李太白集 237《太白巻18-16 酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 6766
- 2015/10/15
- 22:16
李白 酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招
黃鶴東南來,寄書寫心曲。倚松開其緘,憶我腸斷續。
不以千里遙,命駕來相招。中逢元丹丘,登嶺宴碧霄。
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
黃鶴が一羽、東南より飛び來り、君からの書面を届けて、細々とした御心使いのほどを写してあった。そこで、松の木樹に倚りかかり、その封を開いて読んでみると、私の様なものをわざわざお心にかけて、心腸が断続されるような趣も明らかに見える。殊に千里の遠きにかかわらず、駕を命じ、特に使いを以て招かれたのは官舎の言葉もない程である。中にも、元丹邱におあいになったとかで、山の嶺に登って、さながら碧霄の上のようなところで宴をひらいたのだ。
李太白集 237《太白巻18-16 酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 6766 |
年:736年開元二十四年36歳
卷別: 卷一七八 文體: 五言古詩
詩題: 酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招
作地點: 潁陽(都畿道 / 河南府 / 潁陽)
交遊人物:岑勛 當地交遊(都畿道 河南府 潁陽)
元丹丘 當地交遊(都畿道 河南府 潁陽)
酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招-#1
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
黃鶴東南來,寄書寫心曲。
黃鶴が一羽、東南より飛び來り、君からの書面を届けて、細々とした御心使いのほどを写してあった。
倚松開其緘,憶我腸斷續。
そこで、松の木樹に倚りかかり、その封を開いて読んでみると、私の様なものをわざわざお心にかけて、心腸が断続されるような趣も明らかに見える。
不以千里遙,命駕來相招。
殊に千里の遠きにかかわらず、駕を命じ、特に使いを以て招かれたのは官舎の言葉もない程である。
中逢元丹丘,登嶺宴碧霄。
中にも、元丹邱におあいになったとかで、山の嶺に登って、さながら碧霄の上のようなところで宴をひらいたのだ。
#2
對酒忽思我,長嘯臨清飆。
蹇予未相知,茫茫綠雲垂。
俄然素書及,解此長渴飢。
策馬望山月,途窮造階墀。
喜茲一會面,若睹瓊樹枝。
#3
憶君我遠來,我歡方速至。
開顏酌美酒,樂極忽成醉。
我情既不淺,君意方亦深。
相知兩相得,一顧輕千金。
且向山客笑,與君論素心。
(岑勛 尋ねられ 元丹丘に就き 酒に對して相い待ち 以詩をって招かるるに酬ゆ)-#1
黃鶴 東南より來り,書を寄せて 心曲を寫す。
松に倚って 開其の緘をけば,我を憶うて 腸 斷續するを。
以千里の遙なるを,駕を命じて 來って相い招く。
中に元丹丘に逢い,嶺に登って 碧霄に宴す。
#2
酒に對して忽ち我を思い,長嘯 清飆に臨む。
蹇たる予が未だ相い知らず,茫茫として 綠雲垂る。
俄然とした 素書及び,此の長渴 飢解く。
馬に策って 山月を望み,途 窮って階墀に造【いた】る。
茲の一會面を喜び,瓊樹の枝を睹るが若し。
#3
君を憶うて我遠く來り,我 歡んで方に 速かに至る。
顏を開いて 美酒を酌み,樂 極って 忽ち醉いを成す。
我が情 既に淺からず,君が意 方に亦た深し。
相知 兩つながら相う得,一顧 千金を輕んず。
且つ 山客に向って笑い,君と素心を論ぜん。
『酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招』 現代語訳と訳註解説
(本文)
酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招-#1
黃鶴東南來,寄書寫心曲。
倚松開其緘,憶我腸斷續。
不以千里遙,命駕來相招。
中逢元丹丘,登嶺宴碧霄。
(下し文)
(岑勛 尋ねられ 元丹丘に就き 酒に對して相い待ち 以詩をって招かるるに酬ゆ)-#1
黃鶴 東南より來り,書を寄せて 心曲を寫す。
