柳枝五首其三 李商隠
- 2011/12/29
- 21:19
柳枝五首其三 李商隠

柳枝五首 其 三
嘉瓜引蔓長,碧玉冰寒漿。
美しい、美味い瓜は蔓を引き合って長くのびているものだ。碧玉ともいえる実は氷のように冷えて果汁がおいしいのだ。
東陵嵗五色,不忍值牙香。
東陵の瓜は五色のものがとれるというけれど東方の諸侯のところで五年経過している五色の色に染められたのであろう、香しいその実、歯に当てるにはしのびないという美しい娘は見るだけで我が物とはしないものなのだ。
其の三
嘉瓜 蔓を引くこと長し、碧玉 寒漿氷る。
東陵 五色と嵗(さい)するも、牙香に値うに忍びず。
柳枝五首其三 現代語訳と訳註
(本文) 其三
嘉瓜引蔓長,碧玉冰寒漿。
東陵嵗五色,不忍值牙香。
(下し文) 其の三
嘉瓜(かか) 蔓を引くこと長し、碧玉(へきぎょく) 寒漿(かんしょう)氷る。
東陵 五色と嵗(さい)するも、牙香(がこう)に値うに忍びず。
(現代語訳) 其三
美しい、美味い瓜は蔓を引き合って長くのびているものだ。碧玉ともいえる実は氷のように冷えて果汁がおいしいのだ。
東陵の瓜は五色のものがとれるというけれど東方の諸侯のところで五年経過している五色の色に染められたのであろう、香しいその実、歯に当てるにはしのびないという美しい娘は見るだけで我が物とはしないものなのだ。
(訳注)
嘉瓜引蔓長,碧玉冰寒漿。
美しい、美味い瓜は蔓を引き合って長くのびているもの。碧玉ともいえる実は氷のように冷えて果汁がおいしい。
○嘉瓜 「瓜」 は蔓が勢いよく伸びることから生命力あふれた植物とされる。ここでは柳枝の健康な美しさを瓜の実にたとえる。○碧玉 微細な石英の結晶が集まってできた鉱物(潜晶質石英)であり、宝石の一種。酸化鉄や水酸化鉄などの不純物が混入しているため不透明であり、不純物の違いによって、紅色・緑色・黄色・褐色など様々な色や模様のものがある。瓜の実を碧色の玉にたとえる。べつに、恋の歌に登場する少女の名に使用されることは多い。
梁•元帝
碧玉小家女,來嫁汝南王。蓮花亂臉色,荷葉雜衣香。因持薦君子,願襲芙蓉裳。
○寒漿 冷たい飲料。瓜は、現代のように果物としてより、果汁を飲んだものである。
魏・曹丕「朝歌令呉質に与うる書」(『文選』巻四二)に「甘瓜を清泉に浮かべ、朱李を寒水に沈む」と、瓜やスモモを冷やして食べることが記されている。
東陵嵗五色,不忍值牙香。
東陵の瓜は五色のものがとれるというけれど東方の諸侯のところで五年経過している五色の色に染められたのであろう、香しいその実、歯に当てるにはしのびないという美しい娘は見るだけで我が物とはしないものなのだ。
○東陵嵗五色 東陵では五色のものがとれるという。嵗(作付け)。ここでは、東方の諸侯と東陵をかけているので五年経過して五色の色に染められたという意味になる。
泰の東陵侯に封じられていた卲平は秦が滅びると布衣(庶民)の身となり、長安の門の東で瓜を栽培し、それが美味だったので「東陵の瓜」と称された。
卲平 東陵の瓜は五色
曰:邵平故秦東陵侯,秦滅後,為布衣,種瓜長安城東。種瓜有五色,甚美,故世謂之東陵瓜,又云青門瓜,卲平の訳注は、「古風」 第九首 李白109参照
魏・阮籍も卲平の東陵の瓜は五色をふまえて「詠懐詩」(『文選』巻二三)其六に「昔聞く東陵の瓜、近く青門の外に在りと。……五色 朝日に輝き、嘉賓 四面に会す」とする。
○牙香 牙は歯。噛むと香りが立ち上る。美しい娘は見るだけで我が物とはしないという意。
○詩型 五言絶句。
○押韻 長・渠・香。
李商隠はここでも、阮籍や李白と同様に邵平の「東陵の瓜」に基づいているということで大切に作付けられた瓜で、風流に食べるといっている。娘も理不尽につれていき、理不尽を続けているのではないか。権力者は世の道理をわきまえていない
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