行次西郊作 一百韻 李商隠  166 #19


2012new01



直求輸赤誠,所望大體全。
巍巍政事堂,宰相厭八珍。
敢問下執事,今誰掌其權。
瘡疽幾十載,不敢扶其根。
國蹙賦更重,人稀役彌繁。』#-18

近年牛醫兒,城社更扳援。
少し前近年のことだ、田舎獣医の子供であったものが口を巧みにあやつった鄭注は、宦官どもにとり入って、政治の場によじ登ったのだ。
盲目把大旆,處此京西藩。
盲目に等しい極度の近限というだけでなく、加えて何らの先見もなく政策をも知らすに節度使となり、大旗を翻えして、この帝都の西のまもりである鳳翔の地に赴任して来た。
樂禍忘怨敵,樹黨多狂狷。
彼は派閥争いに割り込んで人が失敗や禍にあうのを楽しんだ、私利私欲の節度使や宮廷に巣喰う宦官など、朝廷にとっては怨敵であるはずの者達を敵として戦うことなどをあたまから忘れてしまった。また鄭注のたてた党派に属するものどもは観念的な事ばかりのことをいうものや、その反対にやみ雲にやろうとするものが多かった。
生爲人所憚,死非人所憐。
それゆえに生きている間には、人のはばかり畏れる高位を得たけれども、彼の死後は、その死に様の悲惨さにも拘らず、憐れむ者はいなかったのである。
快刀斷其頭,列若豬牛懸。」
#-19
企まれたクーデターは失敗し、急ぎ長安に攻め入ろうーとした彼の軍隊は監軍使にだまし討ちされ、見事な切れ味の刀に彼はその頭をはねられた。その首は、あたかも豚や牛の首のように、死刑場にさらしものにされたのである。

鳳翔三百里,兵馬如黄巾。
夜半軍牒來,屯兵萬五千。
鄉里駭供億,老少相扳牽。
兒孫生未孩,棄之無慘顏。
不複議所適,但欲死山間。』#-20

-#18
直え赤誠(せきせい)輸さんことを求むるも,望む所は大體の全(まった)きのみ。
巍巍たる政事の堂,宰相は八珍に厭(あ)く。
敢敢て 下執事に問う,今 誰か其の權を掌(つかさど)るや。
瘡疽(そうそ) 幾十載,敢て其の根を扶(えぐ)らず。
國 蹙(おとろ) えて 賦 更に重く,人 稀にして 役彌(いよ) いよ繁し。』-18

-#19
近年 牛医(ぎゅうい)の児(こ)、城社(じょうしゃ)に更に扳援(はんえん)す。
盲目(もうもく)にして大旆(たいはい)を把(と)り、此の京西(けいせい)の藩(はん)に処(お)る。
禍(わざわい)を楽しみて怨敵(おんてき)を忘れ、党を樹てて狂狷(きょうけん)多し。
生きては人の憚(はばか)る所と為り、死しても人の憐む所に非ず。
快刀(かいとう) 其の頭(こうべ)を断(き)り、列(つら)ねらるること猪牛(ちょぎゅう)の懸(かけ)らるるに若(に)たり。

#20
鳳翔(ほうしょう) 三百里、兵馬(へいば)は黄巾(こうきん)の如し。
夜半(やはん)に軍牒(ぐんちょう)来り、兵を屯する 万五干。
鄉里は供億(きょうおく)に駭(おどろ)き、老少(ろうしょう) 相い扳(たす)け牽(ひ)く。
児孫(じそん) 生れて未だ孩(がい)ならざるに、之を棄てて惨顔(さんがん)無し。
複た適(ゆ)く所を議(はか)らず、但だ山間に死せんことを欲す。



現代語訳と訳註
(本文)

近年牛醫兒,城社更扳援。
盲目把大旆,處此京西藩。
樂禍忘怨敵,樹黨多狂狷。
生爲人所憚,死非人所憐。
快刀斷其頭,列若豬牛懸。」#-19

(下し文)
近年 牛医(ぎゅうい)の児(こ)、城社(じょうしゃ)に更に扳援(はんえん)す。
盲目(もうもく)にして大旆(たいはい)を把(と)り、此の京西(けいせい)の藩(はん)に処(お)る。
禍(わざわい)を楽しみて怨敵(おんてき)を忘れ、党を樹てて狂狷(きょうけん)多し。
生きては人の憚(はばか)る所と為り、死しても人の憐む所に非ず。
快刀(かいとう) 其の頭(こうべ)を断(き)り、列(つら)ねらるること猪牛(ちょぎゅう)の懸(かけ)らるるに若(に)たり。


(現代語訳)
少し前近年のことだ、田舎獣医の子供であったものが口を巧みにあやつった鄭注は、宦官どもにとり入って、政治の場によじ登ったのだ。
盲目に等しい極度の近限というだけでなく、加えて何らの先見もなく政策をも知らすに節度使となり、大旗を翻えして、この帝都の西のまもりである鳳翔の地に赴任して来た。
彼は派閥争いに割り込んで人が失敗や禍にあうのを楽しんだ、私利私欲の節度使や宮廷に巣喰う宦官など、朝廷にとっては怨敵であるはずの者達を敵として戦うことなどをあたまから忘れてしまった。また鄭注のたてた党派に属するものどもは観念的な事ばかりのことをいうものや、その反対にやみ雲にやろうとするものが多かった。
それゆえに生きている間には、人のはばかり畏れる高位を得たけれども、彼の死後は、その死に様の悲惨さにも拘らず、憐れむ者はいなかったのである。
企まれたクーデターは失敗し、急ぎ長安に攻め入ろうーとした彼の軍隊は監軍使にだまし討ちされ、見事な切れ味の刀に彼はその頭をはねられた。その首は、あたかも豚や牛の首のように、死刑場にさらしものにされたのである。