松に倚って 開其の緘をけば,我を憶うて 腸 斷續するを。
以千里の遙なるを,駕を命じて 來って相い招く。
中に元丹丘に逢い,嶺に登って 碧霄に宴す。
(現代語訳)
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
黃鶴が一羽、東南より飛び來り、君からの書面を届けて、細々とした御心使いのほどを写してあった。
そこで、松の木樹に倚りかかり、その封を開いて読んでみると、私の様なものをわざわざお心にかけて、心腸が断続されるような趣も明らかに見える。
殊に千里の遠きにかかわらず、駕を命じ、特に使いを以て招かれたのは官舎の言葉もない程である。
中にも、元丹邱におあいになったとかで、山の嶺に登って、さながら碧霄の上のようなところで宴をひらいたのだ。
(訳注)
酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招-#1
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
黃鶴東南來,寄書寫心曲。
黃鶴が一羽、東南より飛び來り、君からの書面を届けて、細々とした御心使いのほどを写してあった。
心曲 細々とした心の思い。 《詩経、秦風、小戎》「在其板屋、亂我心曲.」(その板屋に在りて 我が心曲を亂る)西域の板屋に寝起きされてさぞかし不自由な生活をされていることだろう、それを思えばわが心も千々に乱れるのである。
倚松開其緘,憶我腸斷續。
そこで、松の木樹に倚りかかり、その封を開いて読んでみると、私の様なものをわざわざお心にかけて、心腸が断続されるような趣も明らかに見える。
不以千里遙,命駕來相招。
殊に千里の遠きにかかわらず、駕を命じ、特に使いを以て招かれたのは官舎の言葉もない程である。
命駕 世説「嵆康、呂安と善し、一たび相思禹ごとに、千里駕をめいず。」とあり、李白《贈崔侍御》「不取回舟興。 而來命駕尋。」(回舟の興を取らず、爾来、駕を命じて尋ぬ。)とつかう
中逢元丹丘,登嶺宴碧霄。
中にも、元丹邱におあいになったとかで、山の嶺に登って、さながら碧霄の上のようなところで宴をひらいたのだ。
元丹丘 《李太白集 巻六 巻06-08 元丹丘歌》元丹邱は李白が30歳前後に交際していた道士のひとり。李白はこの人物の詩を12編も書いているとおり、心から信服していたようだ。頴川は河南省を流れる川、元丹邱丘はこの川のほとりに別荘をもっていた、嵩岑は嵩山のこと、五岳のひとつで神聖な山とされた。
李白はこの年、秋まで宋州に滞在したが、再び運河を西にもどって嵩山(河南省登封県の北)に行き、元丹邱の山居に滞在した。元丹邱は安陸以来の尊敬する道士で、このときは安陸から嵩山に移ってきていたようだ。
胡紫陽、その高弟子元丹邱との関係は、さらに深い。その関係を表す詩だけでも、以下の13首もある。
李太白集 | Category 詩題 | 作時 |
巻-No. | 西暦 年号 | |
06-08 | 1.元丹丘歌 | 731年開元十九年 |
24-02 | 2.題元丹丘山居 | 731年開元十九年 |
24-03 | 731年開元十九年 | |
18-16 | 736年開元二十四年 | |
02-08 | 5.將進酒 | 736年開元二十四年 |
14-12 | 738年開元二十六年 | |
23-55 | 738年開元二十六年 | |
巻13-13 | 14上寄元六林宗 | 739年開元二十七年39歳 |
巻09-01 | 741年開元二十九年 | |
06-07 | 8.西岳云台歌送丹丘子 | 743年天寶二年 |
18-11 | 9.以詩代書答元丹丘 | 744年天寶三年 |
24-08 | 10.題嵩山逸人元丹丘山居 并序 | 750年天寶九年 |
22-02 | 11.尋高鳳石門山中元丹丘 | 751年天寶十年 |
12-11 | 12.聞丹丘子于城北營石門幽居中有高鳳遺跡 | 751年天寶十年 |
22-01 | 13.與元丹丘方城寺談玄作 | 751年天寶十年 |
以上の十三首+二首である。
酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招-#1
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
黃鶴東南來,寄書寫心曲。
