李太白集 377《太白巻巻十二05-《望終南山寄紫閣隱者》(出門見南山) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7463
- 2016/03/09
- 20:57
李白 望終南山寄紫閣隱者
出門見南山,引領意無限。秀色難為名,蒼翠日在眼。
有時白雲起,天際自舒卷。心中與之然,託興每不淺。
何當造幽人,滅跡棲絕巘。
(終南山を望み山中の紫閣峰邊に住んで居る隠者輩に寄せた詩)
門を出でて南方を臨めば、終南山が見えるので、首を延ばして、じつと見惚れて居る間に、
無限の思いに沈むのである。終南山辺りの蒼翠は、日日眼前に在って、格別珍らしくもないが、その秀色は、何とも名づけ難く、従って、いくら見ても、見あきもしない。そこは、時時白雲が起るところであり、天際に舒卷し、愈々、趣ありげの景色。わが心も、物に執着しないことは、丁度、その雲の如くである處から、毎毎興を託することが深い。あわれ、何の時か、山中に分け入って、紫閣峰下の幽人を尋ね、ともに、蹤跡を晦まして、高峰の間に住むことが出来るか。恨むらくは、われ塵縁未だ尽きることなく、今に尚齷齪として、風塵中にまごついて居るので、隠者輩に対して、まことに愧じ入る次第である。
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年:743年天寶二年43歳 94首-(60)
卷別: 卷一七二 文體: 五言古詩
詩題: 望終南山寄紫閣隱者
作地點: 目前尚無資料
及地點:終南山 (京畿道 無第二級行政層級 終南山) 別名:南山、秦山
紫閣峰 (京畿道 無第二級行政層級 終南山)
交遊人物/地點:
望終南山寄紫閣隱者
(終南山を望み山中の紫閣峰邊に住んで居る隠者輩に寄せた詩)
出門見南山,引領意無限。
門を出でて南方を臨めば、終南山が見えるので、首を延ばして、じつと見惚れて居る間に、
無限の思いに沈むのである。
秀色難為名,蒼翠日在眼。
終南山辺りの蒼翠は、日日眼前に在って、格別珍らしくもないが、その秀色は、何とも名づけ難く、従って、いくら見ても、見あきもしない。
有時白雲起,天際自舒卷。
そこは、時時白雲が起るところであり、天際に舒卷し、愈々、趣ありげの景色。
心中與之然,託興每不淺。
わが心も、物に執着しないことは、丁度、その雲の如くである處から、毎毎興を託することが深い。
何當造幽人,滅跡棲絕巘。
あわれ、何の時か、山中に分け入って、紫閣峰下の幽人を尋ね、ともに、蹤跡を晦まして、高峰の間に住むことが出来るか。恨むらくは、われ塵縁未だ尽きることなく、今に尚齷齪として、風塵中にまごついて居るので、隠者輩に対して、まことに愧じ入る次第である。
(終南山を望み 紫閣隱者に寄す)
門を出でて 南山を見,領を引いて 意 限り無し。
秀色 名を為し難し,蒼翠 日に眼に在り。
時 有って白雲起り,天際 自ら舒卷す。
心中 之れと然り,興を託する每に淺からず。
『望終南山寄紫閣隱者』 現代語訳と訳註解説
(本文)
望終南山寄紫閣隱者
出門見南山,引領意無限。
秀色難為名,蒼翠日在眼。
有時白雲起,天際自舒卷。
心中與之然,託興每不淺。
何當造幽人,滅跡棲絕巘。
(下し文)
(終南山を望み 紫閣隱者に寄す)
門を出でて 南山を見,領を引いて 意 限り無し。
秀色 名を為し難し,蒼翠 日に眼に在り。
時 有って白雲起り,天際 自ら舒卷す。
心中 之れと然り,興を託する每に淺からず。
何ぞ當に幽人に造【いた】り,跡を滅して 絕巘に棲む。
(現代語訳)
望終南山寄紫閣隱者(終南山を望み山中の紫閣峰邊に住んで居る隠者輩に寄せた詩)
門を出でて南方を臨めば、終南山が見えるので、首を延ばして、じつと見惚れて居る間に、
無限の思いに沈むのである。
終南山辺りの蒼翠は、日日眼前に在って、格別珍らしくもないが、その秀色は、何とも名づけ難く、従って、いくら見ても、見あきもしない。
そこは、時時白雲が起るところであり、天際に舒卷し、愈々、趣ありげの景色。
わが心も、物に執着しないことは、丁度、その雲の如くである處から、毎毎興を託することが深い。
あわれ、何の時か、山中に分け入って、紫閣峰下の幽人を尋ね、ともに、蹤跡を晦まして、高峰の間に住むことが出来るか。恨むらくは、われ塵縁未だ尽きることなく、今に尚齷齪として、風塵中にまごついて居るので、隠者輩に対して、まことに愧じ入る次第である。
(訳注)
望終南山寄紫閣隱者
(終南山を望み山中の紫閣峰邊に住んで居る隠者輩に寄せた詩)
1 終南山 史記正義に「括地志に云ふ、終南山、一名中南山、一名太乙山、一名南山、一名橘山、一名楚山、一名秦山、一名周南山、一名地肺山、雍州萬年縣南五十里に在り」とあり、圖書編に「終南は乃ち関中の南山、西は隴鳳より起り、東は商洛をこえ、綿亙千里有除、その南北、亦た然り、地に随って名を異にす、総じて、之を言へば南山といふのみ」とある。それから西安志に「紫閣峰は、すなわち終南山の一峰なり」とあって、その詩は、前に見えて居る。この詩は山色を望み・山中の紫閣峰邊に住んで居る隠者輩に寄せたのである。
