驕兒詩#5 李商隠
- 2011/12/26
- 21:31
驕兒詩#5 李商隠
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#4
欲爭蛺蝶輕,未謝柳絮疾。階前逢阿姊,六甲頗輸失。
凝走弄香奩,拔脫金屈戌。抱持多反側,威怒不可律。
曲躬牽窗網,衉唾拭琴漆。有時看臨書,挺立不動膝。
#5
古錦請裁衣,玉軸亦欲乞。
古い布で書幌を作ってくれと頼んでくる、つぎには書物を巻く軸などほしがる。
請爺書春勝,春勝宜春日。
この親父に立春の日の掛け物を書いてほしいとねだってくる、その立春の掛け物には「宜春」と書く日になっている。
芭蕉斜卷箋,辛夷低過筆。
庭の芭蕉は斜めに葉を巻いているのが短冊を巻いたようになっている、筆のような辛夷の花が咲いて芭蕉の短冊が下から差出し筆で書くようだ。
爺昔好讀書,懇苦自著述。
おやじの私は昔から読書が好きで、辛さに耐えて努力をし、著述してきた。
憔悴欲四十,無肉畏蚤虱。
その結果、やつれ果てもう四十になろうとしている、暮らしは貧しく、食卓に肉もつけられないし、のみやしらみに人一倍堪えている
兒慎勿學爺,讀書求甲乙。
わが子よ、どうかこの親父の私のただひたすら学問だけをして、進土に及第すればよいとだけ思ってはいけない、大局を見ないといけないのだ。
#6
穰苴司馬法,張良黃石術。便爲帝王師,不假更纖悉。
況今西與北,羌戎正狂悖。誅赦兩未成,將養如痼疾。
兒當速成大,探雛入虎穴。當爲萬戶侯,勿守一經帙。
#4
蛺蝶の軽きことを争わんと欲し、未だ柳絮の疾(はやき)に謝(ゆず)らず。
階前 阿姉(あし)に逢い、六甲 頗(すこぶる)輸失す
凝(ひそめ)走って 香奩(こうれん)を弄(もてあそ) ぶ、抜脱(ばつだつ)す 金の屈戌(くつじゅつ)。
抱持(ほうじ)すれば反側すること多く、威怒(いど)するも律すべからず。
躬(み)を曲げて窓の網を牽(ひ)き、衉唾(かくだ)して琴の漆(うるし)を拭(ぬぐ)う
時有り て 臨書を看れば、挺立(ていりつ)して膝を動かさず。
#5
古錦 衣を裁つこと請い、玉軸 亦 乞わんと欲す
爺(ちち)に請いて春勝を書かしむ、春勝 宜春の日
芭蕉のごとく斜めに倭を巻き、辛夷のごとく低く筆を過たす
爺(ちち)は昔 読書を好み、懇苦(こんく)して自ら著述(ちょじつ)す
憔悴(しょうすい) 四十ならんとするも、肉無く蚤風(のみしらみ)を畏れる
児よ 慎みて 爺を学び、書を読みて甲乙を求むこと勿かれ
#6
穰苴(じょうしょ)の司馬の法、張良(ちょうりょう)の黄石の術。
便(すなわ)ち 帝王の師と為らん、更に纖悉(せんしつ)なるに仮とせず。
況(いわん)や今 西と北と、羌戎(きょうじゅう) 正に狂悖(きょうぼつ)するをや。
誅(ちゅう)も赦(しゃ)も両(ふたつ)ながら末(いまだ)成らず、将養 痼疾(こしつ)の如し。
児よ 当に速かに成大し、雛(ひな)を探って 虎窟(こくつ)に入るべし。
当に万戸侯と為るべし、一経の帙(ちつ)を守る勿かれ。
驕兒詩 現代語訳と訳註
(本文) #5
古錦請裁衣,玉軸亦欲乞。請爺書春勝,春勝宜春日。
芭蕉斜卷箋,辛夷低過筆。爺昔好讀書,懇苦自著述。
憔悴欲四十,無肉畏蚤虱。兒慎勿學爺,讀書求甲乙。
(下し文) 驕兒詩#5 李商隠
