李太白集 61《太白巻二十五17 望夫石》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5886
- 2015/04/22
- 23:23
李白《望夫石》この石の恨みは、虞舜のあとを追うて及ばず、やがて洞庭湖の沈んで、沅湘の神となったあの二女に同じく、この石のもの言わざることは、二人までもこどを生んでもしゅうしだまっていたいという息嬀に類している。この石は、寂然として春の靄の中に立ったままで、今でも、なおその夫の帰るのを待っているようである。
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作年: 715年開元三年15歲
卷別: 卷一八五 文體: 五言律詩
詩題: 望夫石
作地點: 昌明(劍南道北部 / 綿州 / 昌明)
及地點: 望夫石 (淮南道 濠州 塗山) 別名:望夫臺
望夫石
(貞女が戦争に出かける夫をこの山上で見送り、そのまま岩になったと伝える遺跡を詠う)
彷彿古容儀,含愁帶曙輝。
望夫石はかの古の貞女が戦争に出かける夫をこの山上で見送った姿を彷彿するものである。愁いを含んで朝日に対している。
露如今日淚,苔似昔年衣。
その石面に潤う露は今日、新たに涙を流したように見えるし、苔むしたところはむかしの着物のようである。
有恨同湘女,無言類楚妃。
この石の恨みは、虞舜のあとを追うて及ばず、やがて洞庭湖の沈んで、沅湘の神となったあの二女に同じく、この石のもの言わざることは、二人までもこどを生んでもしゅうしだまっていたいという息嬀に類している。
寂然芳靄內,猶若待夫婦。
この石は、寂然として春の靄の中に立ったままで、今でも、なおその夫の帰るのを待っているようである。
(望夫石)
彷彿たり 古容儀,愁を含んで 曙輝【しょき】を帶ぶ。
露 今日の淚の如く,苔は昔年の衣に似たり。
恨み有り 湘女に同じ,言無く 楚妃に類す。
寂然たり 芳靄【ほうあい】の內,猶お夫を待つ婦の若し。
『望夫石』 現代語訳と訳註
(本文)
望夫石
彷彿古容儀,含愁帶曙輝。
露如今日淚,苔似昔年衣。
有恨同湘女,無言類楚妃。
寂然芳靄內,猶若待夫婦。
(下し文)
(望夫石)
彷彿たり 古容儀,愁を含んで 曙輝【しょき】を帶ぶ。
露 今日の淚の如く,苔は昔年の衣に似たり。
恨み有り 湘女に同じ,言無く 楚妃に類す。
寂然たり 芳靄【ほうあい】の內,猶お夫を待つ婦の若し。
(現代語訳)
(貞女が戦争に出かける夫をこの山上で見送り、そのまま岩になったと伝える遺跡を詠う)
望夫石はかの古の貞女が戦争に出かける夫をこの山上で見送った姿を彷彿するものである。愁いを含んで朝日に対している。
その石面に潤う露は今日、新たに涙を流したように見えるし、苔むしたところはむかしの着物のようである。
この石の恨みは、虞舜のあとを追うて及ばず、やがて洞庭湖の沈んで、沅湘の神となったあの二女に同じく、この石のもの言わざることは、二人までもこどを生んでもしゅうしだまっていたいという息嬀に類している。
この石は、寂然として春の靄の中に立ったままで、今でも、なおその夫の帰るのを待っているようである。
(訳注)
望夫石
(貞女が戦争に出かける夫をこの山上で見送り、そのまま岩になったと伝える遺跡を詠う)
望夫石 湖北省武昌の北の山の上にある岩。昔、貞女が戦争に出かける夫をこの山上で見送り、そのまま岩になったと伝える。
彷彿古容儀,含愁帶曙輝。
望夫石はかの古の貞女が戦争に出かける夫をこの山上で見送った姿を彷彿するものである。愁いを含んで朝日に対している。
彷彿 【ほうふつ/髣髴】 ありありと想像すること。よく似ているものを見て、そのものを思い浮かべること。
古容儀 いにしえの石となった女の容姿。
曙輝 朝日のこと。
露如今日淚,苔似昔年衣。
その石面に潤う露は今日、新たに涙を流したように見えるし、苔むしたところはむかしの着物のようである。
有恨同湘女,無言類楚妃。
この石の恨みは、虞舜のあとを追うて及ばず、やがて洞庭湖の沈んで、沅湘の神となったあの二女に同じく、この石のもの言わざることは、二人までもこどを生んでもしゅうしだまっていたいという息嬀に類している。
湘女 《楚辞、章句》に「堯用二女妻舜。有苗不服,舜往征之,二女從而不反,道死于沅湘之中,因为湘夫人也。」(堯、二女を用て舜に妻はす。有苗 服せず,舜 往いて之を征す,二女 從って反らず,道にして沅湘の中に死し,因って湘夫人となる。)とある。
楚妃 《左伝》「楚子滅息,以息嬀歸,生堵敖及成王焉。未言, 楚子問之,對曰:'吾一婦人而事二夫,縱勿能死,其又奚言。」(楚子、息を滅し,息嬀を以って歸り,堵敖及び成王を生む。未だ言わず, 楚子、之を問う,對えて曰く:'吾 一婦人にして二夫に事う,縱い能く死する勿きも,其れ又た奚ぞ言わん。)
寂然芳靄內,猶若待夫婦。
この石は、寂然として春の靄の中に立ったままで、今でも、なおその夫の帰るのを待っているようである。
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