《0531 (改訂)從仕》韓愈(仕官はしたものの、人間として面白くないものである。)少し前に、暇を持て余して暮らしているときには、先のことが不安で食うに事欠くこともあった。ところがこうして仕事に忙殺されると体の方が問題になってくる。こうした惆悵の毎日であると人の世を捨てて隠棲したとつくづく思う、この考えは昔からあることであるし、特別今に始まった事ではないし、現実はそうはいかない。
韓昌黎集 38《昌黎巻0531 (改訂)從仕》 韓愈 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5811 |
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張建封の幕府においての作品
齪齪
齪齪當世士,所憂在飢寒。
但見賤者悲,不聞貴者歎。
大賢事業異,遠抱非俗觀。
報國心皎潔,念時涕汍瀾。
妖姬坐左右,柔指發哀彈。
酒肴雖日陳,感激寧為歡。
秋陰欺白日,泥潦不少乾。
河堤決東郡,老弱隨驚湍。
天意固有屬,誰能詰其端。
願辱太守薦,得充諫諍官。
排雲叫閶闔,披腹呈琅玕。
致君豈無術,自進誠獨難。
41-#3 《0229 齪齪 -#3》韓愈(韓退之)ID 799年貞元15年 32歳<1334> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5654韓愈詩-41-#3
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汴泗交流贈張僕射
汴泗交流郡城角,築場十步平如削。
短垣三面繚逶迤,擊鼓騰騰樹赤旗。
新秋朝涼未見日,公早結束來何為。
分曹決勝約前定,百馬攢蹄近相映。
毬驚杖奮合且離,紅牛纓紱黃金羈。
側身轉臂著馬腹,霹靂應手神珠馳。
超遙散漫兩閒暇,揮霍紛紜爭變化。
發難得巧意氣粗,讙聲四合壯士呼。
此誠習戰非為劇,豈若安坐行良圖。
當今忠臣不可得,公馬莫走須殺賊。
42-#2 《0304 汴泗交流贈張僕射 -#2》韓愈(韓退之)ID 799年貞元15年 32歳<1336> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5664韓愈詩-42-#2
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鳴雁
嗷嗷鳴雁鳴且飛,窮秋南去春北歸。
去寒就暖識所依,天長地闊棲息稀。
風霜酸苦稻粱微,毛羽摧落身不肥。
裴回反顧群侶違,哀鳴欲下洲渚非。
江南水闊朝雲多,草長沙軟無網羅。
閒飛靜集鳴相和,違憂懷惠性匪他,凌風一舉君謂何?
44-#2 《0306 鳴雁 -#2》韓愈(韓退之)ID 799年貞元15年 32歳<1339> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5679韓愈詩-44-#2
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年:799年貞元15年 32歳
卷別: 卷三四0 文體: 五言律詩
詩題: 從仕
作地點: 徐州(河南道 / 徐州 / 徐州)
從仕
居閑食不足,從仕力難任。
暇を持て余して暮らしていると先のことが不安で食が細くなりがちになる。仕事に忙殺されていると体の方が問題になってくる。
兩事皆害性,一生恒苦心。
食がたりない「食不足」と身が持たない「力難任」の事柄はどちらも体の害になることである。だけど私の一生は常に苦しみに思う心境が続いている。
黄昏歸私室,惆悵起歎音。
夕方黄昏てきたら私の部屋にかえる。そうすると決まって歎き悲しむことが続いてどうしても口に出してしまう。
棄置人間世,古來非獨今。
こうした惆悵の毎日であると人の世を捨てて隠棲したと思う、この考えは昔からあることであるし、特別今に始まった事ではない。
(仕に從う)
閑に居れば 食 足らず、仕に從へば 力 任【た】へ難し。
兩事 皆 性を害す、一生 恆【つね】に心を苦む。
黄昏【こうこん】私室に歸り、惆悵【ちゅうちょう】して歎音【たんおん】を起す。
人間【にんげん】の世を棄置【きち】せん、古來 獨り今のみに非ず。
現代語訳と訳註
(本文)
從仕
居閑食不足,從仕力難任。
兩事皆害性,一生恒苦心。
黄昏歸私室,惆悵起歎音。
棄置人間世,古來非獨今。
(下し文)
(仕に從う)
閑に居れば 食 足らず、仕に從へば 力 任【た】へ難し。
兩事 皆 性を害す、一生 恆【つね】に心を苦む。
黄昏【こうこん】私室に歸り、惆悵【ちゅうちょう】して歎音【たんおん】を起す。
人間【にんげん】の世を棄置【きち】せん、古來 獨り今のみに非ず。
(現代語訳)
(仕官はしたものの、人間として面白くないものである。)
少し前に、暇を持て余して暮らしているときには、先のことが不安で食うに事欠くこともあった。ところがこうして仕事に忙殺されると体の方が問題になってくる。
