李太白集 245《太白巻18-17 答從弟幼成過西園見贈》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 6806
- 2015/10/23
- 21:54
李白 答從弟幼成過西園見贈
一身自瀟灑,萬物何囂諠。拙薄謝明時,棲閒歸故園。
二季過舊壑,四鄰馳華軒。衣劍照松宇,賓徒光石門。
(西園に歸臥している時、從弟の幼成というものが来訪して、詩を贈ってくれたのでこれに答えた詩である。)
我が一身の瀟灑、けがれのないもの引きかえて、あらゆるものはいかにも騒々しくてたまらない。もとより才拙にして命薄きもので、この聖明の世に容れられぬところから、閒地に棲まんがために故園に歸臥したのである。すると、二人の従弟は、旧渓を過ぎて訪問し、立派な車を四鄰に馳せるのである。そして、衣裳や剣佩は、松の翳せる大屋宇を照らし、賓從僕徒は石門にてりかがやくくらいである。
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年:737年開元二十五年37歳
卷別: 卷一七八 文體: 五言古詩
詩題: 答從弟幼成過西園見贈
作地點: 安陸(淮南道 / 安州 / 安陸)
及地點: 西園 (淮南道 安州 安陸)
交遊人物:李幼成 當地交遊(淮南道 安州 安陸)
答從弟幼成過西園見贈 #1
(西園に歸臥している時、從弟の幼成というものが来訪して、詩を贈ってくれたのでこれに答えた詩である。)
一身自瀟灑,萬物何囂諠。
我が一身の瀟灑、けがれのないもの引きかえて、あらゆるものはいかにも騒々しくてたまらない。
拙薄謝明時,棲閒歸故園。
もとより才拙にして命薄きもので、この聖明の世に容れられぬところから、閒地に棲まんがために故園に歸臥したのである。
二季過舊壑,四鄰馳華軒。
すると、二人の従弟は、旧渓を過ぎて訪問し、立派な車を四鄰に馳せるのである。
衣劍照松宇,賓徒光石門。
そして、衣裳や剣佩は、松の翳せる大屋宇を照らし、賓從僕徒は石門にてりかがやくくらいである。
#2
山童薦珍果,野老開芳樽。
上陳樵漁事,下敘農圃言。
昨來荷花滿,今見蘭苕繁。
一笑復一歌,不知夕景昏。
醉罷同所樂,此情難具論。
(從弟の幼成が西園を過ぎて贈らるるに答う)
一身 自ら瀟灑,萬物 何ぞ囂諠【ごうけん】なる。
拙薄 明時に謝し,棲閒 故園に歸る。
二季 舊壑を過ぎ,四鄰 華軒を馳す。
衣劍 松宇を照し,賓徒 石門を光かす。
山童 珍果を薦め,野老 芳樽を開く。
上には樵漁の事を陳べ,下には農圃の言を敘す。
昨來 荷花 滿つ,今は見る 蘭苕 繁れるを。
一笑 復た 一歌,知らず 夕景の昏きを。
醉うて罷み 樂しむ所を同じうす,此の情 具【つぶさ】に論じ難し。
『答從弟幼成過西園見贈』 現代語訳と訳註解説
(本文)
答從弟幼成過西園見贈 #1
一身自瀟灑,萬物何囂諠。
拙薄謝明時,棲閒歸故園。
二季過舊壑,四鄰馳華軒。
衣劍照松宇,賓徒光石門。
(下し文)
(從弟の幼成が西園を過ぎて贈らるるに答う)
一身 自ら瀟灑,萬物 何ぞ囂諠【ごうけん】なる。
拙薄 明時に謝し,棲閒 故園に歸る。
二季 舊壑を過ぎ,四鄰 華軒を馳す。
衣劍 松宇を照し,賓徒 石門を光かす。
(現代語訳)
(西園に歸臥している時、從弟の幼成というものが来訪して、詩を贈ってくれたのでこれに答えた詩である。)
我が一身の瀟灑、けがれのないもの引きかえて、あらゆるものはいかにも騒々しくてたまらない。