黃鶴が一羽、東南より飛び來り、君からの書面を届けて、細々とした御心使いのほどを写してあった。
倚松開其緘,憶我腸斷續。
そこで、松の木樹に倚りかかり、その封を開いて読んでみると、私の様なものをわざわざお心にかけて、心腸が断続されるような趣も明らかに見える。
不以千里遙,命駕來相招。
殊に千里の遠きにかかわらず、駕を命じ、特に使いを以て招かれたのは官舎の言葉もない程である。
中逢元丹丘,登嶺宴碧霄。
中にも、元丹邱におあいになったとかで、山の嶺に登って、さながら碧霄の上のようなところで宴をひらいたのだ。
#2
對酒忽思我,長嘯臨清飆。
そして折から、酒に対して、我を思い出で、長嘯して清風に向い、やがてこちらに向って音信を寄せられたものと推察する。
蹇予未相知,茫茫綠雲垂。
ああ、自分は、このような事は、一向知らず、青天のもと、茫茫として綠雲の垂るるところにたっている。
俄然素書及,解此長渴飢。
俄然、お手紙をを拝見するに及んで飢渴に等しい平生相思の情を慰めるものであった。
策馬望山月,途窮造階墀。
さてこれから、いよいよ出発するのである、馬に鞭うって、山月を望みつつ、馳せてゆくとやがて途が付きて、元丹邱の庵の階墀に到着する
喜茲一會面,若睹瓊樹枝。
そこで、一たび会面すれば、さながら、仙界の瓊樹の枝を見たような感じがするに違いない。
#3
憶君我遠來,我歡方速至。
開顏酌美酒,樂極忽成醉。
我情既不淺,君意方亦深。
相知兩相得,一顧輕千金。
且向山客笑,與君論素心。
(岑勛 尋ねられ 元丹丘に就き 酒に對して相い待ち 以詩をって招かるるに酬ゆ)-#1
黃鶴 東南より來り,書を寄せて 心曲を寫す。
松に倚って 開其の緘をけば,我を憶うて 腸 斷續するを。
以千里の遙なるを,駕を命じて 來って相い招く。
中に元丹丘に逢い,嶺に登って 碧霄に宴す。
#2
酒に對して忽ち我を思い,長嘯 清飆に臨む。
蹇たる予が未だ相い知らず,茫茫として 綠雲垂る。
俄然とした 素書及び,此の長渴 飢解く。
馬に策って 山月を望み,途 窮って階墀に造【いた】る。
茲の一會面を喜び,瓊樹の枝を睹るが若し。
#3
君を憶うて我遠く來り,我 歡んで方に 速かに至る。
顏を開いて 美酒を酌み,樂 極って 忽ち醉いを成す。
我が情 既に淺からず,君が意 方に亦た深し。
相知 兩つながら相う得,一顧 千金を輕んず。
且つ 山客に向って笑い,君と素心を論ぜん。
『酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招』 現代語訳と訳註解説
(本文) #2
對酒忽思我,長嘯臨清飆。
蹇予未相知,茫茫綠雲垂。
俄然素書及,解此長渴飢。
策馬望山月,途窮造階墀。
喜茲一會面,若睹瓊樹枝。
(下し文)
#2
酒に對して忽ち我を思い,長嘯 清飆に臨む。
蹇たる予が未だ相い知らず,茫茫として 綠雲垂る。
俄然とした 素書及び,此の長渴 飢解く。
馬に策って 山月を望み,途 窮って階墀に造【いた】る。
茲の一會面を喜び,瓊樹の枝を睹るが若し。
(現代語訳)
そして折から、酒に対して、我を思い出で、長嘯して清風に向い、やがてこちらに向って音信を寄せられたものと推察する。
ああ、自分は、このような事は、一向知らず、青天のもと、茫茫として綠雲の垂るるところにたっている。
俄然、お手紙をを拝見するに及んで飢渴に等しい平生相思の情を慰めるものであった。
さてこれから、いよいよ出発するのである、馬に鞭うって、山月を望みつつ、馳せてゆくとやがて途が付きて、元丹邱の庵の階墀に到着する
そこで、一たび会面すれば、さながら、仙界の瓊樹の枝を見たような感じがするに違いない。
(訳注) #2
酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招-#1
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
對酒忽思我,長嘯臨清飆。
そして折から、酒に対して、我を思い出で、長嘯して清風に向い、やがてこちらに向って音信を寄せられたものと推察する。
蹇予未相知,茫茫綠雲垂。
ああ、自分は、このような事は、一向知らず、青天のもと、茫茫として綠雲の垂るるところにたっている。
蹇予 発語の助詞。《楚辞 九歌第二 雲中君》「蹇將憺兮壽宮、與日月兮齊光。」(蹇、まさに寿宮に憺んぜんとして、日月と光を斉しくす。)
