李太白集 365《太白巻五10 折楊柳》 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7403
- 2016/02/26
- 22:23
李白 折楊柳
垂楊拂綠水,搖豔東風年。花明玉關雪,葉暖金窗煙。
美人結長想,對此心淒然。攀條折春色,遠寄龍庭前。
(長安には若い寡婦が多い、出征する夫と別れに楊柳を折って無事を祈ったが、何年もたっても西域から帰ってこない、今年も春になって柳がなびくそこでもう一度折楊柳して無事を願うという)
垂楊は、春に成って緑を囘し、澄める水を拂いつ、東風に向いて靡いて居る。岸辺の楊花は、白くして、玉關の雪より明かにしげり、葉は暖かに、黄金を飾れる窓に映って、靄は虹のように煙って居る。その家の空閏の美人は、池のほとりの楊花を見て、遠征の夫を思い出し、心悽然として、長き思いが解けやることはなかった。やがて、その枝を攀じってみる、春の色をこめたるを折り取って、はるかに、龍庭の彼方に居る夫に贈りたいと思っている。
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年:-743年天寶二年43歳 94首-(49)
卷別: 卷一六五 文體: 樂府
詩題: 折楊柳
作地點: 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)
及地點: 玉門關 (隴右道東部 瓜州 玉門關) 別名:玉關、玉門
交遊人物/地點:
折楊柳
(長安には若い寡婦が多い、出征する夫と別れに楊柳を折って無事を祈ったが、何年もたっても西域から帰ってこない、今年も春になって柳がなびくそこでもう一度折楊柳して無事を願うという)
垂楊拂綠水,搖豔東風年。
垂楊は、春に成って緑を囘し、澄める水を拂いつ、東風に向いて靡いて居る。
花明玉關雪,葉暖金窗煙。
岸辺の楊花は、白くして、玉關の雪より明かにしげり、葉は暖かに、黄金を飾れる窓に映って、靄は虹のように煙って居る。
美人結長想,對此心淒然。
その家の空閏の美人は、池のほとりの楊花を見て、遠征の夫を思い出し、心悽然として、長き思いが解けやることはなかった。
攀條折春色,遠寄龍庭前。
やがて、その枝を攀じってみる、春の色をこめたるを折り取って、はるかに、龍庭の彼方に居る夫に贈りたいと思っている。
(折楊柳)
垂楊は綠水を拂い,搖豔 東風の年。
花は明かなり 玉關の雪,葉は暖かなり 金窗の煙。
美人 長想を結び,此に對して 心淒然。
攀條 春色を折り,遠く寄す 龍庭の前。
『折楊柳』 現代語訳と訳註解説
(本文)
折楊柳
垂楊拂綠水,搖豔東風年。
花明玉關雪,葉暖金窗煙。
美人結長想,對此心淒然。
攀條折春色,遠寄龍庭前。
詩文(含異文): 垂楊拂綠水,搖豔東風年【豔裔東風年】。花明玉關雪,葉暖金窗煙。美人結長想【美人結長恨】,對此心淒然【相對心淒然】。攀條折春色,遠寄龍庭前【遠寄龍沙邊】。
(下し文)
(折楊柳)
垂楊は綠水を拂い,搖豔 東風の年。
花は明かなり 玉關の雪,葉は暖かなり 金窗の煙。
美人 長想を結び,此に對して 心淒然。
攀條 春色を折り,遠く寄す 龍庭の前。
(現代語訳)
折楊柳(長安には若い寡婦が多い、出征する夫と別れに楊柳を折って無事を祈ったが、何年もたっても西域から帰ってこない、今年も春になって柳がなびくそこでもう一度折楊柳して無事を願うという)
垂楊は、春に成って緑を囘し、澄める水を拂いつ、東風に向いて靡いて居る。
岸辺の楊花は、白くして、玉關の雪より明かにしげり、葉は暖かに、黄金を飾れる窓に映って、靄は虹のように煙って居る。
その家の空閏の美人は、池のほとりの楊花を見て、遠征の夫を思い出し、心悽然として、長き思いが解けやることはなかった。
やがて、その枝を攀じってみる、春の色をこめたるを折り取って、はるかに、龍庭の彼方に居る夫に贈りたいと思っている。
(訳注)
折楊柳
(長安には若い寡婦が多い、出征する夫と別れに楊柳を折って無事を祈ったが、何年もたっても西域から帰ってこない、今年も春になって柳がなびくそこでもう一度折楊柳して無事を願うという)