(訳注)
近年牛醫兒,城社更扳援。
 
少し前近年のことだ、田舎獣医の子供であったものが口を巧みにあやつった鄭注は、宦官どもにとり入って、政治の場によじ登ったのだ。
牛医児 835年文宗太和九年十一月の宦官勢力掃討を名目としたクーデター、所謂「甘露の変」の主謀者の一人、風翔節度使鄭注を指す。牛医児はもと、後漢の獣医の子であった黄憲のことをいうが、鄭注(?-835年)は医薬の術で文宗皇帝李昂(809-840年)の厚遇を得たので、借りて牛医の児と呼んだのである。○城社 君側の佞臣。○扳援 一本に板援につくる。扳は攀に同じ。よじのぼること。勢力ある人に頼って出世することが攀縁・鄭注は最初、中尉(宦官の職)王守澄(?-835年)の推薦で文宗の愛寵を得た。 


盲目把大旆,處此京西藩。
盲目に等しい極度の近限というだけでなく、加えて何らの先見もなく政策をも知らすに節度使となり、大旗を翻えして、この帝都の西のまもりである鳳翔の地に赴任して来た。
盲目 鄭注は近視眼で遠くを見ることが出来なかったことにひっかけ、政見も政策も持たずして重任されたことを、盲目といったもの。○把大旆 大きな旗を立てて節度使となることをいう。鄭注は833年太和七年昭義行軍司馬であったが、王守澄のすすめで天子の病をいやすべく都によばれ、彼の医術が効を奏して寵を得、835年太和九年に鳳翔節度使となった。○京西藩 鳳翔節度使をいう。藩は王城守備の外垣というのがもとの意味。ここでは潘鎮をいう。

樂禍忘怨敵,樹黨多狂狷。
彼は派閥争いに割り込んで人が失敗や禍にあうのを楽しんだ、私利私欲の節度使や宮廷に巣喰う宦官など、朝廷にとっては怨敵であるはずの者達を敵として戦うことなどをあたまから忘れてしまった。また鄭注のたてた党派に属するものどもは観念的な事ばかりのことをいうものや、その反対にやみ雲にやろうとするものが多かった。
楽禍 李徳柿(789-849年)と牛伯儒(779-847年)、李宗閔の派閥争い、宦官王守澄、仇士良(779-841年)の介人、汲び、鄭注、李訓(?-835年)の新興勢力の巴状態の対立の中で、鄭注と李訓が自己の勢力拡張に腐心し、要職人の禍にかかるのを喜んだことをいう。○怨敵 宦官を指す。○狂狷 中庸の道に合わぬ行い。狂は実践力の伴わない観念ばかりのことをいう。狷はその反対にやみ雲にやろうとすること。 


生爲人所憚,死非人所憐。
それゆえに生きている間には、人のはばかり畏れる高位を得たけれども、彼の死後は、その死に様の悲惨さにも拘らず、憐れむ者はいなかったのである。


快刀斷其頭,列若豬牛懸。」
企まれたクーデターは失敗し、急ぎ長安に攻め入ろうーとした彼の軍隊は監軍使にだまし討ちされ、見事な切れ味の刀に彼はその頭をはねられた。その首は、あたかも豚や牛の首のように、死刑場にさらしものにされたのである。
快刀-牛懸 甘露の変は、宦官を外廷におびき寄せて殺害せんとし、冬至の日に宮殿わきの庭の石榴の花に露がおりたと奏上させ、邠寧節度使郭行俆、太原節度使王璠の援軍によって、一拳に事をきめるべく、李訓と鄭注によって計画されたクーデターである。だが、失敗して、逆に宦官の為に李訓は勿論、それに無関係な朝臣までが多く殺害された。その失敗を聞いた鄭注は、鳳翔より親兵五百余人を率いて宮門に攻め入ろうとしたが、途中監軍使張仲清に殺された(「旧唐書」鄭往伝および 「通鑑」)。
甘露の変は李商隠の人生にとって、希望の灯を立たれたエポックメーキングであった。李商隠の人生はこれにより決まったのである。この詩をはじめ多くの詩はどこかでこの事件につながったものである。

燕臺詩四首 其三 秋#1 李商隠132 李商隠特集150- 131-#1

鸞鳳 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 111

成五章 其四 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 107

重有感 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 103

有感二首 其二 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 102

有感二首 其一 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 101

北斉二首其二 李商隠 45

哭劉司戸二首 其一 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 39 

李商隠 4 曲江


blogram投票ボタン

毎日それぞれ一首(長詩の場合一部分割掲載)kanbuniinkai紀 頌之の漢詩3ブログ
05rihakushi350

李白詩350首kanbuniinkai紀頌之のブログ


700Toho shi

kanbuniinkai11の頌之漢詩 杜甫詩700首


800tousouSenshu
kanbuniinkai10 頌之の漢詩 唐宋詩人選集 Ⅰ李商隠150首


burogutitl770

http://kanshi100x100.blog.fc2.com/