もとより才拙にして命薄きもので、この聖明の世に容れられぬところから、閒地に棲まんがために故園に歸臥したのである。
すると、二人の従弟は、旧渓を過ぎて訪問し、立派な車を四鄰に馳せるのである。
そして、衣裳や剣佩は、松の翳せる大屋宇を照らし、賓從僕徒は石門にてりかがやくくらいである。
(訳注)
答從弟幼成過西園見贈 #1
(西園に歸臥している時、從弟の幼成というものが来訪して、詩を贈ってくれたのでこれに答えた詩である。)
一身自瀟灑,萬物何囂諠。
我が一身の瀟灑、けがれのないもの引きかえて、あらゆるものはいかにも騒々しくてたまらない。
瀟灑 すっきりとあか抜けしているさま。俗っぽくなくしゃれているさま。
囂諠 聲音が大きくして嘈雜である。
白居易《中隠》「大隠住朝市、小隠入丘樊。丘樊太冷落、朝市太囂諠。」(大隠は朝市に住み、小隠は丘樊に入る。丘樊は太だ冷落、朝市は太だ囂諠【ごうけん】。)
拙薄謝明時,棲閒歸故園。
もとより才拙にして命薄きもので、この聖明の世に容れられぬところから、閒地に棲まんがために故園に歸臥したのである。
拙薄 才拙にして命薄きものをいう。
二季過舊壑,四鄰馳華軒。
すると、二人の従弟は、旧渓を過ぎて訪問し、立派な車を四鄰に馳せるのである。
二季 従弟の輩をいうが、幼成ともう一人、共に来ていたのであろう。
華軒 立派な車。
衣劍照松宇,賓徒光石門。
そして、衣裳や剣佩は、松の翳せる大屋宇を照らし、賓從僕徒は石門にてりかがやくくらいである。
松宇 松の翳せる大屋宇のこと。
賓徒 賓從僕徒
答從弟幼成過西園見贈 #1
(西園に歸臥している時、從弟の幼成というものが来訪して、詩を贈ってくれたのでこれに答えた詩である。)
一身自瀟灑,萬物何囂諠。
我が一身の瀟灑、けがれのないもの引きかえて、あらゆるものはいかにも騒々しくてたまらない。
拙薄謝明時,棲閒歸故園。
もとより才拙にして命薄きもので、この聖明の世に容れられぬところから、閒地に棲まんがために故園に歸臥したのである。
二季過舊壑,四鄰馳華軒。
すると、二人の従弟は、旧渓を過ぎて訪問し、立派な車を四鄰に馳せるのである。
衣劍照松宇,賓徒光石門。
そして、衣裳や剣佩は、松の翳せる大屋宇を照らし、賓從僕徒は石門にてりかがやくくらいである。
#2
山童薦珍果,野老開芳樽。
やがて、これを亭中に迎え入れると、山童は珍果を薦め、野老は、芳樽を開いて、これをもてなすのである。
上陳樵漁事,下敘農圃言。
上は、樵漁の事を陳べ、農圃の言を敘したりして、それからそれへと、話は尽きる事は無い。
昨來荷花滿,今見蘭苕繁。
昨夜、蓮の花が池中に咲き落ちたが、今、また蘭が一斉に階下にひらいて、草堂の景色も、さすがに見どころがある。
一笑復一歌,不知夕景昏。
こうして、一笑し、そして、また一歌しつつ,夕暮の日景がしだいに昏くなっていくのを知らないでいる。
醉罷同所樂,此情難具論。
すでに酔ってしまった後も、楽しむところを同じゅうし、その心も逆らうことなく、この情は、詳しく述べることはできない。
(從弟の幼成が西園を過ぎて贈らるるに答う)
一身 自ら瀟灑,萬物 何ぞ囂諠【ごうけん】なる。
拙薄 明時に謝し,棲閒 故園に歸る。
二季 舊壑を過ぎ,四鄰 華軒を馳す。
衣劍 松宇を照し,賓徒 石門を光かす。
山童 珍果を薦め,野老 芳樽を開く。
上には樵漁の事を陳べ,下には農圃の言を敘す。
昨來 荷花 滿つ,今は見る 蘭苕 繁れるを。
一笑 復た 一歌,知らず 夕景の昏きを。
