李太白集 386《太白巻十六21 送族弟綰從軍安西》(漢家兵馬乘北風) 李白 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 7508
- 2016/03/19
- 22:28
李白 送族弟綰從軍安西
漢家兵馬乘北風,鼓行而西破犬戎。爾隨漢將出門去,剪虜若草收奇功。
君王按劍望邊色,旄頭已落胡天空。匈奴繫頸數應盡,明年應入葡萄宮。
(安西都護府に従軍して赴く族弟綰を送る詩)
今や、中国の兵馬は、北風に乗じて、勢すさまじく、そして、鼓を打撃ちつつ、西に向って進行し、必ず西戎を破って見せるという手筈である。汝は、中国の大将軍に従う為に門を出でて従軍し、胡虜を斬ること草を薙ぐが如く、十分に奇功を収めることができるようである。今しも、天子は、剣に手をかけて、辺境の風色をのぞまれ、折しも旄頭の星、地に落ちて、胡天寥闊、物もないのである。やがて、匈奴は、球数繋ぎに首を縛られ、あらん限りの数を尽くし、明年、これをかりたてて葡萄宮に入朝するだろうといって、待って居られる。汝等も、そのつもりで、一身を投げ打って、奮闘し、天子の予期せらるるところに負かぬ様にして欲しい。
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年:743年天寶二年43歳 94首-(69)
卷別: 卷一七六 文體: 七言律詩
詩題: 送族弟綰從軍安西
作地點: 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)
及地點: 安西都護府 (隴右道西部 無第二級行政層級 安西都護府)別名:安西幕府
葡萄宮 (京畿道 京兆府 長安)
交遊人物/地點:李綰 當地交遊(京畿道 京兆府 長安)
送族弟綰從軍安西
(安西都護府に従軍して赴く族弟綰を送る詩)
漢家兵馬乘北風,鼓行而西破犬戎。
今や、中国の兵馬は、北風に乗じて、勢すさまじく、そして、鼓を打撃ちつつ、西に向って進行し、必ず西戎を破って見せるという手筈である。
爾隨漢將出門去,剪虜若草收奇功。
汝は、中国の大将軍に従う為に門を出でて従軍し、胡虜を斬ること草を薙ぐが如く、十分に奇功を収めることができるようである。
君王按劍望邊色,旄頭已落胡天空。
今しも、天子は、剣に手をかけて、辺境の風色をのぞまれ、折しも旄頭の星、地に落ちて、胡天寥闊、物もないのである。
匈奴繫頸數應盡,明年應入葡萄宮。
やがて、匈奴は、球数繋ぎに首を縛られ、あらん限りの数を尽くし、明年、これをかりたてて葡萄宮に入朝するだろうといって、待って居られる。汝等も、そのつもりで、一身を投げ打って、奮闘し、天子の予期せらるるところに負かぬ様にして欲しい。
(族弟綰の安西に從軍するを送る)
漢家の兵馬 北風に乘じ,鼓行して西し 犬戎を破る。
爾 漢將に隨って門を出でて去り,虜を剪ること草の若く奇功を收む。
君王 劍を按じて邊色を望めば,旄頭 已に落ちて 胡天空し。
匈奴 頸を繫いで 數 應に盡すべし,明年 應に入るべし 葡萄宮に。
『送族弟綰從軍安西』 現代語訳と訳註解説
(本文)
送族弟綰從軍安西
漢家兵馬乘北風,鼓行而西破犬戎。
爾隨漢將出門去,剪虜若草收奇功。
君王按劍望邊色,旄頭已落胡天空。
匈奴繫頸數應盡,明年應入葡萄宮。
詩文(含異文): 漢家兵馬乘北風,鼓行而西破犬戎。爾隨漢將出門去,剪虜若草收奇功。君王按劍望邊色【君王按劍望邊邑】,旄頭已落胡天空。匈奴繫頸數應盡,明年應入葡萄宮。
(下し文)
(族弟綰の安西に從軍するを送る)
漢家の兵馬 北風に乘じ,鼓行して西し 犬戎を破る。
爾 漢將に隨って門を出でて去り,虜を剪ること草の若く奇功を收む。
君王 劍を按じて邊色を望めば,旄頭 已に落ちて 胡天空し。
匈奴 頸を繫いで 數 應に盡すべし,明年 應に入るべし 葡萄宮に。
(現代語訳)
送族弟綰從軍安西(安西都護府に従軍して赴く族弟綰を送る詩)
今や、中国の兵馬は、北風に乗じて、勢すさまじく、そして、鼓を打撃ちつつ、西に向って進行し、必ず西戎を破って見せるという手筈である。
汝は、中国の大将軍に従う為に門を出でて従軍し、胡虜を斬ること草を薙ぐが如く、十分に奇功を収めることができるようである。