俄然素書及,解此長渴飢。
俄然、お手紙をを拝見するに及んで飢渴に等しい平生相思の情を慰めるものであった。
策馬望山月,途窮造階墀。
さてこれから、いよいよ出発するのである、馬に鞭うって、山月を望みつつ、馳せてゆくとやがて途が付きて、元丹邱の庵の階墀に到着する
喜茲一會面,若睹瓊樹枝。
そこで、一たび会面すれば、さながら、仙界の瓊樹の枝を見たような感じがするに違いない。
瓊樹枝 ①像上の木の名。玉を生ずるという珍しい木。崑崙山の西にあるという。《李商隠・南朝》「誰言瓊樹朝朝見、不及金蓮歩歩来」(誰か言ふ瓊樹朝朝に見はると、及ばず金蓮の歩歩来たりしに」②玉のように美しい木。③人格がすぐれていることのたとえ。
南 朝
玄武湖中玉漏催、鶏鳴埭口繍襦廻。
誰言瓊樹朝朝見、不及金蓮歩歩來。
敵国軍營漂木柹、前朝神廟鎖煙煤。
満宮学土皆顔色、江令當年只費才。
楽遊園に造った玄武湖で宋の文帝は、行楽し、玉の水時計に急かされ時を惜しんで遊び耽った。楽遊園の堤は鶏鳴埭と名づけられるほど南斉の武帝は行幸し、お付の官女たちの短いうす絹の襦袢が旋舞するのに興じた。誰が言うのか、陳後主の張貴妃や孔貴嬪、光り輝く宝玉のように美しい樹が朝な朝な立ち現われる美しさと荒淫。それが一足歩む度に美しき黄金の蓮が咲かせた南斉東昏侯の潘妃にしたことが劣るなどというのか。敵国である隋の陣営は、木くずを流して戦艦建造中と警告したのに、対する陳朝では、先帝の祭祀の日も後宮から出ず荒淫に耽り、霊廟もすすけたままだった。千人以上の宮女たちをあつめ、宮廷に女学士を選定し、いずれ劣らぬ美貌揃いであふれた。尚書令の江総は、当時、後主の荒淫の賛辞にひたすら詩文の才能を費したのである。
南 朝 (南斉の武帝と陳の後主)李商隠 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 46
南 朝
地險悠悠天險長、金陵王気應瑤光。
休誇此地分天下、只得徐妃半面粧。
地勢の恵み自然の要害によるはるかかなたまでの領土、天から気候、風土の恵みにより、長い距離移動、穀物生産による豊かな国。金陵という名は、昔から王気漂う運気の強いところ、天界の斗宿とも合致応じている。
これだけの国力があって、自分の国を誇れるまではない、漢民族が南を制しているだけで天下を二分されたままだ。ご自分の王妃、徐妃でさえ顔の半分だけに化粧をして馬鹿にされたと同様、たかだか全土の半分しか領土にし得なかったということだ。
南朝(梁・元帝) 李商隠 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 47
年:736年開元二十四年36歳
卷別: 卷一七八 文體: 五言古詩
詩題: 酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招
作地點: 潁陽(都畿道 / 河南府 / 潁陽)
交遊人物:岑勛 當地交遊(都畿道 河南府 潁陽)
元丹丘 當地交遊(都畿道 河南府 潁陽)
酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招-#1
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
黃鶴東南來,寄書寫心曲。
黃鶴が一羽、東南より飛び來り、君からの書面を届けて、細々とした御心使いのほどを写してあった。
倚松開其緘,憶我腸斷續。
そこで、松の木樹に倚りかかり、その封を開いて読んでみると、私の様なものをわざわざお心にかけて、心腸が断続されるような趣も明らかに見える。
不以千里遙,命駕來相招。
殊に千里の遠きにかかわらず、駕を命じ、特に使いを以て招かれたのは官舎の言葉もない程である。
中逢元丹丘,登嶺宴碧霄。
中にも、元丹邱におあいになったとかで、山の嶺に登って、さながら碧霄の上のようなところで宴をひらいたのだ。
#2
對酒忽思我,長嘯臨清飆。
そして折から、酒に対して、我を思い出で、長嘯して清風に向い、やがてこちらに向って音信を寄せられたものと推察する。
蹇予未相知,茫茫綠雲垂。
ああ、自分は、このような事は、一向知らず、青天のもと、茫茫として綠雲の垂るるところにたっている。
俄然素書及,解此長渴飢。
俄然、お手紙をを拝見するに及んで飢渴に等しい平生相思の情を慰めるものであった。
策馬望山月,途窮造階墀。
