陸游 絶句二首 其一
- 2011/12/17
- 22:12
陸游 麗わしの人、唐琬。 (1)
陸游 絶句二首 其一
陸游は二十歳のころ結婚している。相手は陸游の母親唐氏の一族の娘で、唐琬といった。二人は仲むつまじいものであったらしい。このころ陸薄は、菊の花びらをつめた枕を詩に詠じ、世間の評判となった。ただ、彼は、その若いころの詩を後にすべて廃棄しているために伝わっていない。
四十余年を経てつぎのような回想の詩、絶句二首を作っている。
詩には「自分が年二十の時、菊枕の詩を作り、すこぶる人に評判を得た。今秋、たまたま、また菊を採り、枕嚢を縫い、凄然としたので詩をしたためた。」という内容の添え書きがされている。この詩も、例によって、艶歌として、お遊びのひとつとして書かれていると考える。いろんな訳註に不満を持って読んだが「お遊びの詩」「閨情」とすれば納得できる。(唐琬とのことを詠ったとする詩を少し追っかけてみる。5回程度になる)
絶句二首 63歳
其一
采得黄花作枕嚢、曲屏深幌悶幽香。
菊の黄花を採りあつめ、枕嚢に詰め込んだ、曲がり屏風奥のとばりあたりまでゆっくりとその香がほのかに届いている。
喚回四十三年夢、燈暗無人説断腸。
思い起こすこと四十三年になるあの閨のこと、燈火がとどかない暗い部屋の中でこのせつないやるせなさを誰もいないのに説いていた。
菊の黄花を採りあつめ、枕嚢に詰め込んだ、曲がり屏風奥のとばりあたりまでゆっくりとその香がほのかに届いている。
思い起こすこと四十三年になるあの閨のこと、燈火がとどかない暗い部屋の中でこのせつないやるせなさを誰もいないのに説いていた。
(その一)
黄花を采得して枕嚢を作る、曲屏 深幌 幽香 悶(かす)かなり
喚(よ)び回(かえ)す 四十三年の夢、灯暗くして 人の断腸を説く無し
采得黄花作枕嚢、曲屏深幌悶幽香。
菊の黄花を採りあつめ、枕嚢に詰め込んだ、曲がり屏風奥のとばりあたりまでゆっくりとその香がほのかに届いている。
○采得黄花作枕嚢 昔一緒に暮らしていたころ菊の花を詰めた枕から匂うことは性的感情を高めるものとされていた。その香が閨に漂うのである。
喚回四十三年夢、燈暗無人説断腸。
思い起こすこと四十三年になるあの閨のこと、燈火がとどかない暗い部屋の中でこのせつないやるせなさを誰もいないのに説いていた。
○燈暗 ほの暗くして閨の雰囲気を感じさせる詩人の表現。○断腸 悲痛の極み。李白「春思」と「清平調詞其二」につかう。どちらも情交だできない満たされないときの悲痛な思いを詠う。
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