李太白集 369《太白巻五 26 秋思》(燕支黃葉落,) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7423
- 2016/03/01
- 21:19
燕支黃葉落,妾望自登臺。海上碧雲斷,單于秋色來。
胡兵沙塞合,漢使玉關回。征客無歸日,空悲蕙草摧。
(悲愁の秋、西域にいる夫がいつ帰るかわからず、次第に顔色が変わっていく思婦を詠う。)
燕支山の木の葉は、黄ばんで落ちる、今年も、はや秋に成って、まさに暮れようとしている。夫は、天涯の西域に在って、音信もまったくなく、妾はひとり高台に上って、帰ってほしいと願い思って、その方を眺めている。青海のほとり、碧雲断え、雲だけでも連続して夫のところに至ってくれたらと思うが、それさえもかなえてくれないのである。秋色は、遠く西域の方よりきたって、秋は、しだいに心なくしてくるけれども、その人は、見えない。はるかに、塵沙まで凝るほど、おもうに、胡兵が沙中の城塞に合圍をしてしまうから何もできず、遠く旗幟の翻るは、おもふに、和議すでに破れて、漢家の使者が玉門關から帰ってきたのであろう。この時かえれば、先ず善いのだが、もし帰らなければ、この先、歸えることもあるまい。蘭恵は香草で、人の佩びるものであるが、それさへ、秋風に遇えば、いつしか零落してしまう。それと同じく、妾の顔色も、いつまで、此のままであるべきぞ。かわり易き顔色を以て、何時歸るとも知れぬ夫を待って居る思婦の身の上は、如何にも、哀れなものである。
李太白集 369《太白巻五 26 秋思》(燕支黃葉落,) 李白 | kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7423 |
年:743年天寶二年43歳 94首-(53)
卷別: 卷一六五 文體: 樂府
詩題: 秋思 李白371 巻五 26
作地點: 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)
及地點: 刪丹山 (隴右道東部 甘州 刪丹) 別名:燕支山、焉支山
白登臺 (河東道 雲州 白登山)
玉門關 (隴右道東部 瓜州 玉門關) 別名:玉關、玉門
交遊人物/地點:
秋思
(悲愁の秋、西域にいる夫がいつ帰るかわからず、次第に顔色が変わっていく思婦を詠う。)
燕支黃葉落,妾望自登臺。
燕支山の木の葉は、黄ばんで落ちる、今年も、はや秋に成って、まさに暮れようとしている。夫は、天涯の西域に在って、音信もまったくなく、妾はひとり高台に上って、帰ってほしいと願い思って、その方を眺めている。
海上碧雲斷,單于秋色來。
青海のほとり、碧雲断え、雲だけでも連続して夫のところに至ってくれたらと思うが、それさえもかなえてくれないのである。秋色は、遠く西域の方よりきたって、秋は、しだいに心なくしてくるけれども、その人は、見えない。
胡兵沙塞合,漢使玉關回。
はるかに、塵沙まで凝るほど、おもうに、胡兵が沙中の城塞に合圍をしてしまうから何もできず、遠く旗幟の翻るは、おもふに、和議すでに破れて、漢家の使者が玉門關から帰ってきたのであろう。
征客無歸日,空悲蕙草摧。
この時かえれば、先ず善いのだが、もし帰らなければ、この先、歸えることもあるまい。蘭恵は香草で、人の佩びるものであるが、それさへ、秋風に遇えば、いつしか零落してしまう。それと同じく、妾の顔色も、いつまで、此のままであるべきぞ。かわり易き顔色を以て、何時歸るとも知れぬ夫を待って居る思婦の身の上は、如何にも、哀れなものである。
『秋思』 現代語訳と訳註解説
(本文)
秋思
燕支黃葉落,妾望自登臺。
海上碧雲斷,單于秋色來。
胡兵沙塞合,漢使玉關回。
征客無歸日,空悲蕙草摧。
詩文(含異文): 燕支黃葉落【閼氏黃葉落】,妾望自登臺【妾望白登臺】。海上碧雲斷【月出碧雲斷】,單于秋色來【蟬聲秋色來】。胡兵沙塞合,漢使玉關回。征客無歸日,空悲蕙草摧。
