柳枝五首 其一 李商隠
- 2011/12/28
- 16:45
柳枝五首 其一 李商隠
柳枝五首 其一
花房與蜜脾,雄蜂蛺蝶雌。
花房に蜜脾あたえる。雄の蜂が蛺蝶の雌に。
同時不同類,哪復更相思。
同じ場所、同じ時であっても、同類ではないのである、どうしてまた、更に思いを寄せるというのか。
其の一
花房と蜜脾と、蜂の雄と蛺蝶の雌と。
時を同じくするも類を同じくせず、那ぞ復た更に相い思わんや。
柳枝五首 其一 現代語訳と訳註 解説
(本文)
花房與蜜脾,雄蜂蛺蝶雌。
同時不同類,哪復更相思。
(下し文)
花房と蜜脾と、蜂の雄と蛺蝶の雌と。
時を同じくするも類を同じくせず、那ぞ復た更に相い思わんや。
(現代語訳)
花房に蜜脾あたえる。雄の蜂が蛺蝶の雌に。
同じ場所、同じ時であっても、同類ではないのである、どうしてまた、更に思いを寄せるというのか。
(訳註)
花房與蜜脾,雄蜂蛺蝶雌。
花房に蜜脾あたえる。雄の蜂が蛺蝶の雌に。
○花房 花弁で囲まれた空洞の部分。○蜜脾 中国古代からあるブドウの原種。蜜のように甘くおいしく、脾胃(胃腸)にたいへんよいというのが蜜脾(みつひ)の名前の由来という。中国で何千年も前から知られた滋養強壮の果物で、特に胃腸が弱って消化吸収機能が衰えている時によいとされているもの。中国の地方では、血液補給に、必ずこの蜜脾を贈る風習があった。○蛺蝶 鱗翅(りんし)目タテハチョウ科の昆虫の総称。一般に中形のチョウで、活発に飛び、止まると翅(はね)を立て下げする。アカタテハ・クジャクチョウ・オオムラサキなど。
同時不同類,哪復更相思。
同じ場所、同じ時であっても、同類ではないのである、どうしてまた、更に思いを寄せるというのか。
(解説)
○詩型 五言絶句。
○押韻 雌。思。
李商隠はこれが自分を慕ってくれた柳枝が諸侯のもとに連れて行かれ、その身に起こること思い遣ったのである。花ならばいくら花弁房をもっていても、また蜂や蝶にとまられたとしても、体を預けたり、思いを寄せることにはならないのである。
またこの時代、身分階級の違いがすべてのことに違いがあった。貴族以外の女性は、女としてか、子供を産む道具とされていたようだ。柳枝は禊ぎをして連れて行かれているから、おそらく貴族や、富豪のところへ行ったのである。いわゆる家妓という設定とおもわれる。
李商隠は、単にセックスシンボルを取り上げ、それで「同類でなければ性への思いはかなわない」といっているのではないのである。本来なら、何不充なく一生送れたはずなのに、父の不慮の事故によってもたらされたものが「不遇」ということであった。
これは、李商隠の婚姻によってもたらされたものが自分自身の「不遇」になったことを比喩しているのである。柳枝五首有序はそのためにある。この視点に立ってこの詩を見ていく。この視点に立ってこの詩を見ていく。
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