折楊柳は、鼓角、横吹曲の一で、矢張、軍楽である。古今註によれば「張騫、西域に入って、その法を伝え、唯だ魔訶兜勒の十曲を得たり、李延年、因って新聾二十八曲を造る、魏晋以來、存せず、黃鵠、隴頭、折楊柳等の十曲を用ひらる」とある。
古今註 「横吹胡樂也。張騫入西域、傳其法、唯得摩詞兠勒一曲、李延年因造新聲二十八解。魏晉以來、不存、見用黄鵠隴頭折楊栁等十曲。
魏晉以來,二十八解保存不全了,常用的,只有黃鵠、隴頭、出關、入關、出塞、入塞、折揚柳、黃覃子、赤之楊、望行人等十曲而已。 還有“鼓角橫吹曲”。
詩題の「折楊柳」は、前漢の張騫が西域から持ち帰った音楽を素にして出来たものだが、この時の辞は、魏晉時代に亡失してしまっているという。晉代には兵事の労苦が陳べられるようになり、それが南朝の梁、陳に始まり唐代ではさらにひろがった。
『折楊柳』の曲調。別離の曲。離愁を覚えるということ。
謝靈運 折楊柳行二首之一
鬱鬱河邊樹,青青田野草,舍我故鄉客,將適萬里道,妻妾牽衣袂,抆淚沾懷抱,還拊幼童子,顧托兄與嫂,辭訣未及終,嚴駕一何早,負笮引文舟,飢渴常不飽,誰令爾貧賤,咨嗟何所道。
折楊柳行二首之二
騷屑出穴風,揮霍見日雪,颼颼無乆搖,皎皎幾時潔,未覺泮春冰,巳復謝秋節,空對尺素遷,獨視寸陰滅,否桑未易繫,泰茅難重拔,桑茅迭生運,語默寄前哲。
(楊柳を折るの行 二首)その一
鬱鬱【うつうつ】たる河辺の柳、青青たる野田の草。
我を舎【す】つ故郷の客、将に万里の道を適【ゆ】かんとす。
妻妾【さいしょう】は衣袂【いべい】を牽【ひ】き、涙を抆【おさ】めつつ懐抱【ふところ】を沾【うる】おす。
還【かえ】って幼童の子を拊で、顧みて兄と嫂とに托す。
辞訣【じけつ】未だ終わるに及ばざるに、駕【くるま】を厳【ととの】えること一【いつ】に何ぞ早き。
笮【えびら】を負い文舟【ぶんしゅう】を引き、飢渇して常に飽かず。
誰か爾【なんじ】をして貧賤【ひんせん】ならしむ、咨嗟【ああ】何の道【い】う所ぞ。
折楊柳行 その一 謝霊運(康楽) 詩<72-#1>Ⅱ李白に影響を与えた詩495 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1302
王翰 『涼州詞』「秦中花鳥已應闌,塞外風沙猶自寒。夜聽胡笳折楊柳,敎人意氣憶長安。」
李白に『春夜洛城聞笛』「誰家玉笛暗飛聲,散入春風滿洛城。此夜曲中聞折柳,何人不起故園情。」とある。
春夜洛城聞笛
(春の夜に洛陽の街で「折楊柳」の笛曲を奏でるのをきく。)
同様のモチーフのものに、王翰の『涼州詞』「秦中花鳥已應闌,塞外風沙猶自寒。夜聽胡笳折楊柳,敎人意氣憶長安。」や、王昌齢 『出塞』「秦時明月漢時關、萬里長征人未還。但使龍城飛將在、不敎胡馬渡陰山。」がある。
垂楊拂綠水,搖豔東風年。
垂楊は、春に成って緑を囘し、澄める水を拂いつ、東風に向いて靡いて居る。
花明玉關雪,葉暖金窗煙。
岸辺の楊花は、白くして、玉關の雪より明かにしげり、葉は暖かに、黄金を飾れる窓に映って、靄は虹のように煙って居る。
【一】 玉關 玉門關の略、中国の甘粛(かんしゅく)省北西部、敦煌(とんこう)(トゥンホワン)市西北約100kmのゴビ砂漠の中にある、唐の時代のシルクロード交易の関所で、河西回廊の防衛拠点の遺跡。玉門関は漢の時代に、南に位置する陽関とともに初めて設けられたが、現在残っているのは唐の時代の遺跡である。玉門関はシルクロード交易の重要な中継地となり、新疆(しんきょう)の和田で算出される玉を中原へ運ぶための中継地ともなったことから、玉門関と名づけられたといわれている。
【二】 金窓 黄金で飾った窓。
美人結長想,對此心淒然。
その家の空閏の美人は、池のほとりの楊花を見て、遠征の夫を思い出し、心悽然として、長き思いが解けやることはなかった。
【三】 結 結同心(同心を結ぶ)心変わりをしないということを表すほどけない結び空を言う。
攀條折春色,遠寄龍庭前。
やがて、その枝を攀じってみる、春の色をこめたるを折り取って、はるかに、龍庭の彼方に居る夫に贈りたいと思っている。
【四】 龍庭 漢記「五月大會龍城,祭其先天地鬼神」(匈奴、五月、大に龍庭に會して、その先祖天地鬼神を祭る)とある。
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