古錦 衣を裁つこと請い、玉軸 亦 乞わんと欲す
爺(ちち)に請いて春勝を書かしむ、春勝 宜春の日
芭蕉のごとく斜めに倭を巻き、辛夷のごとく低く筆を過たす
爺(ちち)は昔 読書を好み、懇苦(こんく)して自ら著述(ちょじつ)す
憔悴(しょうすい) 四十ならんとするも、肉無く蚤風(のみしらみ)を畏れる
児よ 慎みて 爺を学び、書を読みて甲乙を求むこと勿かれ
(現代語訳)
古い布で書幌を作ってくれと頼んでくる、つぎには書物を巻く軸などほしがる。
この親父に立春の日の掛け物を書いてほしいとねだってくる、その立春の掛け物には「宜春」と書く日になっている。
庭の芭蕉は斜めに葉を巻いているのが短冊を巻いたようになっている、筆のような辛夷の花が咲いて芭蕉の短冊が下から差出し筆で書くようだ。
おやじの私は昔から読書が好きで、辛さに耐えて努力をし、著述してきた。
その結果、やつれ果てもう四十になろうとしている、暮らしは貧しく、食卓に肉もつけられないし、のみやしらみに人一倍堪えている
わが子よ、どうかこの親父の私のただひたすら学問だけをして、進土に及第すればよいとだけ思ってはいけない、大局を見ないといけないのだ。
(訳注)#5
古錦請裁衣,玉軸亦欲乞。
古い布で書幌を作ってくれと頼んでくる、つぎには書物を巻く軸などほしがる。
○裁衣 衣はここでは書物を包む幌を指す。○玉軸 巻子本の軸。両端は玉で作られる。
請爺書春勝,春勝宜春日。
この親父に立春の日の掛け物を書いてほしいとねだってくる、その立春の掛け物には「宜春」と書く日になっている。
○春勝 春の到来を祝う字を書いて立春の日に掛けるもの。○宜春 春勝に書く文字。『荊楚歳時記』 に「立春の目、悉く綵を剪りて燕を為り、以て之を戴きて、宜春の二字を貼る」。
芭蕉斜卷箋,辛夷低過筆。
庭の芭蕉は斜めに葉を巻いているのが短冊を巻いたようになっている、筆のような辛夷の花が咲いて芭蕉の短冊が下から差出し筆で書くようだ。
○芭蕉斜卷箋 懐紙を巻くのを芭蕉の葉が出てくる時のかたちにたとえる。「斜」 はぎこちなく、きちんと巻けないこと。
○辛夷低過筆 辛夷(コブシ)は木筆花の別名もあり、ふくらんだつぼみのかたちが墨を含んだ筆に似ている。「低」は落としそうで危なっかしいことをいうか。「過」は手渡しする。
爺昔好讀書,懇苦自著述。
おやじの私は昔から読書が好きで、辛さに耐えて努力をし、著述してきた。
○懇苦 辛さに耐えて努力することをいう。
憔悴欲四十,無肉畏蚤虱。
その結果、やつれ果てもう四十になろうとしている、暮らしは貧しく、食卓に肉もつけられないし、のみやしらみに人一倍堪えている。
○無肉畏蚤虱 食事は肉をつけてあげられないし、住まいはノミ、シラ、、、がいる貧しさをいう。あるいは、からだに肉がついていなくてやせほそっていて、蚤シラミに人一倍堪えている。
兒慎勿學爺,讀書求甲乙。
わが子よ、どうかこの親父の私のただひたすら学問だけをして、進土に及第すればよいとだけ思ってはいけない、大局を見ないといけないのだ。
○甲乙 科挙の試験をいう。進士科には「甲」と「乙」の二科があった。進士に及第すればよいというのではいけない、政治的に大局を見ないいけないといっている。
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