李太白集 251《太白巻25-07 庭前晚花開》 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 6836
- 2015/10/29
- 22:08
西王母桃種我家,三千陽春始一花。
結實苦遲為人笑,攀折唧唧長咨嗟。
(折角桃を庭前に植えたものの、咲いたのは春の末になってからというので戯れにこの詩を作った。)
西王母の大切にしたという仙桃を我が家に種えたが、そもそも、三千年を経て、はじめて一度花を開くというもの、それでも、今、春も終ろうとする頃に成って、やつと花をひらいたというのも、まことに無理ならぬことである。
しかし、実がなるにも、又、三千年を経て一度實を結ぶという位で、なかなか遅くて、待つ者にとっては、笑うだけである。そこで、木を攀じて、にぎやかに愚痴を言いあって、ぶつぶついいつつ、長しえに、嘆息していくだけである。
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李太白集 251《太白巻25-07 庭前晚花開》 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 6836 |
年:737年開元二十五年37歳
卷別: 卷八八二 文體: 七言古詩
詩題: 庭前晚花開
作地點: 安陸(淮南道 / 安州 / 安陸)
庭前晚花開
(折角桃を庭前に植えたものの、咲いたのは春の末になってからというので戯れにこの詩を作った。)
西王母桃種我家,三千陽春始一花。
西王母の大切にしたという仙桃を我が家に種えたが、そもそも、三千年を経て、はじめて一たび花を開くというもの、それでも、今、春も終ろうとする頃に成って、やつと花をひらいたというのも、まことに無理ならぬことである。
結實苦遲為人笑,攀折唧唧長咨嗟。
しかし、実がなるにも、又、三千年を経て一たび實を結ぶという位で、なかなか遅くて、待つ者にとっては、笑うだけである。そこで、木を攣ぢて、にぎやかに愚痴を言いあって、ぶつぶついいつつ、長しへに、嘆息していくだけである。
(庭前の晚 花は開)く
西王母の桃 我が家に種う,三千の陽春 始めて 一たび花さく。
實を結ぶ 苦はだ遲く 人 笑うを為す,攀折 唧唧 長しえに咨嗟す。
『庭前晚花開』 現代語訳と訳註解説
(本文)
庭前晚花開
西王母桃種我家,三千陽春始一花。
結實苦遲為人笑,攀折唧唧長咨嗟。
(下し文)
(庭前の晚 花は開)く
西王母の桃 我が家に種う,三千の陽春 始めて 一たび花さく。
實を結ぶ 苦はだ遲く 人 笑うを為す,攀折 唧唧 長しえに咨嗟す。
(現代語訳)
(折角桃を庭前に植えたものの、咲いたのは春の末になってからというので戯れにこの詩を作った。)
西王母の大切にしたという仙桃を我が家に種えたが、そもそも、三千年を経て、はじめて一たび花を開くというもの、それでも、今、春も終ろうとする頃に成って、やつと花をひらいたというのも、まことに無理ならぬことである。
しかし、実がなるにも、又、三千年を経て一たび實を結ぶという位で、なかなか遅くて、待つ者にとっては、笑うだけである。そこで、木を攣ぢて、にぎやかに愚痴を言いあって、ぶつぶついいつつ、長しへに、嘆息していくだけである。
(訳注)
庭前晚花開
(折角桃を庭前に植えたものの、咲いたのは春の末になってからというので戯れにこの詩を作った。)
桃の木を植えて、通常日本だと、桃栗三年というから、その程度のことを面白おかしく表現したのであろう、李白の詩の中で、最駄作といわれているが、安陸の新婚の住まいの出来事として考えれば微笑ましいのではないだろうか。
西王母桃種我家,三千陽春始一花。
西王母の大切にしたという仙桃を我が家に種えたが、そもそも、三千年を経て、はじめて一たび花を開くというもの、それでも、今、春も終ろうとする頃に成って、やつと花をひらいたというのも、まことに無理ならぬことである。
○西王母桃・三千陽春始一花 《漢武内傳》 七月七日,西王母降,以仙桃四顆与帝。 又命侍女更索桃果 須臾以玉盤盛仙桃七顆 大如鴨卵 形圓靑色 以呈王母 母以四顆與帝 三顆自食 桃味甘美 口有盈味 帝食輒收其核,王母問帝,帝曰:「欲種之。」母曰:「此桃三千年一開花、三千年一生實,中夏地薄,種之不生。帝乃止。」に基づく。
七月七日、西王母降りる、侍女、玉盤を以て仙桃七鵜を盛る、大さ鴨卵の如く、形圓くして青色、以て王母に呈す。母、四顆を以て帝に与え、三顆は自ら食ふ。桃の味甘美、口に盈味あり、帝、食して輒ち其核を收む。王母、帝に問う。帝日く、これを植えむと欲す、と。王母日く、この桃、三千年に一たび花を開き、三千年に一たび實を結ぶ、中夏地薄く、これを種うるも生せずと。帝乃ち止む」とあるのを用いて構想したのである。
西王母(せいおうぼ、さいおうぼ)は、中国で古くから信仰された女仙、女神。姓は楊、名は回。九霊太妙亀山金母、太霊九光亀台金母、瑶池金母、王母娘娘などともいう。
王母は祖母の謂いであり、西王母とは、西方の崑崙山上に住いする女性の尊称である。すべての女仙たちを統率する聖母。東王父に対応する。
周の穆王が西に巡符して崑崙に遊び、彼女に会い、帰るのを忘れたという。また前漢の武帝が長生を願っていた際、西王母は天上から降り、三千年に一度咲くという仙桃七顆を与えたという。
結實苦遲為人笑,攀折唧唧長咨嗟。
しかし、実がなるにも、又、三千年を経て一たび實を結ぶという位で、なかなか遅くて、待つ者にとっては、笑うだけである。そこで、木を攣ぢて、にぎやかに愚痴を言いあって、ぶつぶついいつつ、長しへに、嘆息していくだけである。
○苦遲 甚だ遅いことをいう。
○唧唧 (にぎやかに談笑する声など)がやがや、ぶつぶつ、わいわいと花が遅く咲いたことで戯れて談笑する。
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- カテゴリ:李太白集 巻二十五
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