と宋玉が雲夢の台に遊び、高唐の観を望んだところ、雲気(雲というよりも濃い水蒸気のガスに近いもの(か))があったので、宋玉は「朝雲」と言った。襄王がそのわけを尋ねると、宋玉は「昔者先王嘗游高唐,怠而晝寢,夢見一婦人…去而辭曰:妾在巫山之陽,高丘之阻,旦爲朝雲,暮爲行雨,朝朝暮暮,陽臺之下。」と答えた。「巫山之夢」。婉約の詩詞によく使われるが、千載不磨の契りといった感じのものではなく、もっと、気楽な契りをいう。
杜甫『水檻遣心二首』其の2 「蜀天常夜雨,江檻已朝晴。葉潤林塘密,衣幹枕席清。不堪支老病,何得尚浮名?淺把涓涓酒,深憑送此生。」楚の懐王が巫山の神女と夢のなかで交わった故事を連想させるが蜀では夜雨が降る。
水檻遣心二首其二 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 13) 杜甫 <418> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2035 杜甫詩1000-418-601/1500
李商隠『細 雨』「帷飄白玉堂、簟巻碧牙牀。楚女昔時意、蕭蕭髪彩涼。」(やわらかに風に翻るとばりは、白い玉の輝く堂を包んでいる。あるいは竹の敷物は、冷やかに碧く光る象牙の牀に拡げられている。巫山の神女はその身をささげたあの時の気持ちを秘めて今もいる、粛々と黒髪を一層色濃くし涼やかにしている。
細雨(帷飄白玉堂) 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-76
細雨(瀟洒傍廻汀) 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-78
天空綵雲滅,地遠清風來。
陽臺は千秋の艶跡として、人口に膾炙しているが、今来て見れば天宇空濶にして、彩雲の影だに無く、地は僻遠にして、唯だ江上から清風が吹き来たるだけである。
神女去已久,襄王安在哉。
神女の薦寝のことなど、その有無、実はその詳細は分かっておらず、また、仮にそうしたことがあったとして、既に歳月を経過しており、襄王は、今、もういないのだ。
荒淫竟淪替,樵牧徒悲哀。
但し、襄王も荒淫の跡と称する巫山の祠廟臺観などは、すべて荒廃し、木こりや牧童をして、いたずらに悲哀の情を催さしむるばかりである。
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