行次西郊作 一百韻 李商隠 150- 168 #21


鳳翔三百里,兵馬如黄巾。
夜半軍牒來,屯兵萬五千。
鄉里駭供億,老少相扳牽。
兒孫生未孩,棄之無慘顏。
不複議所適,但欲死山間。』#-20

爾來又三歲,甘澤不及春。
その事がございましてから、今年でもう三年になりますが。自然のうるおいを受けていた沢地もいまだに、耕せず田畑にならなくて春の季節に間にあいそうにないのです。
盜贼亭午起,問誰多窮民。
治安は改められず、白昼堂々と盗賊は横行するのです。その盗賊は、みんな食いつめた難民のなれの果てなので誰と問うことができましょうか。
節使殺亭吏,捕之恐無因。
節度使は責任上、宿場の駐在所所員をひっとらえて殺します。盗賊を捕えようとしたところで、到る所にいるのです。その窮民達、どうして、捕縛することができるというのでしょう。 
咫尺不相見,旱久多黄塵。」#-21

旱天続きで黄土は乾燥しているので、ただでさえ埃がまっているのに、風吹けば黄塵で、一寸先も見えなくなるのです。

官健腰佩弓,自言爲官巡。
常恐值荒迥,此輩還射人。
愧客問本末,願客無因循。
郿塢抵陳倉,此地忌黄昏。』#-22

#20
鳳翔(ほうしょう) 三百里、兵馬(へいば)は黄巾(こうきん)の如し。
夜半(やはん)に軍牒(ぐんちょう)来り、兵を屯する 万五干。
鄉里は供億(きょうおく)に駭(おどろ)き、老少(ろうしょう) 相い扳(たす)け牽(ひ)く。
児孫(じそん) 生れて未だ孩(がい)ならざるに、之を棄てて惨顔(さんがん)無し。
複た適(ゆ)く所を議(はか)らず、但だ山間に死せんことを欲す。

#21
爾来(じらい) 又三載(またさんさい)、甘沢(かんたく) 春に及ばず。
盗賊は亭午(ていご)に起る、誰かと問えば 多くは窮民。
節使はただ亭吏を殺す、之を抽えんとするも恐らく因るところ無けん。
咫尺(しせき)にも相い見えず、旱(ひでり)久しくして黄塵(こうじん)多し。

#22
官健(かんけん)は腰に弓を佩(お)び、自らは官の為に巡ると言う。
常に恐る 荒剋(こうけい)に値(いた)らば、此の輩(やから) 還(かえ)って人を射ん。
愧(は)ず 客の本末を問うを、願わくは客よ 因循(いんじゅん)すること無れ。
郿塢(びお)より陳倉(ちんそう)に抵(いた)る、此の地 黄昏(こういん)を忌(い)む。

yuugure02


行次西郊作 #21 現代語訳と訳註

(本文)
爾來又三歲,甘澤不及春。
盜贼亭午起,問誰多窮民。
節使殺亭吏,捕之恐無因。
咫尺不相見,旱久多黄塵。

(下し文) #21
爾来(じらい) 又三載(またさんさい)、甘沢(かんたく) 春に及ばず。
盗賊は亭午(ていご)に起る、誰かと問えば 多くは窮民。
節使はただ亭吏を殺す、之を抽えんとするも恐らく因るところ無けん。
咫尺(しせき)にも相い見えず、旱(ひでり)久しくして黄塵(こうじん)多し。


(現代語訳)
その事がございましてから、今年でもう三年になりますが。自然のうるおいを受けていた沢地もいまだに、耕せず田畑にならなくて春の季節に間にあいそうにないのです。
治安は改められず、白昼堂々と盗賊は横行するのです。その盗賊は、みんな食いつめた難民のなれの果てなので誰と問うことができましょうか。
節度使は責任上、宿場の駐在所所員をひっとらえて殺します。盗賊を捕えようとしたところで、到る所にいるのです。その窮民達、どうして、捕縛することができるというのでしょう。 
旱天続きで黄土は乾燥しているので、ただでさえ埃がまっているのに、風吹けば黄塵で、一寸先も見えなくなるのです。


(訳注)
爾來又三歲,甘澤不及春。

その事がございましてから、今年でもう三年になりますが。自然のうるおいを受けていた沢地もいまだに、耕せず田畑にならなくて春の季節に間にあいそうにないのです。
○甘沢 甘美なるうるおい。梁の宗惶の「荊楚歳時記」に「六月に必ず三時の雨有り。田家以て甘沢と為す。」
と見える。

盜贼亭午起,問誰多窮民。
治安は改められず、白昼堂々と盗賊は横行するのです。その盗賊は、みんな食いつめた難民のなれの果てなので誰と問うことができましょうか。
亭午 まひる。


節使殺亭吏,捕之恐無因。
節度使は責任上、宿場の駐在所所員をひっとらえて殺します。盗賊を捕えようとしたところで、到る所にいるのです。その窮民達、どうして、捕縛することができるというのでしょう。 
節使 節度使。○亭吏 駐在所所員。○無因 方法、手段がない。因は原因の意にも手段の意にもなる。


咫尺不相見,旱久多黄塵。」
旱天続きで黄土は乾燥しているので、ただでさえ埃がまっているのに、風吹けば黄塵で、一寸先も見えなくなるのです。
咫尺 ほんのわずかの距離。咫は古い尺の八寸。



 ここに出てくる「甘沢」とは、甘美なるうるおいとはまさしく夏に降る雨であるが、それは作物の成長に欠かせない雨でもあり、もともと恵まれていた川の傍の田畑であったとこを指すものである。「爾来 又三歳甘沢 春に及ばず」、甘露の変より三年経つが、この地には春の恵みの雨すら降らない、また、川から水をひきいれたり、田んぼ畑を耕さないので保水力が全くないのである。当然、干ばつも推定される。咫尺の間が見えなくなる。黄河流域の砂塵のものすごさを想像させる。

問題は、流民の全員が盗賊になってしまったこと、役人でさえも、強盗になるというもので、ここには生産性のあるものはもはやなくなってしまったゴーストタウンということなのだ。



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