(下し文)
(秋思)
燕支 黃葉落つ,妾は望んで 自ら臺に登る。
海上 碧雲斷え,單于 秋色來る。
胡兵 沙塞に合し,漢使 玉關より回る。
征客 歸える日無し,空しく 蕙草の摧くるを悲む。
(現代語訳)
秋思(悲愁の秋、西域にいる夫がいつ帰るかわからず、次第に顔色が変わっていく思婦を詠う。)
燕支山の木の葉は、黄ばんで落ちる、今年も、はや秋に成って、まさに暮れようとしている。夫は、天涯の西域に在って、音信もまったくなく、妾はひとり高台に上って、帰ってほしいと願い思って、その方を眺めている。
青海のほとり、碧雲断え、雲だけでも連続して夫のところに至ってくれたらと思うが、それさえもかなえてくれないのである。秋色は、遠く西域の方よりきたって、秋は、しだいに心なくしてくるけれども、その人は、見えない。
はるかに、塵沙まで凝るほど、おもうに、胡兵が沙中の城塞に合圍をしてしまうから何もできず、遠く旗幟の翻るは、おもふに、和議すでに破れて、漢家の使者が玉門關から帰ってきたのであろう。
この時かえれば、先ず善いのだが、もし帰らなければ、この先、歸えることもあるまい。蘭恵は香草で、人の佩びるものであるが、それさへ、秋風に遇えば、いつしか零落してしまう。それと同じく、妾の顔色も、いつまで、此のままであるべきぞ。かわり易き顔色を以て、何時歸るとも知れぬ夫を待って居る思婦の身の上は、如何にも、哀れなものである。
秋思
(悲愁の秋、西域にいる夫がいつ帰るかわからず、次第に顔色が変わっていく思婦を詠う。)743年天寶二年43歳の長安での作。李白371 李太白集 巻五 26
728年開元十六年28歳の作、巻五 24-《秋思》「春陽如昨日、碧樹鳴黃鸝。 蕪然蕙草暮、颯爾涼風吹。 天秋木葉下、月冷莎雞悲。 坐愁群芳歇、白露凋華滋。」
燕支黃葉落,妾望自登臺。
燕支山の木の葉は、黄ばんで落ちる、今年も、はや秋に成って、まさに暮れようとしている。夫は、天涯の西域に在って、音信もまったくなく、妾はひとり高台に上って、帰ってほしいと願い思って、その方を眺めている。
1. 燕支 燕支山のこと。焉支山,又稱胭脂山、刪丹山といい、河西走廊的南部,今日中國甘肅山丹縣城東南50kmの處にある。
2. 黃葉落 木の葉が落ちる、気持ちが落ちる。
3. 妾 女の自称。
4. 望自登臺 秋、9月9日重陽には高いところに登って夫のことを思う。望夫台は各地にある。
海上碧雲斷,單于秋色來。
青海のほとり、碧雲断え、雲だけでも連続して夫のところに至ってくれたらと思うが、それさえもかなえてくれないのである。秋色は、遠く西域の方よりきたって、秋は、しだいに心なくしてくるけれども、その人は、見えない。
5. 海上 臨武、隴右を越えれば、青海があり、その向こうの西域は天竺と思っていた時代である。
6. 碧雲斷 高いところに登って冬雲の変わりつつある雲に思いを告げれば伝えてくれそうに思う。
7. 單于 本来匈奴の最高地位を言うが、此処ではその者たちの支配する場所。李白が朝廷の関係者の前でこの詩を作ったので、匈奴を卑下して言ったもの。
胡兵沙塞合,漢使玉關回。
はるかに、塵沙まで凝るほど、おもうに、胡兵が沙中の城塞に合圍をしてしまうから何もできず、遠く旗幟の翻るは、おもふに、和議すでに破れて、漢家の使者が玉門關から帰ってきたのであろう。
8. 沙塞合 砂を固めてレンガにする、いわゆる日干し煉瓦で造った塞を、匈奴の兵士が取り囲むことを言う。
9. 漢使玉關回 漢の使者が玉門関に集められた手紙や言伝を冬になる前に行き、冬になるまでに長安に持ち帰ること。
征客無歸日,空悲蕙草摧。