さてこれから、いよいよ出発するのである、馬に鞭うって、山月を望みつつ、馳せてゆくとやがて途が付きて、元丹邱の庵の階墀に到着する
喜茲一會面,若睹瓊樹枝。
そこで、一たび会面すれば、さながら、仙界の瓊樹の枝を見たような感じがするに違いない。
#3
憶君我遠來,我歡方速至。
開顏酌美酒,樂極忽成醉。
君を憶って、そして慕って遠路であることもいとわず出かけてきたけれど思ったより早く行き着いたのは誠に嬉しい。
我情既不淺,君意方亦深。
それを、顔の相好を崩して、笑いつつ美酒を酌み、楽しみ極まれば、忽ち酔ってしまう。
相知兩相得,一顧輕千金。
我が情、既に浅からず、したがって、君の纊衣も、もとより深く、
平生相知の間柄であって、ここに相会ったのであるから、一顧すれば、千金も軽いとするばかりで、こういう会合はめったに見られぬことである。
且向山客笑,與君論素心。
かくて、一酔のあとで、山人たる元丹邱に向って内笑いつつ、君とともに、胸襟を開き、本心を打ち明けて、思う存分談笑したいものである。
(岑勛 尋ねられ 元丹丘に就き 酒に對して相い待ち 以詩をって招かるるに酬ゆ)-#1
黃鶴 東南より來り,書を寄せて 心曲を寫す。
松に倚って 開其の緘をけば,我を憶うて 腸 斷續するを。
以千里の遙なるを,駕を命じて 來って相い招く。
中に元丹丘に逢い,嶺に登って 碧霄に宴す。
#2
酒に對して忽ち我を思い,長嘯 清飆に臨む。
蹇たる予が未だ相い知らず,茫茫として 綠雲垂る。
俄然とした 素書及び,此の長渴 飢解く。
馬に策って 山月を望み,途 窮って階墀に造【いた】る。
茲の一會面を喜び,瓊樹の枝を睹るが若し。
#3
君を憶うて我遠く來り,我 歡んで方に 速かに至る。
顏を開いて 美酒を酌み,樂 極って 忽ち醉いを成す。
我が情 既に淺からず,君が意 方に亦た深し。
相知 兩つながら相う得,一顧 千金を輕んず。
且つ 山客に向って笑い,君と素心を論ぜん。
『酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招』 現代語訳と訳註解説
(本文)
#3
憶君我遠來,我歡方速至。
開顏酌美酒,樂極忽成醉。
我情既不淺,君意方亦深。
相知兩相得,一顧輕千金。
且向山客笑,與君論素心。
(下し文)
君を憶うて我遠く來り,我 歡んで方に 速かに至る。
顏を開いて 美酒を酌み,樂 極って 忽ち醉いを成す。
我が情 既に淺からず,君が意 方に亦た深し。
相知 兩つながら相う得,一顧 千金を輕んず。
且つ 山客に向って笑い,君と素心を論ぜん。
(現代語訳)
君を憶って、そして慕って遠路であることもいとわず出かけてきたけれど思ったより早く行き着いたのは誠に嬉しい。
それを、顔の相好を崩して、笑いつつ美酒を酌み、楽しみ極まれば、忽ち酔ってしまう。
我が情、既に浅からず、したがって、君の纊衣も、もとより深く、
平生相知の間柄であって、ここに相会ったのであるから、一顧すれば、千金も軽いとするばかりで、こういう会合はめったに見られぬことである。
かくて、一酔のあとで、山人たる元丹邱に向って内笑いつつ、君とともに、胸襟を開き、本心を打ち明けて、思う存分談笑したいものである。
(訳注) #3
酬岑勛見尋就元丹丘對酒相待以詩見招-#3
(岑勛という人が、使いを持って起居を候せしめ、そして元丹邱のところで酒宴をして待っているから、ぜひ来いという意味を詩に言い表して特に招請したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。したことにより、これに答えて作り、そして後から行くというものである。)
憶君我遠來,我歡方速至。
君を憶って、そして慕って遠路であることもいとわず出かけてきたけれど思ったより早く行き着いたのは誠に嬉しい。
君 元丹邱。
開顏酌美酒,樂極忽成醉。
それを、顔の相好を崩して、笑いつつ美酒を酌み、楽しみ極まれば、忽ち酔ってしまう。
我情既不淺,君意方亦深。
我が情、既に浅からず、したがって、君の纊衣も、もとより深く、
相知兩相得,一顧輕千金。
平生相知の間柄であって、ここに相会ったのであるから、一顧すれば、千金も軽いとするばかりで、こういう会合はめったに見られぬことである。
且向山客笑,與君論素心。
かくて、一酔のあとで、山人たる元丹邱に向って内笑いつつ、君とともに、胸襟を開き、本心を打ち明けて、思う存分談笑したいものである。