「食不足」食がたりないとか「力難任」身が持たないという事柄はどちらも体の害になることである。だけど私の一生は常に苦しみに思う心境が続いている。
日暮れて黄昏てくると私の部屋にかえる。そうすると決まってこの幕府での仕事に対して歎き悲しむことが続いてどうしても口に出してしまう。
こうした惆悵の毎日であると人の世を捨てて隠棲したとつくづく思う、この考えは昔からあることであるし、特別今に始まった事ではないし、現実はそうはいかない。
(訳注)
從仕
(仕官はしたものの、人間として面白くないものである。)
從仕は仕官するということ。しかし、官吏生活の味気ないものとうたった。
居閑食不足,從仕力難任。
少し前に、暇を持て余して暮らしているときには、先のことが不安で食うに事欠くこともあった。ところがこうして仕事に忙殺されると体の方が問題になってくる。
○居閑 ひまな状態でいること。「二句は謝霊運の『登池上樓』の「進徳智所拙、退耕力不任」を意識においてつくったとされている。
登池上樓
潛虯媚幽姿,飛鴻響遠音。薄霄愧雲浮,棲川怍淵沉。
進德智所拙,退耕力不任。徇祿反窮海,臥痾對空林。
衾枕昧節候,褰開暫窺臨。傾耳聆波瀾,舉目眺嶇嶔。』
初景革緒風,新陽改故陰。池塘生春草,園柳變鳴禽。
祁祁傷豳歌,萋萋感楚吟。索居易永久,離群難處心。
持操豈獨古,無悶徵在今。』
登池上樓 #2 謝霊運<25>#2 詩集 396 kanbuniinkai紀 頌之漢詩ブログ1005
兩事皆害性,一生恒苦心。
「食不足」食がたりないとか「力難任」身が持たないという事柄はどちらも体の害になることである。だけど私の一生は常に苦しみに思う心境が続いている。
○両事 食不足と力難任の二つをさす。
○害性 生命を害する。肉体的生命を生、精神的生命を性と表現することがある。現代のサラリーマンにノイローゼ患者が多いのは、性を害しているのである。
○恒苦心 長い間ずっと心を苦しめる。陸機の「悪木豈無枝、志士多苦心。」を意識してつくった句だとする。陸機「猛虎行」から》志士は、簡単にはその志を変えないために、こと志と違って苦労することが多い。
猛虎行
渇不飲盗泉水、熱不息悪木陰。
悪木豈無枝、志士多苦心。整駕肅時命、杖策將尋遠。
飢食猛虎窟、寒栖野雀林。日歸功未建、時往歳載陰。
崇雲臨岸駭、鳴條随風吟。靜言幽谷底、長嘯高山岑。
急絃無懦響、亮節難爲音。人生誠未易、曷云開此衿。
眷我耿介懐、俯仰愧古今。
396-4 《猛虎行〔猛虎行贈李宗閔〕》韓愈(韓退之) Ⅱ韓昌黎集 巻五 <1044> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4204韓愈詩-396-4
黄昏歸私室,惆悵起歎音。
日暮れて黄昏てくると私の部屋にかえる。そうすると決まってこの幕府での仕事に対して歎き悲しむことが続いてどうしても口に出してしまう。
○惆悵 歎き悲しむさま、韓愈が今日よりさかのぼってうらむ。ここまで心苦なことが、かなりの経過時間そうであったこと。韓愈の尊敬した杜甫に「惆悵再難述」「閭里為我色惆悵」などの句がみえる。
杜甫.『自京赴奉先縣詠懷五百字詩』「榮枯咫尺異,惆悵難再述。」
杜甫『乾元中寓居同谷縣作歌七首之二』「嗚呼二歌兮歌始放,閭里為我色惆悵。」
宋玉『九辨』、
悲哉秋之為氣也!
蕭瑟兮草木搖落而變衰,
憭慄兮若在遠行,
登山臨水兮送將歸,
泬寥兮天高而氣清,
寂寥兮收潦而水清,
憯悽欷兮薄寒之中人,
愴怳懭悢兮去故而就新,
坎廩兮貧士失職而志不平,
廓落兮羇旅而無友生。
惆悵兮而私自憐。
燕翩翩其辭歸兮,蝉寂漠而無聲。
鴈廱廱而南遊兮,鶤[昆+鳥]雞 啁哳而悲鳴。
獨申旦而不寐兮,哀蟋蟀之宵征。
時亹亹而過中兮,蹇淹留而無成。
九辯 第一~ニ段(とおし) 宋玉 <00-#19>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 648 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2224
九辯 第九段―まとめ 宋玉 <00-#35>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304
棄置人間世,古來非獨今。
こうした惆悵の毎日であると人の世を捨てて隠棲したとつくづく思う、この考えは昔からあることであるし、特別今に始まった事ではないし、現実はそうはいかない。
○棄置人間世 隠遁することをいう。
○棄置 うっちゃりすてる。
○人間世 人間も、人間世も、ともに人間社会のこと。『荘子』に「人間世」の一篇がある。『漢書』の張良伝に、「願はくは人間の事を棄て、赤松子に従ひて遊ばんと欲するのみ」 の語がみえる。豪傑の張良さえ逃げ出したくなる人間世。神経の細い読書人、高級、下級とわず官吏が脱出したくなるのも無理もない。間は閒の俗字。
○古来非独今 むかしからそうなのであった。ただ現代、現実としてそうなのではない。
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