李太白集 65《太白巻二十五14 雨後望月》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 5906
- 2015/04/26
- 22:46
雨後望月
四郊陰靄散,開戶半蟾生。
萬里舒霜合,一條江練橫。
出時山眼白,高後海心明。
為惜如團扇,長吟到五更。
これだけの満月が酒宴を催して充分に清賞を味わうというのでなければ、惜しいかぎりである、ほどなく、棄てられて、誰も見なくなるのは、残念であるから、私だけは五更に至るまで長吟していようと思う。
作年: 715年開元三年15歲
卷別: 卷一八五 文體: 五言律詩
詩題: 雨後望月
作地點: 昌明(劍南道北部 / 綿州 / 昌明)
雨後望月
(雨が上がったので、満月を迎える。)
四郊陰靄散,開戶半蟾生。
夕方まで降っていた雨が上がって、四方野原を蔽っていた靄も綺麗に晴れてきた、扉を開いて眺めれば山の端に月が昇るところで、月が半輪ほど顔をのぞき始めたところだ。
萬里舒霜合,一條江練橫。
万里の舒州、霜気がまさに景色に合し、一条の江水は匹練を横たえたようである。
出時山眼白,高後海心明。
望月が昇れば、その光は清く、さやけく、はじめて昇りはじめた時には、眼のように二つ並んでいる谷も白く見え、やがてようやく高く昇ると、そうなれば海心までもはっりりと明らかである。
為惜如團扇,長吟到五更。
これだけの満月が酒宴を催して充分に清賞を味わうというのでなければ、惜しいかぎりである、ほどなく、棄てられて、誰も見なくなるのは、残念であるから、私だけは五更に至るまで長吟していようと思う。
(雨後の望月)
四郊 陰靄【いんあい】散じ,戶を開けば半蟾【はんせん】生ず。
萬里 舒霜合し,一條 江練 橫たう。
出づる時 山眼白く,高き後 海心明かなり。
為に惜む團扇の如く,長吟 到五更にる。
『雨後望月』 現代語訳と訳註
(本文)
雨後望月
四郊陰靄散,開戶半蟾生。
萬里舒霜合,一條江練橫。
出時山眼白,高後海心明。
為惜如團扇,長吟到五更。
(下し文)
(雨後の望月)
四郊 陰靄【いんあい】散じ,戶を開けば半蟾【はんせん】生ず。
萬里 舒霜合し,一條 江練 橫たう。
出づる時 山眼白く,高き後 海心明かなり。
為に惜む團扇の如く,長吟 到五更にる。
(現代語訳)
(雨が上がったので、満月を迎える。)
夕方まで降っていた雨が上がって、四方野原を蔽っていた靄も綺麗に晴れてきた、扉を開いて眺めれば山の端に月が昇るところで、月が半輪ほど顔をのぞき始めたところだ。
万里の舒州、霜気がまさに景色に合し、一条の江水は匹練を横たえたようである。
望月が昇れば、その光は清く、さやけく、はじめて昇りはじめた時には、眼のように二つ並んでいる谷も白く見え、やがてようやく高く昇ると、そうなれば海心までもはっりりと明らかである。
これだけの満月が酒宴を催して充分に清賞を味わうというのでなければ、惜しいかぎりである、ほどなく、棄てられて、誰も見なくなるのは、残念であるから、私だけは五更に至るまで長吟していようと思う。
(訳注)
雨後望月
(雨が上がったので、満月を迎える。)
満月(まんげつ)・十五夜(じゅうごや)・望月(もちづき)・三五の月。
四郊陰靄散,開戶半蟾生。
夕方まで降っていた雨が上がって、四方野原を蔽っていた靄も綺麗に晴れてきた、扉を開いて眺めれば山の端に月が昇るところで、月が半輪ほど顔をのぞき始めたところだ。
蟾生 月が生まれ出ること。ここでは昇りはじめ半分でかかったことをいう。
萬里舒霜合,一條江練橫。
万里の舒州、霜気がまさに景色に合し、一条の江水は匹練を横たえたようである。
舒 舒州、現在の安徽省潜山縣。今の安徽省天柱山、三官山の南,長江より北地区をいう。
出時山眼白,高後海心明。
望月が昇れば、その光は清く、さやけく、はじめて昇りはじめた時には、眼のように二つ並んでいる谷も白く見え、やがてようやく高く昇ると、そうなれば海心までもはっりりと明らかである。
山眼 鼻筋があり、尾根を挟んで両目に見えることをいう。
為惜如團扇,長吟到五更。
これだけの満月が酒宴を催して充分に清賞を味わうというのでなければ、惜しいかぎりである、ほどなく、棄てられて、誰も見なくなるのは、残念であるから、私だけは五更に至るまで長吟していようと思う。
如團扇 班捷伃《怨歌行》において、どんなに寵愛を受けていても、やがて團扇のように棄てられてしまということをいう。
班捷伃《怨歌行》(怨詩)
新裂齊紈素,皎潔如霜雪。
裁爲合歡扇,團團似明月。
出入君懷袖,動搖微風發。
常恐秋節至,涼風奪炎熱。
棄捐篋笥中,恩情中道絶。
(怨歌行)
新たに 齊の 紈素を 裂けば,皎潔にして 霜雪の 如し。
裁ちて 合歡の扇と 爲せば,團團として 明月に 似たり。
君が懷袖に 出入し,動搖すれば 微風 發す。
常に恐らくは 秋節の至りて,涼風 炎熱を 奪ひ。
篋笥の中に 棄捐せられ,恩情 中道に 絶えんことを。
新たらしい斉の国産の白練り絹を裂いている、それは純白、潔白で穢れない清い白さは、霜や雪のようだ。
裁断して、両面から張り合わせの扇を作っている。丸くしてまるで満月のようです。
この扇はわが君の胸ふところや袖に出たり入ったりして、搖動かすたびに、そよ風を起していくでしょう。
でもいつもこころに恐れていることがあるのは秋の季節が来ることなのです。秋の清々しい風は、わが君の情熱を奪って涼しくしてしまうのです。
そうすると、屑籠の中に投げ捨てられてしまうことになります。わが君、帝王の寵愛が途中で絶えてしまうことになるのです。
怨歌行 班婕妤(倢伃) 漢詩<111>玉台新詠集 ・古詩源・文選 女性詩547 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1458
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