《李太白集 巻六 巻06-08 元丹丘歌》元丹邱は李白が30歳前後に交際していた道士のひとり。李白はこの人物の詩を12編も書いているとおり、心から信服していたようだ。頴川は河南省を流れる川、元丹邱丘はこの川のほとりに別荘をもっていた、嵩岑は嵩山のこと、五岳のひとつで神聖な山とされた。
李白はこの年、秋まで宋州に滞在したが、再び運河を西にもどって嵩山(河南省登封県の北)に行き、元丹邱の山居に滞在した。元丹邱は安陸以来の尊敬する道士で、このときは安陸から嵩山に移ってきていたようだ。
胡紫陽、その高弟子元丹邱との関係は、さらに深い。その関係を表す詩だけでも、以下の13首もある。
李太白集 | Category 詩題 | 作時 |
巻-No. | 西暦 年号 | |
06-08 | 1.元丹丘歌 | 731年開元十九年 |
24-02 | 2.題元丹丘山居 | 731年開元十九年 |
24-03 | 731年開元十九年 | |
18-16 | 736年開元二十四年 | |
02-08 | 5.將進酒 | 736年開元二十四年 |
14-12 | 738年開元二十六年 | |
23-55 | 738年開元二十六年 | |
巻13-13 | 14上寄元六林宗 | 739年開元二十七年39歳 |
巻09-01 | 741年開元二十九年 | |
06-07 | 8.西岳云台歌送丹丘子 | 743年天寶二年 |
18-11 | 9.以詩代書答元丹丘 | 744年天寶三年 |
24-08 | 10.題嵩山逸人元丹丘山居 并序 | 750年天寶九年 |
22-02 | 11.尋高鳳石門山中元丹丘 | 751年天寶十年 |
12-11 | 12.聞丹丘子于城北營石門幽居中有高鳳遺跡 | 751年天寶十年 |
22-01 | 13.與元丹丘方城寺談玄作 | 751年天寶十年 |
以上の十三首+二首である。
- テーマ:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
- ジャンル:学問・文化・芸術
- カテゴリ:李太白集 巻十八
- CM:0
最新記事
- 長い間ブログを休校している件について (09/01)
- 李太白集 397《太白巻23-02效古二首其一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7573 (04/04)
- 李太白集 396《太白巻二十二40憶東山二首 其二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7568 (04/03)
- 李太白集 395《太白巻二十二39憶東山二首 其一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7563 (03/30)
- 李太白集 394《太白巻二十08杜陵絕句》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7558 (03/29)
- 李太白集 393《太白巻十九18朝下過盧郎中敘舊游》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7553 (03/28)
- 李太白集 392《太白巻十八12金門答蘇秀才》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7548 (03/27)
- 太白集 391《太白巻十九17下終南山過斛斯山人宿置酒》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7543 (03/26)
- 太白集 390《太白巻十六33 送長沙陳太守,二首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7538 (03/25)
- 李太白集 389《太白巻十六32 送長沙陳太守,二首之一》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7533 (03/24)
- 李太白集 388《太白巻十六26 送祝八之江東賦得浣紗石》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7528 (03/23)