醉うて罷み 樂しむ所を同じうす,此の情 具【つぶさ】に論じ難し。
『答從弟幼成過西園見贈』 現代語訳と訳註解説
(本文) #2
山童薦珍果,野老開芳樽。
上陳樵漁事,下敘農圃言。
昨來荷花滿,今見蘭苕繁。
一笑復一歌,不知夕景昏。
醉罷同所樂,此情難具論。
(下し文)
山童 珍果を薦め,野老 芳樽を開く。
上には樵漁の事を陳べ,下には農圃の言を敘す。
昨來 荷花 滿つ,今は見る 蘭苕 繁れるを。
一笑 復た 一歌,知らず 夕景の昏きを。
醉うて罷み 樂しむ所を同じうす,此の情 具【つぶさ】に論じ難し。
(現代語訳)
やがて、これを亭中に迎え入れると、山童は珍果を薦め、野老は、芳樽を開いて、これをもてなすのである。
上は、樵漁の事を陳べ、農圃の言を敘したりして、それからそれへと、話は尽きる事は無い。
昨夜、蓮の花が池中に咲き落ちたが、今、また蘭が一斉に階下にひらいて、草堂の景色も、さすがに見どころがある。
こうして、一笑し、そして、また一歌しつつ,夕暮の日景がしだいに昏くなっていくのを知らないでいる。
すでに酔ってしまった後も、楽しむところを同じゅうし、その心も逆らうことなく、この情は、詳しく述べることはできない。
(訳注) #2
答從弟幼成過西園見贈 #2
(西園に歸臥している時、從弟の幼成というものが来訪して、詩を贈ってくれたのでこれに答えた詩である。)
山童薦珍果,野老開芳樽。
やがて、これを亭中に迎え入れると、山童は珍果を薦め、野老は、芳樽を開いて、これをもてなすのである。
上陳樵漁事,下敘農圃言。
上は、樵漁の事を陳べ、農圃の言を敘したりして、それからそれへと、話は尽きる事は無い。
昨來荷花滿,今見蘭苕繁。
昨夜、蓮の花が池中に咲き落ちたが、今、また蘭が一斉に階下にひらいて、草堂の景色も、さすがに見どころがある。
蘭苕 らんのはなぶさ、此の句は作品の華麗なのにたとえる。六朝から続く、華麗華美、艶閨の詩を云う。《文選‧郭璞<游仙詩>》「翡翠戲蘭苕, 容色更相鮮。」 李善注に「蘭苕,蘭秀也。」(蘭苕は,蘭秀なり。) 南朝宋謝靈運《南樓中望所遲客》詩: “瑤華未堪折, 蘭苕已屢摘。”(瑤華【あさのはな】は未だ折るに堪えざれど、蘭苕【らんしょう】 己に屢【しばし】ば摘【つ】む。) 南樓中望所遅客 謝霊運(康楽) 詩<38#2>Ⅱ李白に影響を与えた詩419 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1074
杜甫《戲為六絕句,六首之四》「才力應難誇數公,凡今誰是出群雄。或看翡翠蘭苕上,未掣鯨魚碧海中。」(才力 応に数公を誇【まさ】り難かるべし、凡そ今誰か是れ出群の雄なる。或は看る翡翠【ひすい】蘭苕【らんちょう】の上、未だ鯨魚を掣せず碧海【そうかい】の中。)
戲為六絕句,六首之四 蜀中転々 杜甫 <516> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2775 杜甫詩1000-516-749/1500
一笑復一歌,不知夕景昏。
こうして、一笑し、そして、また一歌しつつ,夕暮の日景がしだいに昏くなっていくのを知らないでいる。
醉罷同所樂,此情難具論。
すでに酔ってしまった後も、楽しむところを同じゅうし、その心も逆らうことなく、この情は、詳しく述べることはできない。
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