今しも、天子は、剣に手をかけて、辺境の風色をのぞまれ、折しも旄頭の星、地に落ちて、胡天寥闊、物もないのである。
やがて、匈奴は、球数繋ぎに首を縛られ、あらん限りの数を尽くし、明年、これをかりたてて葡萄宮に入朝するだろうといって、待って居られる。汝等も、そのつもりで、一身を投げ打って、奮闘し、天子の予期せらるるところに負かぬ様にして欲しい。
(訳注)
送族弟綰從軍安西
(安西都護府に従軍して赴く族弟綰を送る詩)
1 族弟綰、一に琯に作る。安西は、通典に「安西都護府は、本と亀玆國なり、大唐明慶中に置く。東、焉耆に接し、西、疏勒に連なり、南、吐蕃に鄰り、北、突厥を拒ぐ」とある。すると、この詩は、族弟李綰といふものが、従軍して安西都護府に赴くを送って作ったのである。
漢家兵馬乘北風,鼓行而西破犬戎。
今や、中国の兵馬は、北風に乗じて、勢すさまじく、そして、鼓を打撃ちつつ、西に向って進行し、必ず西戎を破って見せるという手筈である。
2 漢家 唐王朝の義、中国という意。
3 鼓行 西域の戦いに進行する出征兵士の戦意を鼓舞する鼓。漢書 項籍傳 「我引兵鼓行而西,必舉秦矣。」(我 兵を引いて、鼓行して西せば,必ず秦を舉げん。)
4 犬戎 西戎のこと。西戎あるいは戎および犬戎は、四夷の一つ。中国西部に住んでいた遊牧民族で、たびたび中国の歴代王朝に侵入して略奪を行ったことから、西戎という言葉に蔑んだ意味合いを込めている。古代中国人がトルコ族・チベット族など西方の異民族を称した語。
爾隨漢將出門去,剪虜若草收奇功。
汝は、中国の大将軍に従う為に門を出でて従軍し、胡虜を斬ること草を薙ぐが如く、十分に奇功を収めることができるようである。
君王按劍望邊色,旄頭已落胡天空。
今しも、天子は、剣に手をかけて、辺境の風色をのぞまれ、折しも旄頭の星、地に落ちて、胡天寥闊、物もないのである。
5 邊色 邊塞地の景色。
6 旄頭 星名。二十八星宿之一,白虎七宿の第四星と為す。昴星。すばるぼし(六連星:異称)おうし座17番星、戦に吉兆。(神仏詣で・祝い事・開店に吉)《漢書.卷二六.天文志》:「昴を旄頭と曰う,胡星なり,白衣の會を為す。」とある。
匈奴繫頸數應盡,明年應入葡萄宮。
やがて、匈奴は、球数繋ぎに首を縛られ、あらん限りの数を尽くし、明年、これをかりたてて葡萄宮に入朝するだろうといって、待って居られる。汝等も、そのつもりで、一身を投げ打って、奮闘し、天子の予期せらるるところに負かぬ様にして欲しい。
7 匈奴繫頸 《漢書》卷四十八《賈誼傳》「陛下何不試以臣為屬國之官以主匈奴?行臣之計,請必系單于之頸而制其命,伏中行說而笞其背,舉匈奴之眾唯上之令。」(陛下 何ぞ試みに臣を以て 屬國の官と為し以て匈奴を主らさん?臣の計を行はざる,請う必ず單于の頸を系ぎて其の命を制せん,中行の說を伏して其の背に笞ち,匈奴の眾を舉げ唯だ之の令を上る。)とある。
8 葡萄宮 葡萄宮 漢の上林苑にあった宮の名、唐の御苑内の宮をいうのに天子を指すことになるので、古い呼び名をかり用いる。事実は758年乾元元年八月、回紇が其の臣骨啜特勅及び帝徳をつかわし、驍騎三千をもって安慶緒を討つことを助けさせた。天子は、朔方左武鋒便僕国懐恩をして、これを領せしめたということがある。葡萄宮:漢元帝時,單于來朝,居上林苑葡萄宮。此指回紇長安住所。
《漢書》卷九十四下《匈奴傳下》
元壽二年,單于來朝,上以太歲厭勝所在,舍之上林苑蒲陶宮。告之以加敬於單于,單于知之。加賜衣三百七十襲,錦繡繒帛三萬匹,絮三萬斤,它如河平時。既罷,遣中郎將韓況送單于。單于出塞,到休屯井,北度車田盧水,道里回遠。況等乏食,單于乃給其糧,失期不還五十餘日。
杜甫 《06-55 洗兵馬(行)》「京師皆騎汗血馬,回紇喂肉葡萄宮。」(京師【けいし】皆 騎【の】る汗血【かんけつ】の馬、回紇【かいこつ】肉を喂【い】す葡萄宮【ぶどうきゅう】。)長安のみやこでも回紇(ウイグル騎馬)の兵が援助にきて彼等はみな汗血の馬に騎り、葡萄宮の役割の御苑宮城ですべて養われつつあるのである。
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