- 李太白集 387《太白巻十六23-《送白利從金吾董將軍西征》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7523 (03/22)
- 李太白集 386《太白巻十六21 送族弟綰從軍安西》(漢家兵馬乘北風) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7508 (03/19)
- 李太白集 385《太白巻十六18-3-《送外甥鄭灌從軍,三首之三》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7503 (03/18)
- 李太白集 384《太白巻十六18-2 送外甥鄭灌從軍,三首之二》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7498 (03/17)
- 李太白集 383《太白巻十六18-1 送外甥鄭灌從軍,三首之一》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7493 (03/16)
- 李太白集 382《太白巻十六13 送張遙之壽陽幕府》 (壽陽信天險,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7488 (03/15)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/14)
- 李太白集 381《太白巻十六10 送程劉二侍郎兼獨孤判官赴安西幕府》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7483 (03/13)
- 李太白集 380《太白巻十六08 送竇司馬貶宜春》 (天馬白銀鞍,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7478 (03/12)
- 李太白集 379《太白巻十四34 贈別王山人歸布山》(王子析道論,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7473 (03/11)
- 李太白集 378《太白巻十二06-夕霽杜陵登樓寄韋繇》 (浮陽滅霽景) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7468 (03/10)
- 李太白集 377《太白巻巻十二05-《望終南山寄紫閣隱者》(出門見南山) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7463 (03/09)
- 李太白集 376《太白巻八36 贈盧徵君昆弟》 (明主訪賢逸) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7458 (03/08)
- 李太白集 375《太白巻八22 贈郭將軍》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7453 (03/07)
- 李太白集 374《太白巻六10-《同族弟金城尉叔卿燭照山水壁畫歌》 (高堂粉壁圖蓬瀛) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7448 (03/06)
- 李太白集 373《太白巻六07 西嶽雲臺歌送丹丘子》 (西嶽崢嶸何壯哉) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7443 (03/05)
- 李太白集 372《太白巻六05 玉壺吟》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7438 (03/04)
- 李太白集 371《太白巻卷六04-《侍從宜春苑,奉詔賦龍池柳色初青,聽新鶯百囀歌》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7433 (03/03)
- 李太白集 370《太白巻五 24-秋思》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7428 (03/02)