○終南 唐の首都長安の南にそびえる終南山。ここでは、終南山や太白山を含め、秦蹴山脈全体を称して南山といっているようである。終南山は、西岳の太白山376m、と中岳の嵩山1440mのあいだにあり、渭水の南、2000~2900mの山でなる。中国,陝西省南部,秦嶺のうち西安南方の一帯をさす。また秦嶺全体をいう場合もある。その名は西安すなわち長安の南にあたることに由来し,関中盆地では,渭河以北の北山に対し南山とも称する。標高2000~2900m。北側は大断層崖をなし,断層線にそって驪山(りざん)などの温泉が湧出する。渭河と漢水流域とを結ぶ交通の要所で,子午道などの〈桟道(さんどう)〉が開かれ,しばしば抗争の地ともなった。
2 紫閣 紫閣連終南 紫閣峰は終南山中の一峰である。峰陰の陰は北をいう。その下に渼陂はつつみの名、長安から南西に約40㎞、卾県の西五里にあり、終南山の諸谷より出て胡公泉を合して陂となる、広さ数里、上に紫閣峰がある、杜甫 《巻1733秋興,八首之八》「昆吾御宿自逶迤,紫閣峰陰入渼陂。」(昆吾 御宿 自ら逶迤【いい】たり、紫閣の峰陰渼陂に入る。)長安の西の方面は、昆吾だの御宿川だのというところのあたりの地形がうねりくねっておる、そこらをとおって終南山の紫閣峰の北、渼陂池へと入込むのである。
紫閣峰・渼陂については、《巻三11城西陂泛舟【案:即渼陂。】》、《巻三12 渼陂行》【陂在鄠縣西五里,周一十四里。】「半陂以南純浸山,動影裊窕沖融間。船舷暝戛雲際寺,水面月出藍田關。」《巻三13 渼陂西南臺》 「錯磨終南翠,顛倒白閣影。崷崒增光輝,乘陵惜俄頃。」とみえる。
李白 《君子有所思行》(唐の晏安酖毒,滿盈を戒める詩。)
紫閣連終南,青冥天倪色。憑崖望咸陽,宮闕羅北極。萬井驚畫出,九衢如絃直。
紫閣は終南に連り,青冥 天倪の色。崖に憑って咸陽を望めば,宮闕 北極を羅ぬ。萬井 畫き出づるかと驚き,九衢 絃の如く直なり。
紫閣峰は、終南山に連り、東は華山、西は太白山に連なって秦嶺山脈山脈となって、長安の南境を割し、空の邊際は、青い色をして貴い気配を作っている。長安の都からは南に紫閣峰の懸崖によって、そびえる終南山、秦嶺山脈山脈が防護しているのを遠く望める、宮闕は巍峨として、皇城の中に太極宮を中心に各宮殿が羅列し、そして、太極宮、朱雀門、明徳門、南北線上に子午道として漢水まで通じ、宇宙観によって整備されている。その城郭の中に縦横に整然と町の区画がなされ、闈繞する人民の聚落はさながら描き出せるがごとくあり、その間を通ずる三門三大道の九条の道は弦のごとくまっすぐに整然とした都市計画が施されている。
出門見南山,引領意無限。
門を出でて南方を臨めば、終南山が見えるので、首を延ばして、じつと見惚れて居る間に、
無限の思いに沈むのである。
3 出門 高適《田家春望》(田園の家、春の眺め。)「出門何所見、春色滿平蕪。可歎無知己、高陽一酒徒。」(門を出でて何の見る所ぞ、春色、平蕪に 滿つ。歎ず 可し、知己 無きを、高陽の一酒徒。)城門を出て、郊外へ行ったが、何も見るものがない、春の気配が、草原一面に満ちているだけである。嘆かわしいことは、私を理解してくれる者がいないことだ。高陽の一酒徒となって悶々としている。
高適の詩は、春のけだるさを田園の景色に見るものがないということで強調します。春の気配が草原一面にあるが、理解してくれるものは誰もいない。賢人の集まりで酒を飲み交わすことにしよう。古来、権力者に対する、賢人は、酒を酌み交わして、談義した。
4 引領 首を伸ばして眺めること、強調表現。
秀色難為名,蒼翠日在眼。
終南山辺りの蒼翠は、日日眼前に在って、格別珍らしくもないが、その秀色は、何とも名づけ難く、従って、いくら見ても、見あきもしない。
有時白雲起,天際自舒卷。
そこは、時時白雲が起るところであり、天際に舒卷し、愈々、趣ありげの景色。
5 有時白雲起,天際自舒卷 この二句は道教隠遁者の道と一体となる修行をして仙人となる神髄をいうもの。
6 舒卷 ① のばし広げることとまき固めること。転じて,時勢に応じて身を処すこと。 ② 書物を開くこと。
心中與之然,託興每不淺。
わが心も、物に執着しないことは、丁度、その雲の如くである處から、毎毎興を託することが深い。
何當造幽人,滅跡棲絕巘。
あわれ、何の時か、山中に分け入って、紫閣峰下の幽人を尋ね、ともに、蹤跡を晦まして、高峰の間に住むことが出来るか。恨むらくは、われ塵縁未だ尽きることなく、今に尚齷齪として、風塵中にまごついて居るので、隠者輩に対して、まことに愧じ入る次第である。
7 滅跡 消滅蹤跡。文選·李陵·《答蘇武書》「滅跡掃塵,斬其梟帥。」(跡を滅して塵を掃き,其れを斬り梟帥す。)
8 棲絕巘 絶壁の上の山頂。世俗を断ち切った山の頂に隠棲すること。
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