Index- | 6 | Ⅱ― 1-726年開元十四年26歳 | 21首 | ||
ID | No. | 詩題 | 詩文初句 | 李太白集 | |
98 | 39 | 1 | 楊叛兒 | 君歌楊叛兒, | 巻三 |
99 | 40 | 2 | 採蓮曲 | 若耶溪傍採蓮女, | 巻三 |
100 | 41 | 3 | 長干行,二首之一 | 妾髮初覆額, | 巻三 |
101 | 42 | 4 | 長干行,二首之二 | 憶妾深閨裡 | 巻三 |
102 | 43 | 5 | 淥水曲 | 淥水明秋月, | 巻五 |
103 | 44 | 6 | 估客行【估客樂】 | 海客乘天風, | 巻五 |
104 | 45 | 7 | 淮南臥病書懷寄蜀中趙徵君蕤 | 吳會一浮雲, | 巻十二 |
105 | 46 | 8 | 廣陵贈別 | 玉瓶沽美酒, | 巻十四 |
106 | 47 | 9 | 別儲邕之剡中 | 借問剡中道, | 巻十四 |
107 | 48 | 10 | 口號【口號留別金陵諸公】 | 食出野田美, | 巻十四 |
108 | 49 | 11 | 金陵酒肆留別 | 風吹柳花滿店香, | 巻十四 |
109 | 50 | 12 | 秋日登揚州西靈塔 | 寶塔凌蒼蒼, | 巻二十 |
110 | 51 | 13 | 夜下征虜亭 | 船下廣陵去, | 巻二十一 |
111 | 52 | 14 | 西施 | 西施越溪女, | 巻二十一 |
112 | 53 | 15 | 王右軍 | 右軍本清真, | 巻二十一 |
113 | 54 | 16 | 秋夕旅懷 | 涼風度秋海, | 巻二十三 |
114 | 55 | 17 | 陌上贈美人【小放歌行】 | 駿馬驕行踏落花, | 巻二十四 |
115 | 56 | 18 | 對酒 | 蒲萄酒, | 巻二十四 |
116 | 57 | 19 | 贈段七娘 | 羅襪凌波生網塵, | 巻二十四 |
117 | 58 | 20 | 越女詞,五首之一 | 長干吳兒女, | 巻二十四 |
118 | 59 | 21 | 越女詞,五首之二 | 吳兒多白皙, | 巻二十四 |
119 | 60 | 22 | 越女詞,五首之三 | 耶溪采蓮女。 | 巻二十四 |
120 | 61 | 23 | 越女詞,五首之四 | 東陽素足女。 | 巻二十四 |
121 | 62 | 24 | 越女詞,五首之五 | 鏡湖水如月。 | 巻二十四 |
襄陽・荊州・武昌・漢口・洞庭湖・金陵・揚州と遊ぶ。
年:726年開元十四年26歳
卷別: 卷一六三 文體: 樂府
詩題: 楊叛兒
作地點: 江寧(江南東道 / 潤州 / 江寧)
及地點: 新豐 (京畿道 京兆府 新豐)
江寧 (江南東道 潤州 江寧) 別名:金陵
楊叛兒
(楊叛兒の古辞に依傍して、それをさらに解釈的に鋪張して、その意義を明白にした詩である。)
君歌楊叛兒,妾勸新豐酒。
あなたは、『楊叛兒』の歌を歌いたまえ、わたしは、新豊の産に比すべき美酒を勧めて、これをねぎらいましょう。
何許最關人,烏啼白門柳。
古辞に言う「烏がの白門に傍て並ぶ柳の上に啼く」のは、どれだけの人の心をうごかすだろうか。
鳥啼隱楊花,君醉留妾家。
その烏は楊花茂り、柳絮飛び交う中で、その茂みに隠れるかのように、あなたは、酔っぱらってしまったら、わたしの家に留まってくれたらよい。(ここなら、人目もなく思う存分、逢瀬を楽しめる。)
博山爐中沈香火,雙煙一氣凌紫霞。
貴方のために名品の博山香炉に、沈香という名香を焚いてまっている。緩やかに立ち上る二筋の煙が一つとなり、それがもつれ合い微かに棚引くだろうし、夕焼雲をはるかにしのぐように仙郷の世界に登ることでしょう。
(楊叛兒)
君は歌う 楊叛兒,妾は勸む 新豐の酒。
何許【いくばく】か 最も 人に 關する,烏は啼く 白門の柳。
烏は啼いて楊花に 隱れ,君は醉ひて 妾の家に 留まる。