この時かえれば、先ず善いのだが、もし帰らなければ、この先、歸えることもあるまい。蘭恵は香草で、人の佩びるものであるが、それさへ、秋風に遇えば、いつしか零落してしまう。それと同じく、妾の顔色も、いつまで、此のままであるべきぞ。かわり易き顔色を以て、何時歸るとも知れぬ夫を待って居る思婦の身の上は、如何にも、哀れなものである。
10. 蕙草 この詩の女性自身、女性の心持を言う。
春思【字解】
(春になって折楊柳に安全を祈る、そして、秦の羅敷のように貞操感高く桑を積んでいる。それでも、その思いを知ってか知らずか、羅幃の中へ春風は入ってくると詠う。)
【題義】「春思」は、古楽府の題にはないが、李白には、「秋思」という詩が二首ある。作時期の違いはあるが、思婦につぃて詠ったものである。この「春思」詩に関連した詩は次に述べる。
秋思・春思 |
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《巻五 24秋思》 春陽如昨日、碧樹鳴黃鸝。 蕪然蕙草暮、颯爾涼風吹。 天秋木葉下、月冷莎雞悲。 坐愁群芳歇、白露凋華滋。 | (秋思) 春陽は昨日の如く、碧樹に黃鸝を鳴かしむ。 蕪然たる蕙草の暮、颯爾として涼風吹く。 天は秋にして 木葉下り、月は冷やかにして莎雞悲む。 坐に愁う 群芳歇み、白露 華は凋まして滋きを。 |
《巻五 25-春思》 燕草如碧絲,秦桑低綠枝。 當君懷歸日,是妾斷腸時。 春風不相識,何事入羅幃。 | (春思) 燕草は 碧絲の如く,秦桑は 綠枝を 低たる。 君が 歸るを懷う日に 當り,是れ妾が腸を斷つの時。 春風 相い識らず,何事ぞ 羅幃に 入る。 |
《巻五 26秋思》 燕支黃葉落,妾望自登臺。 海上碧雲斷,單于秋色來。 胡兵沙塞合,漢使玉關回。 征客無歸日,空悲蕙草摧。 | (秋思) 燕支 黃葉落つ,妾は望んで 自ら臺に登る。 海上 碧雲斷え,單于 秋色來る。 胡兵 沙塞に合し,漢使 玉關より回る。 征客 歸える日無し,空しく 蕙草の摧くるを悲む。 |
*季節も変わり、月日も流れた…、という時間経過を表している。
1. 燕草:北国である燕国の草。夫のいるところをさす。 ・燕:〔えん〕北国の意で使われている。現・河北省北部。 ・如:…のようである。
2. 碧絲:緑色の糸。 ・碧:みどり。あお。後出「綠」との異同は、どちらも、みどり。「碧」〔へき〕は、碧玉のような青緑色。青い石の色。「綠」〔りょく〕は、みどり色の絹。
3. 秦桑:(ここ)長安地方のクワ。陌上桑の羅敷 ・秦:〔しん〕、女性のいる場所の長安を指している。 ・低:低くたれる。 秦桑 秦地、即ち長安附近の桑、自己の居るところをさす。《巻五02 -陌上桑》「綠條映素手,採桑向城隅。」(綠條 素手に映じ,桑を採って城隅に向う。)陌上桑には二つある。一には、李白がこの詩、子夜吳歌に述べた羅敷「秦氏有好女,自名為羅敷。」であり、二は魯の秋胡の妻、《列女伝 秋胡子》「潔婦者,魯秋胡子妻也。」、顔延之(延年)《秋胡詩》のこと、李白はこの詩の後半最後に「使君且不顧,況復論秋胡。徒令白日暮,高駕空踟躕。」と述べている。
4. 綠枝:緑色の枝。
5. 君:(いとしい)あなた。男性側のこと。
6. 當:…あたる。
7. 懷歸日:戻ってこようと思う日。(彼女に告げていた)帰郷の予定日。
8. 是:(それは)…である。
9. 妾:〔しょう〕わたし。女性の謙遜を表す自称。
10. 斷腸:腸(はらわた)が断ち切られるほどのつらさや悲しさ。
*この聯は、いつになっても帰ってこない男性を、ひたすら待つ身のやるせなさを謂う。
11. 不相識 顔見知りの人ではない。知り合いの人ではない。
12. 何事 どうしたことか。
13. 羅幃〔らゐ〕薄絹のとばり。
*わたし(=女性)の切なく淋しい胸の内を理解して、春風は慰めてくれているのであろうか。
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