博山爐中 沈香の火,雙煙 一氣 紫霞を 凌ぐ。
『楊叛兒』 現代語訳と訳註
(本文)
楊叛兒
君歌楊叛兒,妾勸新豐酒。
何許最關人,烏啼白門柳。
鳥啼隱楊花,君醉留妾家。
博山爐中沈香火,雙煙一氣凌紫霞。
(下し文)
君は歌う 楊叛兒,妾は勸む 新豐の酒。
何許【いくばく】か 最も 人に 關する,烏は啼く 白門の柳。
烏は啼いて楊花に 隱れ,君は醉ひて 妾の家に 留まる。
博山爐中 沈香の火,雙煙 一氣 紫霞を 凌ぐ。
(現代語訳)
(楊叛兒の古辞に依傍して、それをさらに解釈的に鋪張して、その意義を明白にした詩である。)
あなたは、『楊叛兒』の歌を歌いたまえ、わたしは、新豊の産に比すべき美酒を勧めて、これをねぎらいましょう。
古辞に言う「烏がの白門に傍て並ぶ柳の上に啼く」のは、どれだけの人の心をうごかすだろうか。
その烏は楊花茂り、柳絮飛び交う中で、その茂みに隠れるかのように、あなたは、酔っぱらってしまったら、わたしの家に留まってくれたらよい。(ここなら、人目もなく思う存分、逢瀬を楽しめる。)
貴方のために名品の博山香炉に、沈香という名香を焚いてまっている。緩やかに立ち上る二筋の煙が一つとなり、それがもつれ合い微かに棚引くだろうし、夕焼雲をはるかにしのぐように仙郷の世界に登ることでしょう。
(訳注)
楊叛兒
(楊叛兒の古辞に依傍して、それをさらに解釈的に鋪張して、その意義を明白にした詩である。)
楊叛兒とはもと童謡で、斉の隆昌のとき、巫女のむすこ、楊旻【ようびん】が、母の巫女とともに宮中にはいった、長じて太后に寵せられた。それが童謡「楊婆児」で、それが歌語、訛って楊叛兒となった。
古辞 《楊叛兒》〔『楽府詩集』現存八首、古辞第二首〕
暫出白門前,楊柳可藏烏。 歡作沈水香,儂作博山爐。
(暫く白門の前に出るに,楊柳 烏を蔵すべし。歡きみは沈水の香となり,儂われは博山の爐となる。)
君歌楊叛兒,妾勸新豐酒。
あなたは、『楊叛兒』の歌を歌いたまえ、わたしは、新豊の産に比すべき美酒を勧めて、これをねぎらいましょう。
新豐 新豐:陝西省驪山華清宮近くにある酒の名産地。長安東北郊20kmの地名。白居易『新豐折臂翁』などある。遊侠の風の盛んなところである。
新豐酒 王維の『少年行』「新豐美酒斗十千,咸陽遊侠多少年。相逢意氣爲君飮,繋馬高樓垂柳邊。」
何許最關人,烏啼白門柳。
古辞に言う「烏がの白門に傍て並ぶ柳の上に啼く」のは、どれだけの人の心をうごかすだろうか。
烏啼白門柳 古辞《楊叛兒》〔『楽府詩集』現存八首、古辞第二首〕に基づく。白門は建康城の西門
鳥啼隱楊花,君醉留妾家。
その烏は楊花茂り、柳絮飛び交う中で、その茂みに隠れるかのように、あなたは、酔っぱらってしまったら、わたしの家に留まってくれたらよい。(ここなら、人目もなく思う存分、逢瀬を楽しめる。)
楊花 柳絮の花。
博山爐中沈香火,雙煙一氣凌紫霞。
貴方のために名品の博山香炉に、沈香という名香を焚いてまっている。緩やかに立ち上る二筋の煙が一つとなり、それがもつれ合い微かに棚引くだろうし、夕焼雲をはるかにしのぐように仙郷の世界に登ることでしょう。
博山爐 香炉の名。彝器(儀式用の鼎等の道具)の上に山の形を刻して装飾とした香炉。・博山:山東省博山県の東南の峡谷名。博山爐は香炉の一種で、古代貴族の贅沢品の1つ。高さは26センチ、錯金という入念な造りはほかにあまり例がない。錯金とは器の表面に溝を造り、同じ幅の金糸や金片を使って装飾を施した後に、磨いてつやを出すという製作方法で、針金象嵌ともいう。博山炉は、金糸や金片の違いを生かし、山にかかる折り重なった雲の形につくられ、空を行く雲や流れる水のように渋りがない芸術効果をおさめた。金糸は細いものもあれば太いものもあるが、細いものは髪の毛ほどの細さ。
沈香 〔じんこう〕熱帯や広東省に産する香木の名で、水に沈むからこう呼ばれる。香の名。